不倫ピエロ

苺 あんこ

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プロローグ

同棲

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人を好きになるのは自然なことだと思う。

それは理性でどうにかなるものではない。

俺の場合はたまたま、好きになった人が結婚していたというだけ。

世間的に見たら不倫はいけないことなんだろう、浮気も含めて。

それでも感情は止められない。

この人生を何度、繰り返しても彼女のことを好きになっていたと思う。


ーー結末はわかりきっていても。






「はるー?その荷物こっち持ってきてー」

「りょーかーい」

俺はフタが半分だけ開いた段ボールをよっこらしょ、と持ち上げた。

こっちこっち、と手をちょいちょい、とする萌香の元へ近づく。


「これなに入ってんの?」

「んー、さあ?」


なんでわかんないもの持ってこさせるんだよ。

俺の彼女であるこいつ、山戸 萌香やまと もかはこの通りどこか抜けている節がある。


「まあ、テキトーにそこ置いといてー」

「......はあ」


萌香は短い黒髪を揺らしながら、階段をドタドタ、と降りていった。


さて、見てわかる通り、俺たちは引越しの最中だ。

出会って2年になるこいつと、まさか同棲することになるとは思わなかった。

今日からこの2階建の家に住むことになったわけだが、ここに決めたわけは部屋がたくさんあって家賃が安い、というありきたりな理由だ。

2階建ではあるが、戸建てというわけではなく、集合住宅みたいな感じだろうか。

なので、正面以外は日当たりが悪い。そこはデメリットだな。


「ねえ、ここの電気つかないんだけど。どして」


少しだけ黄色く変色したリモコンのスイッチをカチカチ、と必死に押している。


「リモコンが違うだろ、どう見ても」

「あ、そっか」


萌香は窓辺に置いてあるもう一つのリモコンを取った。

アホなんだよな、こいつ。


日当たりが悪いと、日中でも電気のいる部屋が出てくる。トイレもそうだし、風呂場もそうだ。

電気代のことを考えると、家賃が安くても日当たりが悪い家は選ばない方がいいのかもしれない。

主婦なのか?俺は。


萌香はあまり家事をするタイプではない。しいて言えば、掃除が好きなことくらいだ。

なので、この家ではほとんどの家事が俺の担当になりそうだ。


ある程度、ものが片付いて一息ついていると、萌香がスマホをいじりながら言った。


「あ、そういえば今度、お姉ちゃんが遊びに来るってー」

「......え?」


それが悲劇の始まりだった。

いや、あるいは喜劇なのかも。みんなにとってはね。
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