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第三章
映画館から出て
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二時間かけて映画を見終えて、俺たちは映画館を後にした。
暗闇の中でバアルが出現するのではないかと懸念を抱いていたのだが、特には何も起こらなかった。
「いやー、おもしろかったね!」
「はい、感動しちゃいました!」
「……そうか?」
俺たちが見た映画は、とある国のお姫様と、その国の平凡な庶民である青年の結ばれない恋のラブロマンス作品だったのだが、俺には何がいいのかさっぱり分からなかった。
そもそも俺はラブコメディとかいう恋愛作品は、あまり好きではない。
俺に対して女子二人は感動して泣きまくっていた。特にシーナなんかはもう大号泣で、あまり声を出させないようにするのが大変だった。
「なんか気のない返事だね……」
俺の気の抜けた独り言を耳ざとく聞いていたのか、凛音が俺に冷たい視線を送ってきた。
「あれで泣かないのはおかしいよ……やっぱ価値観変なんだってば日向」
「俺は性に合わないんだよ……だいたい、あんな話ありきたりなんだよ」
「だからこそじゃないですか! ベタベタな展開だからこそのものが――ふぇ」
なぜか映画について饒舌に話しだした〝人間界〟初心者さんの頬を引っ張って黙らせる。
シーナは目じりに涙をためて、口をもがもがと動かす。
「ふぃ、ふぃふぁいしゃふぁいれすか、ふぃなはしゃん!」
「何言ってんのか分かんねえな」
「ふぉ、ふぉんふぁ……」
あまりにも面白かったので、ついシーナの頬を引っ張って遊んでしまった。
思わず頬がゆるんでしまう。
「……年下の方が好きなのかな……」
その傍らで、何やら凛音が呟いた。
「ん? なんか言ったか?」
「え! ううん、何でもないよ! さ、次はケーキ屋に行こう! ケーキ屋! 私、お腹ぺこぺこになっちゃった!」
「ふぁ、ふぁたひもれふ!」
「お前らポップコーン食ったばっかりだろ……」
女子の胃袋には呆れてものも言えなくなってしまう。
太るぞ、と言いかけたが、俺はそれをぐっと堪えた。一度言ったことがあるのだが……あの時のことはもう思い出したくない。
きっと昼飯をケーキで済ませるつもりなのだろう。食事のバランスを全く考えていないらしい女性陣に、俺はげんなりとした心持でついていった。
暗闇の中でバアルが出現するのではないかと懸念を抱いていたのだが、特には何も起こらなかった。
「いやー、おもしろかったね!」
「はい、感動しちゃいました!」
「……そうか?」
俺たちが見た映画は、とある国のお姫様と、その国の平凡な庶民である青年の結ばれない恋のラブロマンス作品だったのだが、俺には何がいいのかさっぱり分からなかった。
そもそも俺はラブコメディとかいう恋愛作品は、あまり好きではない。
俺に対して女子二人は感動して泣きまくっていた。特にシーナなんかはもう大号泣で、あまり声を出させないようにするのが大変だった。
「なんか気のない返事だね……」
俺の気の抜けた独り言を耳ざとく聞いていたのか、凛音が俺に冷たい視線を送ってきた。
「あれで泣かないのはおかしいよ……やっぱ価値観変なんだってば日向」
「俺は性に合わないんだよ……だいたい、あんな話ありきたりなんだよ」
「だからこそじゃないですか! ベタベタな展開だからこそのものが――ふぇ」
なぜか映画について饒舌に話しだした〝人間界〟初心者さんの頬を引っ張って黙らせる。
シーナは目じりに涙をためて、口をもがもがと動かす。
「ふぃ、ふぃふぁいしゃふぁいれすか、ふぃなはしゃん!」
「何言ってんのか分かんねえな」
「ふぉ、ふぉんふぁ……」
あまりにも面白かったので、ついシーナの頬を引っ張って遊んでしまった。
思わず頬がゆるんでしまう。
「……年下の方が好きなのかな……」
その傍らで、何やら凛音が呟いた。
「ん? なんか言ったか?」
「え! ううん、何でもないよ! さ、次はケーキ屋に行こう! ケーキ屋! 私、お腹ぺこぺこになっちゃった!」
「ふぁ、ふぁたひもれふ!」
「お前らポップコーン食ったばっかりだろ……」
女子の胃袋には呆れてものも言えなくなってしまう。
太るぞ、と言いかけたが、俺はそれをぐっと堪えた。一度言ったことがあるのだが……あの時のことはもう思い出したくない。
きっと昼飯をケーキで済ませるつもりなのだろう。食事のバランスを全く考えていないらしい女性陣に、俺はげんなりとした心持でついていった。
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