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第55話 憩いの湖
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セシルの体は大丈夫なようだ。俺はほっとした。
自分が回復能力のある石で本当によかったと思った。
ただの人間だったなら、大事な人を助けたりできなかったのだ。
自分が石でよかったなんて思う日がくるとは、思わなかった・・・元の世界の自分には戻りたくない・・・
いや、この世界から離れたくなかった。
セシル 「ようへい!心配かけてごめん!今度からヨルセを安全運転で乗ると誓うよ!ホントごめん!!!」
俺 「いいんだ。セシル!すごくびっくりしたけど、セシルが無事ならなんでもいいよ!俺!自分が回復能力があってよかったよ!」
セシル 「ようへい は、やっぱりすごいな!あたいでいいのか?」
俺 「いいに決まってる!セシルは素晴らしい女性だよ!美しくて、勇気があって、強くて、優しい!こんな女性はどこを探してもいないよ!俺はいつも頼りっぱなしだよ。」
セシル 「あんま、褒めんなよ!恥ずかしいだろ!」
セシルは恥ずかしそうに笑っている。でも、まんざらでもなさそうだ。
セシル 「そうだ!また湖に行っていいか?なんか、あたい血だらけだからさー。大丈夫!今度はゆっくり行くからさー。ガハハ!」
俺 「そうだね。汚れを落としたほうがいいね。そのまま帰ったら爺さんがびっくりして倒れるよ。」
二人は一斉に笑った。先程のセシルの怪我だとか、俺を飲んだことだとかを皆忘れる勢いで。
ヨルセはヒヒーンとセシルの体を心配していた。
そして、セシルはヨルセをドウドウと叩きながら大丈夫だよ!と伝えていた。
暫く、ヨルセの心配を取り除くべく、セシルはヨルセを引いて歩いた。
ヨルセはゆっくり歩きながら、道に生えている草を食べている。
これが本当の道草らしい・・・
セシルもさっき転んだショックがあるので、馬で駆けるのは少し怖いようだ。
こうやって、ヨルセと歩きながら、お互いにリハビリしている感じだ。
セシルもヨルセも十分歩いて、少し歩くのに飽きてきた。
セシル 「ヨルセ!少しゆっくり走ってみっか?」
とヨルセを叩く。ヨルセも意味がわかったのか、ブルルーンと嘶いた。
そこでセシルがひらりとヨルセに乗ってみる。
セシル 「ようへい、さっきは大丈夫っていったけど、本当は大丈夫かあんまわかんなかったんだー。でもヨルセに乗ってみてわかった!体は大丈夫だ!!!」
俺 「よかったな!あまり無理するなよ!」
セシル 「わかってるって!ヨルセ行くぞ!!!!」
セシルはヨルセに乗って、森を駆け抜けた。今までの何倍も二人の息はぴったりだ。
雨降って地固まるだなーと俺は思った。
セシル 「よかった!乗馬に変な恐怖心が残ってなくて。すごく気持ちいい!ヨルセもそう思ってるな!走りでわかるんだー!」
俺たちは湖についた。
まずセシルは鎧を着たまま水に入る。防具に付いた自分の血を洗い流した。
それから、手の届かないところを洗うために鎧を脱ぎ始めた。
俺はセシルに痣だとか骨の変形などがないか隅々まで見た。
俺はホッとした。痣どころか前にあった傷跡までなくなっていた。
セシルは戦士なので生傷が絶えないらしい、俺はそれまで治してしまったようだ。
セシル 「あれ?体の傷が全部なくなってる!体がつるつるだよ!すごいよ!ありがとう。ようへい!あたい、全身の色々な傷はもう諦めてたんだ!なんたって、職業戦士だしね!」
俺 「でも、全部なくなって大丈夫だったのか?よく戦士の勲章とかいうじゃん?」
セシル 「うーん。勲章ね・・・あたい女だし、やっぱり傷は無いほうがいいかな。それに戦った勲章は、戦いの後に生きていることだから、生きていることが勲章なんだ!」
俺 「そっか!そうだよね!セシル!かっこいい!」
セシル 「だろ!ガハハ!!!」
俺は初めてセシルの裸に変なドギマギを感じなかった。それは、体を心配していたからだ。
俺はこの世界に来て、ありとあらゆる感情を味わっている。
元の世界では、ほとんど感情が無かったに等しい、というか押し殺していた?かも
そうでないと俺は日常がやり過ごせなかったのかもしれない。
元の世界はなんでもあったし、便利でもあったが。今の俺にとっては何も無いに等しいのかもしれない・・・
俺はこの世界から離れて、元の世界に戻ったらどんなことになるのか怖かった・・・
俺たちは湖で休憩し、野営することにした。
今日も色々あったので、少しゆっくりしようということになった。
セシルは俺が出した道具で野営の準備をし、ヨルセの世話をした。
今夜はあまり危険な動物の気配がしなかったので、ヨルセはそのままにしておいた。
やはりここは神聖な場所なのかもしれない、湖周辺が浄化されているようだ。
俺はこんな風にいるだけで、清められるようなそんな存在に頑張ればなれるかな?と突拍子のない事を考えていた。
無理だよね・・・と結論に至った。そんなこと俺ができるわけないもん(笑)
俺 「セシルー!今日は疲れたねー。こうやって意味の無いことをしゃべれるなんて、すごく贅沢な気がするよ。」
セシル 「そうだな!今まではウィジャボード大変だったもんな!すごく楽になった。あたいずっと直接ようへいとしゃべりたかったんだー。願いが叶ってうれしいよ!」
俺 「俺もうれしい。今までもどかしかったんだ!でもいつでも話せる。すごいな!」
セシル 「うん!ようへいがマリーと話してて、すごく羨ましかったんだー。これで、どんなことがあっても相談できるな!」
俺 「そうだね!俺たちコンビは最高だ!」
俺たちは意味のない事をしゃべりながら眠りに落ちた。
恋人同士が寝る前に電話する感じに似ているのかも?と俺は思った。
自分が回復能力のある石で本当によかったと思った。
ただの人間だったなら、大事な人を助けたりできなかったのだ。
自分が石でよかったなんて思う日がくるとは、思わなかった・・・元の世界の自分には戻りたくない・・・
いや、この世界から離れたくなかった。
セシル 「ようへい!心配かけてごめん!今度からヨルセを安全運転で乗ると誓うよ!ホントごめん!!!」
俺 「いいんだ。セシル!すごくびっくりしたけど、セシルが無事ならなんでもいいよ!俺!自分が回復能力があってよかったよ!」
セシル 「ようへい は、やっぱりすごいな!あたいでいいのか?」
俺 「いいに決まってる!セシルは素晴らしい女性だよ!美しくて、勇気があって、強くて、優しい!こんな女性はどこを探してもいないよ!俺はいつも頼りっぱなしだよ。」
セシル 「あんま、褒めんなよ!恥ずかしいだろ!」
セシルは恥ずかしそうに笑っている。でも、まんざらでもなさそうだ。
セシル 「そうだ!また湖に行っていいか?なんか、あたい血だらけだからさー。大丈夫!今度はゆっくり行くからさー。ガハハ!」
俺 「そうだね。汚れを落としたほうがいいね。そのまま帰ったら爺さんがびっくりして倒れるよ。」
二人は一斉に笑った。先程のセシルの怪我だとか、俺を飲んだことだとかを皆忘れる勢いで。
ヨルセはヒヒーンとセシルの体を心配していた。
そして、セシルはヨルセをドウドウと叩きながら大丈夫だよ!と伝えていた。
暫く、ヨルセの心配を取り除くべく、セシルはヨルセを引いて歩いた。
ヨルセはゆっくり歩きながら、道に生えている草を食べている。
これが本当の道草らしい・・・
セシルもさっき転んだショックがあるので、馬で駆けるのは少し怖いようだ。
こうやって、ヨルセと歩きながら、お互いにリハビリしている感じだ。
セシルもヨルセも十分歩いて、少し歩くのに飽きてきた。
セシル 「ヨルセ!少しゆっくり走ってみっか?」
とヨルセを叩く。ヨルセも意味がわかったのか、ブルルーンと嘶いた。
そこでセシルがひらりとヨルセに乗ってみる。
セシル 「ようへい、さっきは大丈夫っていったけど、本当は大丈夫かあんまわかんなかったんだー。でもヨルセに乗ってみてわかった!体は大丈夫だ!!!」
俺 「よかったな!あまり無理するなよ!」
セシル 「わかってるって!ヨルセ行くぞ!!!!」
セシルはヨルセに乗って、森を駆け抜けた。今までの何倍も二人の息はぴったりだ。
雨降って地固まるだなーと俺は思った。
セシル 「よかった!乗馬に変な恐怖心が残ってなくて。すごく気持ちいい!ヨルセもそう思ってるな!走りでわかるんだー!」
俺たちは湖についた。
まずセシルは鎧を着たまま水に入る。防具に付いた自分の血を洗い流した。
それから、手の届かないところを洗うために鎧を脱ぎ始めた。
俺はセシルに痣だとか骨の変形などがないか隅々まで見た。
俺はホッとした。痣どころか前にあった傷跡までなくなっていた。
セシルは戦士なので生傷が絶えないらしい、俺はそれまで治してしまったようだ。
セシル 「あれ?体の傷が全部なくなってる!体がつるつるだよ!すごいよ!ありがとう。ようへい!あたい、全身の色々な傷はもう諦めてたんだ!なんたって、職業戦士だしね!」
俺 「でも、全部なくなって大丈夫だったのか?よく戦士の勲章とかいうじゃん?」
セシル 「うーん。勲章ね・・・あたい女だし、やっぱり傷は無いほうがいいかな。それに戦った勲章は、戦いの後に生きていることだから、生きていることが勲章なんだ!」
俺 「そっか!そうだよね!セシル!かっこいい!」
セシル 「だろ!ガハハ!!!」
俺は初めてセシルの裸に変なドギマギを感じなかった。それは、体を心配していたからだ。
俺はこの世界に来て、ありとあらゆる感情を味わっている。
元の世界では、ほとんど感情が無かったに等しい、というか押し殺していた?かも
そうでないと俺は日常がやり過ごせなかったのかもしれない。
元の世界はなんでもあったし、便利でもあったが。今の俺にとっては何も無いに等しいのかもしれない・・・
俺はこの世界から離れて、元の世界に戻ったらどんなことになるのか怖かった・・・
俺たちは湖で休憩し、野営することにした。
今日も色々あったので、少しゆっくりしようということになった。
セシルは俺が出した道具で野営の準備をし、ヨルセの世話をした。
今夜はあまり危険な動物の気配がしなかったので、ヨルセはそのままにしておいた。
やはりここは神聖な場所なのかもしれない、湖周辺が浄化されているようだ。
俺はこんな風にいるだけで、清められるようなそんな存在に頑張ればなれるかな?と突拍子のない事を考えていた。
無理だよね・・・と結論に至った。そんなこと俺ができるわけないもん(笑)
俺 「セシルー!今日は疲れたねー。こうやって意味の無いことをしゃべれるなんて、すごく贅沢な気がするよ。」
セシル 「そうだな!今まではウィジャボード大変だったもんな!すごく楽になった。あたいずっと直接ようへいとしゃべりたかったんだー。願いが叶ってうれしいよ!」
俺 「俺もうれしい。今までもどかしかったんだ!でもいつでも話せる。すごいな!」
セシル 「うん!ようへいがマリーと話してて、すごく羨ましかったんだー。これで、どんなことがあっても相談できるな!」
俺 「そうだね!俺たちコンビは最高だ!」
俺たちは意味のない事をしゃべりながら眠りに落ちた。
恋人同士が寝る前に電話する感じに似ているのかも?と俺は思った。
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