転生したら石でした!

むねじゅ

文字の大きさ
25 / 58

第25話 スリと石

しおりを挟む
セシルの予感は的中てきちゅうした。俺は光ったことを後悔こうかいした。
さきほどから建物の影から怪しい黒っぽいフードを被った男がセシルの胸元を見ている。
セシルは気付いてないが、俺はそいつのねらいを定めるような殺気を感じた。
ちょうどセシルが奴のすぐそばを通りそうになった時、奴はセシルの胸元に手を伸ばしてきた。
俺はふざけるな!セシルの胸が目的か?それとも俺か?と思っていると、あんじょう俺をスル気だったらしい。
俺はなんとなく悪意を浄化するような思いを込めて少しだけ光った。
スリの男は俺に触れ、びくっとし顔を見ると泣きそうになっていた。

スリの男 「ぶつかってしまい申し訳ありません・・・もうしません。」

セシル 「あー大丈夫だよ!あたいは戦士だ!ちょっとぶつかったくらいじゃびくともしないよ!気にすんな。」

とセシルはスリの男を気遣きづかった。セシルはスリの男に気が付いてなかったのだ。
そのあとセシルは男の大げさな態度に首をかしげげていた。
俺はどうも悪いことを考えている奴を浄化できるらしい。良い事をしたと自画自賛じがじさんした。
スリの男は変な顔をしながら遠くに走って逃げた。

セシル 「さっきの男どうしちゃんだろうな?あたいの美貌びぼうにビビった?(笑)ガハハ。」

セシルはのんきに笑っていた。その、のんきさはかわいさと危うさを同時に俺は感じるのであった。
しかし、セシルの明るく前向きな考え方は俺も見習わないといけないなと思った。

セシル 「ほら、あそこがスピネル宝石店だよ!」

俺はやっと宝石店に着いたのだと感動した。
マリーとアリシアと離れてからどのくらいの時間がたったのだろうか?1週間?2週間?なんだかわからない。カレンダーも携帯もないのでどれだけ時間が過ぎたのかわからないのだ。
でも色々なことを乗り越え、色々な体験をしてなんだか自分が少し成長したのではないかと思ってしまう。
まだまだ未熟みじゅくな俺だが、元の世界での俺にしたら、何倍いも人のために動いている気がする。元の世界でも何か人のためにと考えて行動すればよかったと後悔した。

カラン、コロン。宝石店のドアをセシルが開ける。
幸いお店にお客さんはいなかった。

セシル 「爺さん久しぶり!元気にしてた?金払いに来たよ!」

スピネル爺さんはセシルを見ると満面まんめんの笑みになり、セシルに「よう来たな!」と言った。
俺は爺さんの顔を見て、自分の孫が遊びに来てうれしいなという顔をしていると思った。

セシル 「これと、これで支払い大丈夫かな?あとこの石買い取ってー。」

スピネル 「これで大丈夫じゃ。この石かどれどれ。そうじゃなーこのくらいではどうじゃ?」

セシル 「こんなにいいの?!いつもありがとうね。助かるよ。」

スピネル 「いいんじゃ、いいんじゃ。これでうまいものを食べるんじゃよ。」

なんだか俺は爺さんと孫の、ほのぼの劇場げきじょうを見ているようで気持ちがほっこりした。

セシル 「あとなー。相談したいことがあるんだ。時間ある?」

スピネル 
「なんじゃ?かしこまって。今日は大きい商談しょうだんは終わったし、客はたぶんこないと思うぞ。あーさきほど、変な客が来てのー。黒いフードをかぶった男なんじゃが、なんだかそわそわしておって、ふるえた声でお金はいらないから、これを引き取ってくれと言って小さな石とか貴金属ききんぞくを置いていったんじゃ。変な男じゃったよ。しかしじゃ、なんだか見覚えのあるものなじゃーと良く見るとここ何週間かで店からなくなったものなんじゃー。あの男はぬすんだものを返しにきたのかのー?憲兵けんぺいに通報しようかとも思ったんじゃが、返してくれたのだから見逃してやろうかのー。勇気を出して持ってきたことじゃし。あまり高価なものでもなかったしの。」

俺は思った。さっきのスリ男だ!もしかして本当に改心したのか?盗んだものを返して回る気なのか?あの男がこれから真面目まじめに生きるといいなーと心から思った。

セシル 「そうなんだ!泥棒どろぼうされていたなんて大変だな!でも戻ってきたならいいか!でも、あたいならゲンコツくらわすくらいやってたかもなーガハハ。」

セシルは笑っている。セシルーさっき俺を取られそうになってたんだよーその男に・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...