R18【同性恋愛】リーマン物語if1『いじめてあげる』

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1章『いじめてあげる』

15:いつも一緒に

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****♡Side・塩田

「こんなにいっぱい飾って、そんなに大好き?」
 塩田は写真立ての一つを手に取ると、それを眺めながら。
 別に意地悪のつもりで言ったわけではないのだが、塩田の言葉に皇は頬を染めぷくっと膨れた。
「嫌いだったら飾らない」
 それは、塩田と二人で撮った写真をプリントしたものである。
「なんで怒るんだよ」
と言う塩田の質問に、
「どうせ、バカにしてるんだろ」
と上目遣いで恨めしそうにこちらを見ている彼。
「いや……俺様が飾ってやってるんだ。有り難く思え、くらい言うかと思った」
「そうとも言えなくもない」
 途端に持ち直す彼に、塩田は思わず笑顔になった。

──単純で可愛いな。

「おい、何してんだ」
 そんな塩田に向けられる皇のスマホ。
「笑顔、可愛いから」
 ”優一のほうがよっぽど可愛いよ”と呟くと、
「さて、風呂場もチェックしようかね」
と、踵を返す。
「塩田、今なんか言わなかった?」
「風呂場」
「その前だって!」
 追いかけてくる皇を無視し、洗面所のドアをあける。特に変なものはない。
 どこを見ても必要最低限のものしかなかった。
「ちょっ、急に止まるなよ」
 立ち止まった塩田に彼がぶつかる。
「いや、むしろ前見て歩け」
と言いつつも、纏わりつく彼が可愛くてその腕を掴み引き寄せた。
「ちょうどいい、風呂入ろう」
「いや、でもまだ湯、張ってないし」
と、塩田にネクタイを引き抜かれ戸惑う彼。
「すぐ、溜まるだろ」

**

「んんッ」
 思わず漏れてしまった声に、手を口元へ持っていく皇。
「気持ちいい?」
と、塩田は優しく問いかける。
「うん」
と、彼は嬉しそうだ。
「前も洗ってやろうか?」
「いい」
「んー?」
と、彼の股にかけられたタオルを指先でそっと持ち上げると、
「ちょっ」
 慌てて抑える彼。
 塩田は、クスっと笑うと先に湯舟へ。彼は塩田に見られているのが気になるのか、チラリとこちらに視線を向けてから前を洗い始めた。
「早く出て、イチャイチャしよう。優一」
「えッ」
 浴槽に頬杖をつき、指先で彼の髪に触れる。
「きょ……今日はしない」
「ん?なんで」
 もちろんエッチのお誘いなのだが、彼が断わるのが意外だった。

「だって、塩田のこと思い出して寂しくなっちゃうだろ。一人で寝るとき」
 彼は軽く唇を噛みしめると、寂しそうに。
 そこで塩田は初めて写真立ての意味を理解した。単に、好きだからとかそういう理由で置いているわけではないのだ。
 彼は副社長で、自分は平社員。彼は仕事で遅い日もある。職場で毎日顔を合わせているが、それは彼が好んで苦情係に来ているから会えるのだ。
 塩田はそれを当たり前のことだと思っていた。逢えない時があっても当然なんだと。
 生活感のない彼の家に、まるで宝物のように置いてある塩田との写真は、少しでも寂しさを紛らわすためだったと理解した時、愛しさが増した。
「一緒に暮らそうか」
「え?」
「毎日、傍にいてやるよ」
 驚いて塩田のほうを振り返る彼の腕を掴むと、口づけたのだった。
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