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2021’12

【独眼竜異聞】~双龍の夢~

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葛城 惶 様作

あらすじ引用
 戦国末期、奥州から天下を睨む一人の若者がいた。そしてその傍らには影の如く寄り添う男が---。互いに龍をその身に宿す主従の絆の物語。

※ 設定はファンタジーですが、事件等については実際の史料を元に、限りなく史実に近づけていますので、大河ドラマより地味(?)かもしれません。(笑)

1 物語の始まりは
社の宮司を務める兄に急ぎ城に上がれと言われ、片倉小十郎景綱は暗闇の中、松明の灯りを頼りに城へ向かっていた。城へ着くと遅いと言われるが、心身を清めていたから遅くなったようである。そこで、梵天丸(伊達政宗の幼名)が天然痘にかかり3日も熱が下がらないと告げられるのであった。

2 関連の史実や用語について
独眼竜とは? 、隻眼の英傑に対して与えられることがある異称。初例は中国後唐の太祖李克用だが、日本では戦国大名の伊達政宗がよく知られる。
(ウィキペディア調べ)
潔斎とは……神事・仏事の前に、飲食その他の行為をつつしみ、水浴などして心身を清めること。
剣祓い……検索したが不明。お守りのようなもの?
朔……太陽と月の黄経が等しくなる現象、およびその時刻をいう。
疱瘡(ほうそう)……天然痘のこと。
注連縄……しめなわ

3 関連の登場人物について
梵天丸……伊達政宗の幼名。
片倉小十郎景綱……戦国時代から江戸時代前期にかけての武将。伊達家の家臣。伊達政宗の近習となり、のち軍師的役割を務めたとされる。仙台藩片倉氏の初代で、景綱の通称小十郎(こじゅうろう)は代々の当主が踏襲して名乗るようになった。(ウィキペディア調べ)
喜多……片倉 喜多・伊達政宗の乳母。父は鬼庭良直。別名は、「喜多子」「少納言」。

4 物語について
小十郎が様子を見てみると、疱瘡(天然痘)に見られる発疹はないに等しく、彼女に”お前も覚えがあろう”と言われて自身に起きたことを思い出す。同じような体験をした覚えがあるようだ。兄には”祓えなかった”と言われ、彼の中に入って来たのは”龍”だと告げられたが、その時は信じることが出来なかった。梵天丸は注連縄の張られた小さな洞窟を覗き込んだのち、何かが目の中に入り込み、このような事態になったようである。
後に二人は連れ立って城を出ることになる。相手はまだ子供なので大変ではあるが、主人公が彼の面倒を見るようになったのであった。

5 感想
時代背景について感じたこと。
今と違い、医療の進んでいない時代と言うのは大変だなと感じた。一番考えさせられたのが、親子の関係についてである。現代の海外などでは、ベビーシッターなどが当たり前な国も存在するし、仕事の間に子供を託児所などに預けるのも当たり前の時代とはなっている。しかし子供であるにも関わらず、あまり親の温もりを感じることのできない時代というのは、とても切ないなと感じた。また、結婚にしても、今のように自分で相手を選ぶことができず、人質のような立場で相手の家に入ることも当たり前の時代である。
まだ幼く、愛など知らない子供に子供を産ませる時代。いろんな意味で人権のない時代だったのだなと感じた。

6 見どころ
あまり歴史の流れが分からないので、確かなことは言えないが龍が体内に入って来るということ以外は、歴史通りなのだと思う。どのような出来事があって、主人公が伊達政宗と共に天下を目指したのか? という歴史が綴られている。過激描写とはなっているものの、激しい暴力描写などはなく全年齢読めると思う。重要な場面が主に描かれており、昔の言葉などが使われている為、苦手な人は、一部読めない漢字も含まれるとは思うが(常用外漢字にルビがない為)。戦いや戦略、日常などがメインとなっている。その中で主従を始めとした信頼関係が結ばれていく。伊達政宗と小十郎にスポットをあてた物語であると感じた。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

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