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空白の真実は~1
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この学園の校内には緑が多くみうけられる、表門の正面にいくつもある校舎の中庭には池や小さな噴水などがあり、さながら緑豊かな公園といった感じがする。
まぁ当然のように遊具は設置されてはいないが、隅のほうには何に使うかわからない木の杭がいくつも地面から伸びていた。
そして小さな石碑のようなものも見受けられる。
この学園建設時からのモットーは1、生徒の自主性、2、強気を挫き弱きを助けよ、3、向上心となっているようだ。
しかしそれも昔のこと、一応は変わっていないのだが、学園内には生徒の間、さらに一部の教師・教官にもある暗黙のルールが出来あがっていた。
これは長い歴史の暗部と言うべきもの。この話はいずれ機会があれば語ることに。
本来なら2時限目が始まっている時間帯、しかし本日は誰一人としてこの学園に生徒は居ない。
このように暖かい陽だまりの中、そこらの芝生の上で昼寝でもしたらさぞ気持ちようであろう、そんな中校舎間を繋ぐ長い渡り廊下を歩く2人。
恐ろしく静まり返った学園内、2人の、特に義足の少年の足音が渡り廊下と建物に反響し響いている。
この少年、記憶がないので正確にはわからないが、おそらく学園の1年と同じ位の年頃であろうと予想される。
手足を失い、体中に傷跡があることを除けば、パッと見、普通どこにでもいる年頃の男子と言えるだろう。
「……モグモグ」
不思議な少年であった、彼は自分の身体の状態が正確に把握していないのであろうか。
普通ならこのくらいの年齢で、突如不慮の事故などで自身の手足を失った場合、パニックを起こしてしまう。
しかし少年は平然としていた、現在壁破壊(自己申告の為真意は不明)で壊れて動かない左手を見ても、動じた様子はまったくな見られなかった。
この状況下、恐ろしいほどの落ち着きを見せる少年、ただ鈍感なだけかなのも知れないのだが。
アテネは黙ってそんな少年を見つめている、視線を感じてか、少年も上目ずかいで彼女を見ていた。
少年はさきほどまで料理を食べていたにもかかわらず、両手でかかえるほどの大皿にサンドイッチや肉を乗せ、いまだに食べ続けていた。
無言で歩き続け、目的地が確認できる距離までやってきていた。
「--ちょっ、ちょっとこれは一体、何があったのよ」
どうやらがここが目的地と思われる、その治療室に戻ってきたアテネと少年。
扉を開けた瞬間、アテネは我が目を疑った、そこには破壊された機械類やベッド、そして手足を引きちぎられ、バラバラ死体ーーいや床に散らばる数人のQ先生の体。
治療用のベッドが並んでいた奥の壁は、先ほどの食堂の倉庫の壁と同じように大きな風穴が開いていた。
破壊された壁の穴から、太陽の光が室内へ降り注いでいた。
「--オヤ? あテネ先生と治療をほっぽリダシて逃げ出した、不確定要素満載の少年でハないデスか、イや~~まイりまシタ、まサカ注射しよウト近寄ったダケで、こコまで破壊サレるなンて」
「はイ、私タチでナケれバ、死んデましタよ」
「そんな、まさかこの子がこれをやったというの」
バラバラになったにもかかわらず、陽気に答えるQ先生達であった。
散らかった室内をかたずけ、すぐに壁の穴を塞ぎ、新しい体に交換したQ先生の1人。
同時に数人のQ先生が、少年の壊れた左手の部品の交換作業をすませていた。
すべての作業を終わらせると、隣のモニター室に1人のQ先生を残し、他は用事でいなくなっていた。
2人は長椅子に腰掛け、Q先生と対面していた。
マッドサイエンティストらしく、コーヒーをお約束の三角フラスコに入れ2人に手渡すと、自分も新しいフラスコに黒い謎の液体を入れ一気に煽った。
機械の、仮初の身体で飲む必要があるのかは不明であるが、アテネは特に気にした様子はない。
「それでQ先生、本・当・は・何をしようとしたんですか、注射というのは嘘ですよね」
コーヒーを飲み、少し落ち着いた様子のアテネはジト目で話しかけた。
「……ナ、何ノことデス、ワ、私ハ、彼を治療しよウと、……すルタめニ近寄ったダケで」
彼女の質問に不自然な動きで目線を上に逸らす、手に持ったフラスコをカタカタと揺らし、どう見ても明らかに動揺した様子のQ先生。
沈黙が室内を覆いつくす、五分ほど経過したが一行に口を開かないQ先生、どうやら答えるつもりはないようだ。
「ねぇ君、何されようとしたのか教えてくれる」
Q先生に質問するのをあきらめ、少年に尋ねることに。
しばらくの沈黙が続いた、ときおり何かを思い出すように考え込む少年。
そしてようやく少年は口を開いた。
「……目を開けたら、その人達が、何か大きなもので僕の体を壊そうとしてた、そしたら目の前が真っ白になって、気づいたらさっきの食べ物が沢山あった所の前にいた」
「へぇ~~そうなんだ、こ・の・人・達・が・君の体を壊そうとしてたのね、ううんいいのよ、君が謝ることなんてないから」
申し訳なさそうに俯く少年、彼女は頭に手をやりやさしく撫でてあげた。
「そ・れ・で・何をしようとしてたのですかあなた達は、ことによっては核であるアレを、再起不能になるまで叩き潰しますよ」
のちのQ先生は語った、微笑んでいる彼女の背後に鬼の姿が見えたのだと。
死を覚悟した彼、いや、実際に体を失ったくらいで彼等の種族が死ぬことはないのだが。
その時の彼女の笑みは、とても恐ろしかったと語った。
まぁ当然のように遊具は設置されてはいないが、隅のほうには何に使うかわからない木の杭がいくつも地面から伸びていた。
そして小さな石碑のようなものも見受けられる。
この学園建設時からのモットーは1、生徒の自主性、2、強気を挫き弱きを助けよ、3、向上心となっているようだ。
しかしそれも昔のこと、一応は変わっていないのだが、学園内には生徒の間、さらに一部の教師・教官にもある暗黙のルールが出来あがっていた。
これは長い歴史の暗部と言うべきもの。この話はいずれ機会があれば語ることに。
本来なら2時限目が始まっている時間帯、しかし本日は誰一人としてこの学園に生徒は居ない。
このように暖かい陽だまりの中、そこらの芝生の上で昼寝でもしたらさぞ気持ちようであろう、そんな中校舎間を繋ぐ長い渡り廊下を歩く2人。
恐ろしく静まり返った学園内、2人の、特に義足の少年の足音が渡り廊下と建物に反響し響いている。
この少年、記憶がないので正確にはわからないが、おそらく学園の1年と同じ位の年頃であろうと予想される。
手足を失い、体中に傷跡があることを除けば、パッと見、普通どこにでもいる年頃の男子と言えるだろう。
「……モグモグ」
不思議な少年であった、彼は自分の身体の状態が正確に把握していないのであろうか。
普通ならこのくらいの年齢で、突如不慮の事故などで自身の手足を失った場合、パニックを起こしてしまう。
しかし少年は平然としていた、現在壁破壊(自己申告の為真意は不明)で壊れて動かない左手を見ても、動じた様子はまったくな見られなかった。
この状況下、恐ろしいほどの落ち着きを見せる少年、ただ鈍感なだけかなのも知れないのだが。
アテネは黙ってそんな少年を見つめている、視線を感じてか、少年も上目ずかいで彼女を見ていた。
少年はさきほどまで料理を食べていたにもかかわらず、両手でかかえるほどの大皿にサンドイッチや肉を乗せ、いまだに食べ続けていた。
無言で歩き続け、目的地が確認できる距離までやってきていた。
「--ちょっ、ちょっとこれは一体、何があったのよ」
どうやらがここが目的地と思われる、その治療室に戻ってきたアテネと少年。
扉を開けた瞬間、アテネは我が目を疑った、そこには破壊された機械類やベッド、そして手足を引きちぎられ、バラバラ死体ーーいや床に散らばる数人のQ先生の体。
治療用のベッドが並んでいた奥の壁は、先ほどの食堂の倉庫の壁と同じように大きな風穴が開いていた。
破壊された壁の穴から、太陽の光が室内へ降り注いでいた。
「--オヤ? あテネ先生と治療をほっぽリダシて逃げ出した、不確定要素満載の少年でハないデスか、イや~~まイりまシタ、まサカ注射しよウト近寄ったダケで、こコまで破壊サレるなンて」
「はイ、私タチでナケれバ、死んデましタよ」
「そんな、まさかこの子がこれをやったというの」
バラバラになったにもかかわらず、陽気に答えるQ先生達であった。
散らかった室内をかたずけ、すぐに壁の穴を塞ぎ、新しい体に交換したQ先生の1人。
同時に数人のQ先生が、少年の壊れた左手の部品の交換作業をすませていた。
すべての作業を終わらせると、隣のモニター室に1人のQ先生を残し、他は用事でいなくなっていた。
2人は長椅子に腰掛け、Q先生と対面していた。
マッドサイエンティストらしく、コーヒーをお約束の三角フラスコに入れ2人に手渡すと、自分も新しいフラスコに黒い謎の液体を入れ一気に煽った。
機械の、仮初の身体で飲む必要があるのかは不明であるが、アテネは特に気にした様子はない。
「それでQ先生、本・当・は・何をしようとしたんですか、注射というのは嘘ですよね」
コーヒーを飲み、少し落ち着いた様子のアテネはジト目で話しかけた。
「……ナ、何ノことデス、ワ、私ハ、彼を治療しよウと、……すルタめニ近寄ったダケで」
彼女の質問に不自然な動きで目線を上に逸らす、手に持ったフラスコをカタカタと揺らし、どう見ても明らかに動揺した様子のQ先生。
沈黙が室内を覆いつくす、五分ほど経過したが一行に口を開かないQ先生、どうやら答えるつもりはないようだ。
「ねぇ君、何されようとしたのか教えてくれる」
Q先生に質問するのをあきらめ、少年に尋ねることに。
しばらくの沈黙が続いた、ときおり何かを思い出すように考え込む少年。
そしてようやく少年は口を開いた。
「……目を開けたら、その人達が、何か大きなもので僕の体を壊そうとしてた、そしたら目の前が真っ白になって、気づいたらさっきの食べ物が沢山あった所の前にいた」
「へぇ~~そうなんだ、こ・の・人・達・が・君の体を壊そうとしてたのね、ううんいいのよ、君が謝ることなんてないから」
申し訳なさそうに俯く少年、彼女は頭に手をやりやさしく撫でてあげた。
「そ・れ・で・何をしようとしてたのですかあなた達は、ことによっては核であるアレを、再起不能になるまで叩き潰しますよ」
のちのQ先生は語った、微笑んでいる彼女の背後に鬼の姿が見えたのだと。
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