おすすめ作品【感想・レビュー】まとめ

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
100 / 305
2021’6

ビーストトリマー〜よろずトリミング承り〼~

しおりを挟む
水野ナオ 様作

【あらすじ引用】

 神獣、聖獣、魔獣、霊獣、幻獣、それらを討伐するのでもなく、使役するでもない。お手入れをする場所がある。
 それはトリバーレン王国の首都ラブラから西の山脈を越えると森がある。その森深くの湖畔にひっそり佇む一軒のお店『イチキシマ』である。
 ここイチキシマは動物が大好きな三姉妹がグルーミングを生業としている。

 薬学・錬金術が得意で、優しくもちょっと抜けている所がある長女のレイ・ムナカタ。
 姉妹の中で魔法の扱いがうまく、中でも刻印魔法が得意。少し厳しいけど真面目で頼りになる次女ライア・ムナカタ。
 そして獣使いとして様々な動物と心を通わせることができる優しくて元気いっぱいな三女のシュネ・ムナカタ。
 ムナカタ三姉妹は楽しく、時には喧嘩をしながらもビーストトリマーとして今日も元気にイチキシマで働いている。

【物語は】
様々な動物を扱うトリミングサロンが、どんなところに建てられているのか、 その理由などが語られるところから始まる。80年前に建てられた場所だが、現在はある三姉妹が引き継いでいるようだ。

【トリミングサロンと三姉妹】
三人にはそれぞれ得意なものがあり、それによって役割も決まっているようである。この物語は恐らく、ファンタジーの世界にトリミングサロンがあったなら? というIFの世界観がベースなのではないかと感じた。
しかしながら、トリミングを行う動物の種類が変わるからと言って、トリミングを行う方法は現実世界と変わらないし、行う側の人間の意識が大きく変わることは、無いのではないかと思った。それは、動物が好きだからという気持ちの面のことを指している。

三姉妹の役割が語られる中で、彼女たちの性格も明らかになっていく。三人は姉妹ではあるが、それぞれ性格が違うように感じた。つまり、三人のやり取りにも見どころと魅力が詰まっているという事である。しかしながらこの物語の、メインとなる部分は動物とのふれあいやトリミングについてだと思う。

【登場人物の設定について】
この物語では冒頭の方に、登場人物紹介と名前の由来についてなどが資料として置かれている。

*補足
宗像三女神(むなかたさんじょしん)は、宗像大社(福岡県宗像市)を総本宮として、日本全国各地に祀られている三柱の女神の総称である。
宗像市(むなかたし)は、福岡県の宗像地方(福岡地方北東部)に位置する市である。北九州・福岡大都市圏に属す。(ウィキペディア調べ)

つまり由来の宗像三女神が祭られている宗像は、福岡県にあるという事である。そして、三女神が由来だという事は、なにか因果関係を物語の中に用意しているのかも知れない。あくまでも、これは憶測の域を超えないが。

【トリミングと同時に進むのは?】
この物語では、トリミングの仕方についても丁寧に描かれている。お客さんに説明するという方法で、丁寧に語られている印象。トリミングを自分で行うという事は、滅多にないとは思う。しかし冒頭に注意書きがあるので、そちらには必ず目を通して欲しい。
この物語はトリミングを行う上で、参考書になりそうなほど詳しく、そして分かりやすく描かれている。その為、自分でできると勘違いや錯覚してしまうかも知れない。動物は言葉を発しないだけで、人間同様痛みを感じる。なので、怪我をさせない為にも、出来ると勘違いして自分でやらないようにしていただきたい。いや、やってはいけない。

この作品の、面白い要素。物語が二つの視点で同時進行していくという斬新スタイル。ネタバレになってしまうので、詳しくは記載しないが、面白い要素である。したがって、この物語は三姉妹がトリミングサロンを開きながら、いろんな人と交流し、成長してく物語なのではないかと感じた。

【物語の見どころ】
動物の好きな方には、是非お奨めしたい物語である。テレビでもトリミングの仕方を観る機会はあるとは思う。しかし、実際どんなことをしているのかは、言葉で説明されないと、理由など分からないことも多いだろう。
この物語に登場する動物は、現実世界にはいないかも知れないが、ペットの気持ちを理解するきっかけになるかも知れない。
そして動物の好きな方が書かれているのではないかと感じた。それくらい丁寧に描かれた物語である。また、お客さんとのやり取りにも温かいものを感じる。お客さんは自分が大事にしている動物を、この辺境の地までわざわざ連れてくるわけだから、大事にしていると言っても過言ではないはずだ。

そしてこの物語は、ただのトリミングをしているサロンの話ではない。オリジナルの要素が掛け合わされている。三姉妹にはそれぞれ特性があり、特技となるものを活かしてトリミングサロンを経営しているのだ。
例えば”獣使い”には獣使いに出来ることがあるという事である。

あなたもお手に取られてみませんか?
三姉妹がこのサロンを通してどう成長していくのか? 名前の由来になった三女神は、物語の先でなにか影響を与えるのか? まだ他にも明かされていない要素がありそうです。ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...