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────3章【久隆と大里】
□9「認めて欲しい」
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****♡Side・大里
金曜か…。
明日は撮影だっけ?
いつものように生徒会室に入り浸り、ソファーで片膝を抱え込むと、ブルートゥースイヤホンを耳に挿し込みスマホを操作する。流れ出すのは”50 Candles”気分的にはちょうど良い。しっとりした曲調は耳に馴染んで、心を優しく包む。画面に映るのは久隆からのメッセージ。返事はしていない、返す必要も無いもの。大里はただそれを、じっと見つめていた。
ふと顔を上げると、美崎と鶴城がなにやら楽しそうに、話をしているのが目に入る。珍しいなと感じ、二人が”夕方から旅行に行く”といっていたことを思い出す。行き先は例の旅館らしい。周りでクヌギ旅館が好評なのは、自分が発端であることを知らないのだな、と思いつつ再び画面に目を移す。指先をスライドして画面を切り替えれば、他人には見せることのない待ち受けに切り替わる。それは久隆と二人で撮った小学生の頃の写真。
────久隆が、好きだ。
そんなことが自分をこんなにも苦しめ続けるなんて思いもしなかった。泣きたくなるのを耐える。こんなところで泣いたら、そこの二人に心配されてしまう。美崎は自分を羨ましいというが大里は、”どっちがだよ”といつも思っていた。
「ん?」
────なんてタイミングだよ。
忌々しいというように大里は立ち上がると、ベランダに出る。人前で通話するのは好きではない。
「何」
大里にしては冷たい物言いに、通話の相手が一瞬怯む。
『そういう言い方、ないだろ』
通話の相手は久隆だ。朝から目の前でイチャイチャされて、嫌な気分になった上に、放っておいてくれないなんて。
「予定なら見た」
と冷たく言い放つと、彼がため息をつく。こんな風にあたるのは間違っている。だが、彼から”しばらくは二人きりになるのはやめよう”と言われたばかり。そんなに自分は信用がないのだろうか。昨日の事は悪かったと思っているのに。
それなのに…この仕打ちは、あんまりだろ?
『なんでそんな機嫌悪いんだよ』
解ってるくせに、理由なんて。
言わせたいのか?それとも確認か?
俺がどれだけ久隆を好きか解ってるくせに!
『一緒に帰らないのか?』
「今日はいい」
まるで駄々っ子みたいだなと、自嘲気味に笑う。こんなに気にかけてくれるのだから”それでいいじゃないか”と、折れればいいのに。
『大里』
「名前呼んで」
俺を認めてよ。
俺は久隆にとって、なんなんだよ。何にならなれるんだよ?
言いたいことはたくさんあるけれど、どれ一つ言葉にならない。
俺はここにいるのに。
君にとって自分は要らない存在なのだろうか?
存在を認めて欲しい。
「久隆」
この世で自分を救えるのは…。
『聖』
静かにゆっくりと紡がれる言葉に、
『機嫌直してくれよ』
ただ、涙があふれた。
電話を切った後、手すりにもたれ、ため息をついているとお知らせのランプがチカチカしているのに気付く。
「彩都?」
どうやらデートがしたいらしい。可愛らしい彩都の、くるくる変わる表情を思い出してほんの少し癒される。
気分転換も大切だな。
大里は微笑むと、セフレである黒川のメッセに”おう、いいよ”と返すとベランダから生徒会長室へと入ってゆく。
「帰るのか?」
声をかけて来たのは鶴城である。大里は軽く手をあげると生徒会室を後にした。背中に”気をつけて帰れよと”いう声を受けながら。
金曜か…。
明日は撮影だっけ?
いつものように生徒会室に入り浸り、ソファーで片膝を抱え込むと、ブルートゥースイヤホンを耳に挿し込みスマホを操作する。流れ出すのは”50 Candles”気分的にはちょうど良い。しっとりした曲調は耳に馴染んで、心を優しく包む。画面に映るのは久隆からのメッセージ。返事はしていない、返す必要も無いもの。大里はただそれを、じっと見つめていた。
ふと顔を上げると、美崎と鶴城がなにやら楽しそうに、話をしているのが目に入る。珍しいなと感じ、二人が”夕方から旅行に行く”といっていたことを思い出す。行き先は例の旅館らしい。周りでクヌギ旅館が好評なのは、自分が発端であることを知らないのだな、と思いつつ再び画面に目を移す。指先をスライドして画面を切り替えれば、他人には見せることのない待ち受けに切り替わる。それは久隆と二人で撮った小学生の頃の写真。
────久隆が、好きだ。
そんなことが自分をこんなにも苦しめ続けるなんて思いもしなかった。泣きたくなるのを耐える。こんなところで泣いたら、そこの二人に心配されてしまう。美崎は自分を羨ましいというが大里は、”どっちがだよ”といつも思っていた。
「ん?」
────なんてタイミングだよ。
忌々しいというように大里は立ち上がると、ベランダに出る。人前で通話するのは好きではない。
「何」
大里にしては冷たい物言いに、通話の相手が一瞬怯む。
『そういう言い方、ないだろ』
通話の相手は久隆だ。朝から目の前でイチャイチャされて、嫌な気分になった上に、放っておいてくれないなんて。
「予定なら見た」
と冷たく言い放つと、彼がため息をつく。こんな風にあたるのは間違っている。だが、彼から”しばらくは二人きりになるのはやめよう”と言われたばかり。そんなに自分は信用がないのだろうか。昨日の事は悪かったと思っているのに。
それなのに…この仕打ちは、あんまりだろ?
『なんでそんな機嫌悪いんだよ』
解ってるくせに、理由なんて。
言わせたいのか?それとも確認か?
俺がどれだけ久隆を好きか解ってるくせに!
『一緒に帰らないのか?』
「今日はいい」
まるで駄々っ子みたいだなと、自嘲気味に笑う。こんなに気にかけてくれるのだから”それでいいじゃないか”と、折れればいいのに。
『大里』
「名前呼んで」
俺を認めてよ。
俺は久隆にとって、なんなんだよ。何にならなれるんだよ?
言いたいことはたくさんあるけれど、どれ一つ言葉にならない。
俺はここにいるのに。
君にとって自分は要らない存在なのだろうか?
存在を認めて欲しい。
「久隆」
この世で自分を救えるのは…。
『聖』
静かにゆっくりと紡がれる言葉に、
『機嫌直してくれよ』
ただ、涙があふれた。
電話を切った後、手すりにもたれ、ため息をついているとお知らせのランプがチカチカしているのに気付く。
「彩都?」
どうやらデートがしたいらしい。可愛らしい彩都の、くるくる変わる表情を思い出してほんの少し癒される。
気分転換も大切だな。
大里は微笑むと、セフレである黒川のメッセに”おう、いいよ”と返すとベランダから生徒会長室へと入ってゆく。
「帰るのか?」
声をかけて来たのは鶴城である。大里は軽く手をあげると生徒会室を後にした。背中に”気をつけて帰れよと”いう声を受けながら。
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