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第三章
想い出
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テーブルの上には、美味しそうなケーキがたくさん並んでいた。
シーナが取ってきたケーキたちのおかげで、店内全てのケーキを拝める。
あらかじめ注文しておいた紅茶と、ケーキを堪能しながら、俺たちは会話を弾ませた。
凛音との久しぶりのお出かけということもあり、自然と話は昔話になった。
「昔は日向もかわいかったのに……今ではこんなになっちゃって……」
「こんなのとはなんだよ。この超絶イケメンに対して失礼じゃないか」
「それは無いです日向さん」
今分かった。ドジっ娘聖霊の言葉は俺のガラスのハートを容赦なく叩き割ってくる。
確かに調子には乗ったが……シンプルなハンマーでかかってくるとは、思ってもみなかったよ。
俺の心を粉々にした少女が、俺など見えないように凛音に話しかけた。
「そう言えば……日向さんと言う人から話を聞いたんですけど、大聖さんってどんな方だったのですか?」
「まあ……椎名ちゃんが近づかない方がいい人間だったね」
「もう亡くなったみたいな扱いやめてやれよ……」
ドンマイ、大聖。 ……それにしても、さっきの短い会話だけでこんなにもケーキって美味しくなるのな。
俺の黒い部分がうずいている間にも、二人の会話は続く。
「真面目に言うと……大聖はとっても優しい人で、日向は優しい人だったかな?」
どことなくとげを感じる一言だな。
いい加減会話に交じりたかったので、俺は口を挟んだ。
「大聖は……俺が悪魔のことを言っても一緒にいてくれた。他のやつらは嘘で、いるはず無いって言ってきたのにな」
孤児院に入りたての頃、俺の話に興味を持ってくれたやつがいた。それが、大聖だった。
どれだけおかしなことを言っても、大聖は俺の言葉を全く否定しなかった。むしろ、続きを聞かせてくれと喜々として聞いてきたくらいだ。今思うとそれもどうなのかと思うが。
ただ、当時の俺は何もかも誰かにぶちまけたい気分だった。そんな時に真摯に話を聞いてくれた大聖には感謝をしている。
そうしている内に俺たちは親友となっていた。それこそ、兄弟のような。
そして、一年くらいたった頃に入ってきたのが、
「ああ、凛音さんなんですね」
「なつかしいな……あの頃は」
凛音は最初、ものすごく暗い娘という印象だった。
俺たちはさして気にもしていなかったのだが……ある日、ある事件によって認識が割ったのだ。
それは突然に起こった。
俺たちが普通に遊んでいるところで、凛音が大聖に対してこう言い放ったのだ。
確か……。
「仲間に……入れてくだしゃいっ! だっけ?」
「そんな細かいところまで再現しなくていいでしょ!」
あまりに急の出来事に俺たちは驚いた。と言うより、訳が分からなかった。
だが、よく分かんないけど、仲間に入れて欲しいなら入れてあげよう、ということでめでたく俺たちに『妹』が誕生したのだ。
暗くておどおどとした性格だったが、俺と大聖に振り回されている内に、元気でたくましい少女に育っていった。
今、俺と大聖で思うことがあるとすれば……教育を間違えたか、ということだな……。
もっとおしとやかに成長させてあげれば、こんなに殴られるようなことは無かったかもしれないのに……。
「お三方には、そんなハートフルなエピソードがあったのですね」
「ああ、俺たちは『親友』じゃない。それすら超えた『家族』なんだ」
「よくそんな言葉、恥ずかしげもなく言えるよね……」
凛音は呆れたように顔を両手で覆った。照れているのか、おいおい。
シーナが取ってきたケーキたちのおかげで、店内全てのケーキを拝める。
あらかじめ注文しておいた紅茶と、ケーキを堪能しながら、俺たちは会話を弾ませた。
凛音との久しぶりのお出かけということもあり、自然と話は昔話になった。
「昔は日向もかわいかったのに……今ではこんなになっちゃって……」
「こんなのとはなんだよ。この超絶イケメンに対して失礼じゃないか」
「それは無いです日向さん」
今分かった。ドジっ娘聖霊の言葉は俺のガラスのハートを容赦なく叩き割ってくる。
確かに調子には乗ったが……シンプルなハンマーでかかってくるとは、思ってもみなかったよ。
俺の心を粉々にした少女が、俺など見えないように凛音に話しかけた。
「そう言えば……日向さんと言う人から話を聞いたんですけど、大聖さんってどんな方だったのですか?」
「まあ……椎名ちゃんが近づかない方がいい人間だったね」
「もう亡くなったみたいな扱いやめてやれよ……」
ドンマイ、大聖。 ……それにしても、さっきの短い会話だけでこんなにもケーキって美味しくなるのな。
俺の黒い部分がうずいている間にも、二人の会話は続く。
「真面目に言うと……大聖はとっても優しい人で、日向は優しい人だったかな?」
どことなくとげを感じる一言だな。
いい加減会話に交じりたかったので、俺は口を挟んだ。
「大聖は……俺が悪魔のことを言っても一緒にいてくれた。他のやつらは嘘で、いるはず無いって言ってきたのにな」
孤児院に入りたての頃、俺の話に興味を持ってくれたやつがいた。それが、大聖だった。
どれだけおかしなことを言っても、大聖は俺の言葉を全く否定しなかった。むしろ、続きを聞かせてくれと喜々として聞いてきたくらいだ。今思うとそれもどうなのかと思うが。
ただ、当時の俺は何もかも誰かにぶちまけたい気分だった。そんな時に真摯に話を聞いてくれた大聖には感謝をしている。
そうしている内に俺たちは親友となっていた。それこそ、兄弟のような。
そして、一年くらいたった頃に入ってきたのが、
「ああ、凛音さんなんですね」
「なつかしいな……あの頃は」
凛音は最初、ものすごく暗い娘という印象だった。
俺たちはさして気にもしていなかったのだが……ある日、ある事件によって認識が割ったのだ。
それは突然に起こった。
俺たちが普通に遊んでいるところで、凛音が大聖に対してこう言い放ったのだ。
確か……。
「仲間に……入れてくだしゃいっ! だっけ?」
「そんな細かいところまで再現しなくていいでしょ!」
あまりに急の出来事に俺たちは驚いた。と言うより、訳が分からなかった。
だが、よく分かんないけど、仲間に入れて欲しいなら入れてあげよう、ということでめでたく俺たちに『妹』が誕生したのだ。
暗くておどおどとした性格だったが、俺と大聖に振り回されている内に、元気でたくましい少女に育っていった。
今、俺と大聖で思うことがあるとすれば……教育を間違えたか、ということだな……。
もっとおしとやかに成長させてあげれば、こんなに殴られるようなことは無かったかもしれないのに……。
「お三方には、そんなハートフルなエピソードがあったのですね」
「ああ、俺たちは『親友』じゃない。それすら超えた『家族』なんだ」
「よくそんな言葉、恥ずかしげもなく言えるよね……」
凛音は呆れたように顔を両手で覆った。照れているのか、おいおい。
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