R18【異・同性恋愛】『二人を繋ぐ宝物の日々』

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『二人を繋ぐ宝物の日々』

2.なっちゃん登場!

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 ****side・真咲

 ティリッティリー!
 真咲と自室でイチャイチャしていたら変なミュージックと共に部屋のドアが開けられた。
 「にいさま!」
 なにやらゴスロリっぽいカッコをし飛び込んで来たのは妹の夏海なつみである。
 手には、スマホを持ちキラキラした瞳を向けてくる。

 「なっちゃん!」
 奏は膝枕をされていたので、慌てて起き上がった。
 「夏海ちゃん、今日も元気だね」
 夏海は一つ下で、K学園にある奏ファンクラブという名の同人サークルの創始者でもある。兄と真咲をネタに同人誌を作っているとんでもない子だ。
 「真咲さんっ。相変わらず美人!」
 「あ、ありがとう」
 「なっちゃん、今度は何にハマってるの?」
 妹はコスプレ好きでこづかいを全て布に消費している。
 「ローゼンメ○デン!衣装が可愛いのっ!」
 マンガやアニメが好きというわけではなく、イラストが好きらしい。たくさんの画集を収集している。

 夏海は後に、我が息子..いや、股間ではなくて..圭一を題材に同人誌まで作ることとなのだが。
 大崎一族1の自由人である。
 「へ、へえ」
 「それより、兄さま!」

 いつから、兄さまと呼ぶようになったんだ
 昨日までは“兄上!”と呼んでいた気がする

 「今日こそ合体できたのですか?」
 「ぶッ」
 隣で紅茶を飲んでいた真咲が吹いた。

 ****

 「でね」
 奏が戻ってくるのを待ちながら真咲は夏海とお喋りをしていた。
 奏の部屋というのは、中庭に面した部分に座った時に胸くらいまでの壁があり、その上に障子のある場所がある。
 そこには四人がけのテーブル..長方形で木の重厚なちゃぶ台を寄せてその壁においてある。
 つまり、障子を開ければ日本庭園を見渡せる構造になっている。まるで旅館のように。

 それは、突然やって来た。奏が戻ってきた頃に。
 「夏海ー!」
 「やばい、ママだ」
 夏海はサッと立ち上がると
 「夏海は居ません、留守です!って言っといて」
 彼女は、障子を開けると、中庭を囲むようにある板張りの長い廊下に飛び降りた。

 どっから出るんだよ!

 彼女は奥へ向かって走り出す。
 どどどどどどどどどど、と。
 奏と二人、そこから廊下を覗き込むが
 パパパパパパパパパパパと、反対側から尋常ではない早さのスリッパの音がした。
 「夏海ー!」
 奏の母である。

 こ、こわ!

 「夏海はるぅすううううううう!」
 そう叫びながら、彼女は手の指をピタリとつけ、全速力で走っている。
 「夏海ー!スリッパを履きなさいっていつも言ってるでしょ!」
 母は和装にて、全速力で追いかける。
 「きゃああああああ!」
 あ、と思った時は遅かった。夏海はフワモコ靴下を履いていたためつるっと滑り派手に転んだ。
 「奏の家って、賑やかだな」
 「あはは」
 さすがの奏も苦笑いをしていたのだった。

 ****

「もうっ!夏海ったら逃げ足速いんだから」
 大崎ママがプンスカしながら戻ってくる。その手にはスリッパが。
「奏、夏海が来たら履くように言って頂戴」
 真咲はそのやりとりを眺めていた。
「せっかくママが夏海の希望通り買ってあげたのに」
「ちょっとまって、なんでリアルな熊足?」
 スリッパはまるで熊の足である。さすがの真咲も”夏海ちゃん、随分かわった趣味してるなあ”と思っていた。

「夏海が”くまの○ー”のスリッパが欲しいっていうから。熊でしょ?」
 真咲は爆笑した。
「熊っていったら、本毛皮に決まってるじゃない」
 ただ、怖いだけである。
「いや、なっちゃんはきっとディ○ニーのかわいいやつが欲しかったと思うんだよね」
「熊に可愛いもクソもないでしょ!白熊かツキノワグマよ」
 ”わがままいってんじゃないわよ!”とプンスカしながら大崎ママは去っていった。どう見ても夏海が欲しがったスリッパの十倍の値はする。

「セレブも大変だな」
「確かにこれは履きたくないよね、リアルだもん」
 奏は眉を寄せ困り顔でスリッパを眺めている。
「野良犬避けにでも、門のところに吊るして置けば?」
 真咲は頬杖をついて。
「いや、怒られそう」
「とりあえず、スリッパは買ってあげたら?」
 と二人で穏やかに話をしていたら玄関の方向から怒鳴り声がした。

「夏海ーーーー!」
「なんかまた怒ってるみたいだよ?」
「今度はなんだろうね?」
 二人して廊下に身を乗り出す。
「こんなに痔の薬買ってどうする気なのーーーー!」
「お兄ちゃんにあげるんだもん!」
 夏海の声に二人は顔を見合わせた。
「お尻一個しかないのに、二十個もどうするの!」
「千個の中から厳選だよ!」
 なんだかトンデモないことが聴こえたような気がして、二人はそっと障子を閉めたのだった。
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