剣聖の使徒

一条二豆

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第二章

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「最後の質問だが……術っていうのはなんなんだ?」

 さっきから度々出てきていた、俺が最も気になっていた言葉だ。

 思えば、今日だけでいろいろな不思議な現象が起きていたが……それも術っていう物なのだろうか。
 シーナは嬉しそうに答えた。

「術って言うのは……分かりやすく言えば、この世界で言う魔法の様なものです。詳しく言うと、私たちの感情の動き――意思の力を使って現す、超能力ですね」
「意思の力……?」
「はい、私たちの喜びや悲しみ、怒りといった感情のうねり……それがエネルギーと化したものが、意思の力です」

 話を聞くに、その意思の力というものは、魔力のようなものらしかった。

「とりあえず、例を出してみると……今日日向さんに使っていた、心を覗く術『心暴』とか、鍵を開く術『解錠』とかがありますね」
「……なんでもできるんだな、術っていうやつは」
「すごいでしょう? でも、術を扱うのはとても難しいので、ほんの少しの人しか使えないんですよ? ですから、私はとてもすごいんです!」

 シーナは喜々としてそう言ってきた。小ぶりな胸を張り、ドヤ顔をしているその姿は、とても父性本能をくすぐられた。かわええ。

 俺が拍手をしてやると、シーナはうれしそうな表情を浮かべた。顔に出やすい素直な子だな。

「私が使っている『桜舞双扇』も一応術なんですよ。小回りが利くんで、私は愛用させてもらっています」

 『桜舞双扇』って……ああ、戦ってた時に使ってたやつか。思い返しても、すっげえ綺麗な技だったな。
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