『今夜も、にわか雨』

すさんだ心に雨が降る

　わたしは連日の不倫報道を眺めながら、首を傾げた。不倫は結婚しているから不倫になる。そんなに色んな女性と関係を持ちたいのであればそもそも結婚しなければいいと思うのだが。一生バナナを振り回していればいい。不倫と知りながら、男と逢う女も女だと思うが。
　それなりに有名な人は、不倫がバレると痛手を食う。それは不倫相手も同じ。
　妻子がある者へ手を出しても、幸せにはならない。不倫男は誰と結婚しようが不倫する。新しい女と結婚したからと言って、不倫しなくなるわけではない。

　自己愛が強いからそうなる。
　自分さえよければいい、自分の良いところだけ見てくれる人が良い。自分の都合のいい相手が好き。
　不倫する人間とは、そんなものである。

　相手の気持ちなんてお構いなしなのだから、そんな相手と再婚したところで繰り返されるだけ。
　本気なら別れてからやればいいのだ。

　雷が鳴る。かなり近くで。それはまるで誰かの怒りを表しているようで、わたしは肩を竦めた。幸せとは一体なんだろうか？　カーテンの隙間から見える暗雲立ち込めたる空は、地上の光を反射していた。晴れている時よりも、曇りの方が明るい地球。わたしたちは、幸せにも不幸にもなりながら地球の上に立っている。
　ふと小人たちに視線を移す。彼らは温かい布団の中で寄り添って寝ていた。それは幸せそうに。

　温かいとは幸せそのものの気がする。
　優しさも、愛も、温もりも。きっと幸せそのものなのだろう。
　自分には手に入ることのないものに、そっと手を伸ばす。永遠に失われたなにかは、もうこの手には入らない。空を切り、闇を掴む。一生恨んでも恨みきれない何か。いつかはこの手から離れ、憎しみを闇にとかせたら幸せだろう。その日までこの手に掴んでおく。

　しかし、人類は。
　バナナ付も、そうでない者も。
　破滅へ向かっていく。幸せなどそこにないと気づきながらも。

　わたしには無縁なそれは。底なし沼のように人の欲望をのみ込んで。
　今日も雨が降る。誰かの感情の溢れるままに。