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第二章
三世界
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シーナはホワイトボードに「猿でもわかる三世界の歴史」とかわいらしい丸文字で書いた。
悪意は無いのでろうが、猿というところに少し不満を覚える。
そんなことよりも、シーナの話を聞かなきゃな。
俺はそう思い、スイッチを切り替えた。
「最初に知ってもらいたいのは、日向さんが住んでいるこの世界を含めて、三つの世界――三世界があるということです」
シーナは大きな円を縦に三つ並べて描いた。
そして、中心の円をペンで指した。
「まず、第一の世界。日向さんたちが住んでいるこの世界――〝人間界〟です」
中心の円に〝人間界〟と書き加えられる。
「この世界については説明しなくても大丈夫でしょう。日向さんに知ってもらいたいのはもう二つの世界です」
そう言ってシーナは上の円をペンで指した。
「第二の世界。善き魂や偉大な神々、天使、精霊、聖獣などが生きる世界――〝天界〟です」
そう言った後、円の中に〝天界〟と書いた。
「簡単に言ってしまえば天国ですね。ただ、イメージと違うと思うのは、〝人間界〟の各所で語られる神々や天使といった神聖なものたちが、実在し生きているところですね」
シーナは少し間を開けて続ける。
「神々や天使が住んでいるとは言っても、その生活模様などは〝人間界〟とほぼ変わりません。ですから、この世界における人間が、神話や伝説上に生きるものたちに変わっただけのものでと考えてもらって構わないと思います。そして、最も重要なのは私たち〝天界〟には、〝人間界〟を守る義務があるというところです」
シーナの顔がさらにきりっと引き締まった。
「私たち〝天界〟は〝人間界〟の信仰心によって様々な恩恵を受けています。その謝礼として、私たちは〝人間界〟に訪れる様々な脅威から守っているのです」
特に質問も無かったので、俺は頷いて続きを促した。
シーナは次に下の円をペンで指した。
「最後に第三の世界。悪しき魂や邪悪な神々、闇精霊、魔獣といったものたちが生きる世界――〝魔界〟です」
悪魔という言葉に体が反応し、俺は無意識に喉を鳴らした。
「簡単に言ってしまえば地獄で……〝天界〟と真逆の精神を持ったものたちが集まっている世界で、生活模様は〝天界〟同様ほぼここと変わりません」
俺は静かにお茶を飲み、いつの間にか乾いていた喉を潤した。
「先ほどの戦いで日向さんが戦っていたのは、悪魔では無く、魔界に住む野生の動物の様なものたちで、魔獣と呼ばれる獣たちです」
シーナは続ける。
「日向さんが追っている悪魔という存在は基本的に人型をしています。それに低い知能しか持たない魔獣とは違い、私たちと同等の高い知能を持っています。また厄介なことに、悪魔たちは魔獣と同じかそれ以上のスペックを持っています」
つまるところ、悪魔たちは、今日俺が戦った魔獣の比ではないということか。
俺は今の話を聞いていて、思うところがあったので挙手した。
「あ、どうぞ」
「えーと……悪魔たちが基本的に人型って言ってたけど……俺が見たのはどっちかって言うと魔獣に近かったんだが……」
「悪魔たちは魔獣型になることもできます。肉弾戦では、そちらの方が力を増すという悪魔も存在します」
その返事を聞いて、俺は安堵していた。
心のどこかで、両親が魔獣ごときに殺されてしまっていたら……なんていうのが嫌だったのかもしれない。
心の片隅でこんなことを考えてしまうなんて……俺は……。
そんな俺の心情も知らずに、シーナは話を再び始めた。
「以上で三世界の説明を終わりたいと思います。次に、本題である三世界の現状と、そこに至った経緯について話をさせていただきたいと思います」
悪意は無いのでろうが、猿というところに少し不満を覚える。
そんなことよりも、シーナの話を聞かなきゃな。
俺はそう思い、スイッチを切り替えた。
「最初に知ってもらいたいのは、日向さんが住んでいるこの世界を含めて、三つの世界――三世界があるということです」
シーナは大きな円を縦に三つ並べて描いた。
そして、中心の円をペンで指した。
「まず、第一の世界。日向さんたちが住んでいるこの世界――〝人間界〟です」
中心の円に〝人間界〟と書き加えられる。
「この世界については説明しなくても大丈夫でしょう。日向さんに知ってもらいたいのはもう二つの世界です」
そう言ってシーナは上の円をペンで指した。
「第二の世界。善き魂や偉大な神々、天使、精霊、聖獣などが生きる世界――〝天界〟です」
そう言った後、円の中に〝天界〟と書いた。
「簡単に言ってしまえば天国ですね。ただ、イメージと違うと思うのは、〝人間界〟の各所で語られる神々や天使といった神聖なものたちが、実在し生きているところですね」
シーナは少し間を開けて続ける。
「神々や天使が住んでいるとは言っても、その生活模様などは〝人間界〟とほぼ変わりません。ですから、この世界における人間が、神話や伝説上に生きるものたちに変わっただけのものでと考えてもらって構わないと思います。そして、最も重要なのは私たち〝天界〟には、〝人間界〟を守る義務があるというところです」
シーナの顔がさらにきりっと引き締まった。
「私たち〝天界〟は〝人間界〟の信仰心によって様々な恩恵を受けています。その謝礼として、私たちは〝人間界〟に訪れる様々な脅威から守っているのです」
特に質問も無かったので、俺は頷いて続きを促した。
シーナは次に下の円をペンで指した。
「最後に第三の世界。悪しき魂や邪悪な神々、闇精霊、魔獣といったものたちが生きる世界――〝魔界〟です」
悪魔という言葉に体が反応し、俺は無意識に喉を鳴らした。
「簡単に言ってしまえば地獄で……〝天界〟と真逆の精神を持ったものたちが集まっている世界で、生活模様は〝天界〟同様ほぼここと変わりません」
俺は静かにお茶を飲み、いつの間にか乾いていた喉を潤した。
「先ほどの戦いで日向さんが戦っていたのは、悪魔では無く、魔界に住む野生の動物の様なものたちで、魔獣と呼ばれる獣たちです」
シーナは続ける。
「日向さんが追っている悪魔という存在は基本的に人型をしています。それに低い知能しか持たない魔獣とは違い、私たちと同等の高い知能を持っています。また厄介なことに、悪魔たちは魔獣と同じかそれ以上のスペックを持っています」
つまるところ、悪魔たちは、今日俺が戦った魔獣の比ではないということか。
俺は今の話を聞いていて、思うところがあったので挙手した。
「あ、どうぞ」
「えーと……悪魔たちが基本的に人型って言ってたけど……俺が見たのはどっちかって言うと魔獣に近かったんだが……」
「悪魔たちは魔獣型になることもできます。肉弾戦では、そちらの方が力を増すという悪魔も存在します」
その返事を聞いて、俺は安堵していた。
心のどこかで、両親が魔獣ごときに殺されてしまっていたら……なんていうのが嫌だったのかもしれない。
心の片隅でこんなことを考えてしまうなんて……俺は……。
そんな俺の心情も知らずに、シーナは話を再び始めた。
「以上で三世界の説明を終わりたいと思います。次に、本題である三世界の現状と、そこに至った経緯について話をさせていただきたいと思います」
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