R18【同性恋愛】『戻れない僕らの日常』【絆・対・相編】正規ルート編

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────2章【久隆と葵】

□10「美術館と理事長の息子」

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****♡Side・葵

────翌朝。

楽しみにしてたんだよね。
最近サクは、久隆くんにべったりだし。
でも今日は二人でデート。

「サクッ」
葵はお気に入りの服に着替え、エントランスで待っていた咲夜に、むぎゅッと抱きつく。

ねえ?可愛い?
俺のこと好き?

「葵、可愛い」
と、彼は葵の髪を撫でて。
「ふふふッ。今日は美術館に行こうよ」
ニコニコしながら彼を見上げ、行き先を告げる葵。
「うん」
葵が咲夜とイチャイチャしていると、階段を降りてくる久隆に遭遇。彼は普段ならジーンズにTシャツという出で立ちが定番だが、本日は大里とのデートを意識してか、黒を基調としたスタイルで決めていて、なかなかお洒落である。
「おはよ!久隆くん」
葵が咲夜に抱きついたまま挨拶をすると、久隆は優しく微笑む。咲夜がじっと久隆の方を見上げるのがどうにも気になるが。

「何処に行くことにしたの?」
と、エントランスまで降りてきた久隆が二人に問いかけた。葵はくるっと振り返り、
「美術館ッ」
と答え、イエーイと両方の親指を立て前につき出すと、
「あ、葵ちゃん可愛い。お洒落だね」
葵のカッコを見て、彼が感想を述べる。葵はすかさず、ゲッツみたいなポーズをし、
「そっちもねー!」
といつも通り明るく返した。

二人でクスクス笑い合っていると、寂しそうに久隆を見つめていた咲夜が、やっと笑顔になる。
「ふふッ」
葵は声を出して笑う咲夜を見て、久隆と顔を見合せるとホッとした表情を浮かべた。葵にとっても久隆にとっても咲夜はお姫様だ。大事な大事な守るべき人。
「気をつけて行ってらっしゃい」
久隆は葵にバグをすると、咲夜の腕を掴み引き寄せ、ちゅッと口づける。ぱあッと花が咲いたような表情をする咲夜を、葵は可愛いなぁと思っていたのだった。

**

二人、手を繋いで大崎邸から出ると車が待っていた。駅まで送ってくれるらしい。久隆がいない状態での送り迎えは、葵は習い事先に送って貰ったりするので慣れていたが、咲夜はあまり馴れていない為、繋いだ手が強ばっている。
「楽しみだねッ」
と、彼の緊張を解いてあげようと葵はニコッと微笑む。
「うん」

サク可愛いなぁ。
ピュアだなぁ。
美人だし、いい匂いッ。
あとでいっぱいイチャイチャしよっと。

「美術館の近くにお洒落なカフェ見つけたんだー」
と、乗り込んだ車の中で彼に話しかける葵。
「へぇ」
「南が教えてくれたんだけどね、ミカンのデザートいっぱいあるんだって」
と嬉しそうに話すと、彼が葵の髪を撫でる。葵は彼の綺麗な指先にドキリとした。優しく撫でる彼の手が葵は大好きだった。
「食べ過ぎちゃダメだよ?」
と、彼。
「うんッ」
葵と二人きりになると彼は、中学の時のように段々とお兄ちゃんのような雰囲気に変わっていくのだ。それはある意味、葵だけに見せる咲夜の姿。
「えへへ」

気持ちいなぁ。
サクの手..。

****

葵が彼と手を繋ぎながら館内を歩いていると、スレ違う人が振り返っていく。葵は鼻が高かった。一緒に歩く彼の美貌に皆が振り返り、可愛らしい葵とのツーショットに微笑むのだ。

つまり、お似合いッてことだよね!

葵はニコニコしながら隣の彼を見上げて固まる。彼はじっと前方の人混みを見ていた。

え?なに見てるの?

葵もそちらに目を向け、固まった。そこに居たのはK学園理事長の子息とその幼馴染み。彼はそのことを知らないはずだが、じっと見ているということはもともと知り合いなのであろうか。
「サク?」
葵は直接聞いてみることにした。
「親戚の子なんだ」
どうやら咲夜が見ていたのは理事長の子息ではなく、その幼馴染みで、彼の親戚らしい。葵は少しホッとする。なぜなら、幼馴染みの子が可愛らしかったからである。
「サクはどんな画家さんが好きなの?」
安心した葵は絵画の話をふった。

「ダ・ウィンチが好きだよ」
「最後の晩餐はいろいろ弄られてるみたいだね」
来る前にネットで検索した画像を思い出し話題にする。
「ああいうのを見ると、誰かが作り出すものを見ることが、新たな発想や発明に繋がるというのがよくわかるよね」
咲夜はゴッホの星月夜を見つめて。全体に安らぎを感じる青が使われている素敵な夜空と月の印象的な絵画である。
「うん」
葵は、絵をまっすぐ見つめている彼に、心を奪われていた。なんて綺麗なのだろうと。
「ミレーのオフィーリア、凄いね。草木が本物みたいだ」
森の中だろうか?女性が川のような池のようなところに浮いている幻想的な絵画。草木が今にも風に揺れそうなほどリアルで繊細なタッチである。
「フェルメールも凄いね」
まるで写真のような絵画に二人は感嘆を漏らす。

「そういえば、久隆くんの描いた絵さ」
あ、しまったと葵は思ったが遅かった。話題のチョイスを間違ったようである。せっかく二人で楽しくデートをしているのに、彼に今傍にいない愛しい人のことを思い出させてしまう。
「うん?」
彼は一瞬寂しそうな表情を見せたが、葵を気遣いなんでもないことのように振舞う。そんな彼を葵は、そっと引き寄せる。寂しくないよ、とでも言うように。
「破壊的に下手だよね」
と葵は、わざと明るく言ってみせる。彼は”どんなものなの?”と興味を示した。
「あ。写メある」
と葵はスマホを操作し、久隆の描いた絵を撮ったものを彼に見せると彼は吹き出した。
「足短すぎじゃない?」
笑みを受かべる彼に、自分も自然と笑顔になっていた。お昼が近いということもあり、二人は久隆の話に花を咲かせながら出口に向かう。葵は大好きな彼が笑顔でいることに幸せを感じながら。
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