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────変わりゆく僕らの日常▼前編▼
■12「理性」
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****♡side・咲夜
「霧島ぁ」
サンに腰かけて外を見ていたら、備え付けの風呂から上がった葵が、すり寄ってくる。
「海、綺麗だよ」
「んー」
「あれ?片倉ってストレートなの?」
いつも緩くウェーブがかった髪をしていたから、癖ッ毛なのかと思っていた。
「うん。可愛くないよねー、これ」
と葵は不満そうに。
「可愛いよ?」
「へ?」
「ん?」
咲夜は、紅い顔をして立ち尽くす葵に困る。人前では平気でベタベタ出きるけれど、二人きりというのはどうしていいかわからない。しかもここは旅館で...。片倉は浴衣で。
───困るなあ。困るんだよ。好きだと自覚をしてしまったことだし。それに…。
「チュロス食べないの?」
「あ、食べる」
テーブルの上に置かれたチュロスを見て話題にしてみたのだが、後悔する。
「ちょっ」
「ん?」
───何、エロい。頭を抱え、悶絶した。
「霧島?どうしたの?」
「大丈夫」
心配そうにアムアムしながら近寄って。
「来るなって」
「なあんでッ」
葵はむうっとしながら、指についた砂糖を舐めた。
───だから、そういうの。
「襲いたくなるだろ」
「襲えばいいじゃん!」
「はあ?!」
「いいよ?」
───いいよ、って言われても。正直何をどうしていいのかわからない。
「何がしたいの?」
「わからない」
葵はスッと咲夜の膝の上に腰かけた。
「抱きしめていい?」
「うん」
自分たちはまだ子供で。何をどうしたいのかもわからなくて。ただ温もりを確かめるように彼を抱きしめる。薄い布一枚を通して感じる彼の体温と心音が愛しかった。
「霧島、好きだよ」
「うん?」
「どうしたらつきあってくれる?」
「え?」
───つき合うって何?何するの?友達と何が変わる?具体的なこと言ってくれなきゃわからない。
顔を上げ葵をじっと見つめ、
「唇、砂糖ついてる」
「舐める?」
葵は唇をじっと見つめる咲夜を見ていた。
───舐める?片倉の唇についた砂糖を…。
「え?俺が?」
思考がついてゆかず頭の中で反芻して、やっと理解しびっくりする。
「他に誰がいるの?」
「でも、それって」
「霧島のファーストキス、俺に頂戴?」
───ああ、具体的なやつが来た。
葛藤していた。片倉は友達だ、唯一無二の。そして自分にとっては、この世でたった一人の友達。片倉には好きな人がいるのに、襲っていいとか言うし。好きとか言うし。わけがわからない。いや、考えないようにしていただけだ。その好きが自分であるということを。勘違いだった時、自分が傷つくのがこわいから。
「俺も初めてあげるから、お願い」
ただ、何故葵がそんなに必死なのか、咲夜はわかっていなかった。
”大崎 久隆”
彼をテラスで見かけた時から少しづつ運命は動きだしていたのに。
「んッ」
咲夜は誘惑に逆らえず、葵の唇に口づける。柔らかくて可愛らしい唇を執拗に貪った。一度その感触を知ってしまったら、止めどなく求めてしまうとも考えずに。
**
「んッ」
咲夜は葵を布団に押し倒し、執拗に口づけていた。無知なため、それ以上の熱の放出の仕方が、わからない。
「ふぇッ?!」
葵の浴衣の乱れた胸元から覗く、ピンク色の果実を咲夜は、思わず指先で摘まんで。
「痛いよぉ」
「ごめん」
再び口づけながら、優しくコロコロと指先で転がしてみる。
「んッ..んんんッ」
ほんのりと葵の頬が色づき始めると、咲夜はキスに夢中になった。失ったものを考える。葵には話すべきだとは思っているのだが、咲夜にはどうしても言えないでいた。先日の、母と義父の会話がちらつく。
『あなたも結局同じなのよ!愛した人はみな”あの人”に惹かれてしまう』
『違う!酔っていただけだ』
『それでも、愛しい我が子だから守ってきたわ。でも、もう限界よ。私たち親子を守ってくれると言ったあなたですら、こうなのだから』
咲夜には何を言っているのかわからなかった。
『あの人は美しい人だったわ。女の私が嫉妬するくらい』
ソファーに腰かけた義父は、頭を抱えていて。
『私の好きな人は“あの人”を愛してた。婚約を申し込むと知って、嘘をついたわ。私“あの人”と結婚するって』
『辞めるんだ、咲夜に聞こえる』
咲夜はリビングの外で膝を抱え座り込んでいた。
『彼はそれを信じて、他の女と結婚したの。てっきり“あの人”を奪われるくらいなら、私を選ぶと思っていたのに』
“あの人”、が亡くなった咲夜の実父を指しているのだと気づく。
『“あの人”が亡くなって、彼は咲夜を引き取りたいと言った。絶対に渡すものかと思ったわ。絶対に。でも..』
『言わなくていい。分かっている。君を救いたかった、すまない』
『耐えてきたのに..』
そこで咲夜は美しい母が”咲夜のことを引き合いに出され、取り引き先の者や重役から、性交を求められていた”ことを初めて知った。母が咲夜を守るために、ずっと自分自身を犠牲にしてきたことを。
『咲夜は俺が引き取る。君はもう楽になりなさい』
自分を襲った男に、引き取られる。咲夜は、背筋が凍る思いがした。
『咲夜に何かしたら、許さない』
『一生かけて償うよ』
『咲夜を守って』
『約束するよ』
咲夜は、もう母と妹とは一緒に居られないことを悟る。好きでこんな容姿に産まれてきたわけじゃない。大好きな父に似たことを、イヤだと思ったことはなかったが、自分の運命を呪った。
「霧島ッ..ねぇッ」
「うん?」
「弄ってもいい?..辛いのッ」
ぎゅっとしがみついてくる葵の固くなった葵自身が、咲夜の太ももにあたっている。
「いいよ。手伝ってあげる」
「やぁッ」
葵を起こし、立てた膝を背もたれにするように横抱きにすると、咲夜は浴衣をかき分け、葵の下着の中に手を差し入れたのだった。
「霧島ぁ」
サンに腰かけて外を見ていたら、備え付けの風呂から上がった葵が、すり寄ってくる。
「海、綺麗だよ」
「んー」
「あれ?片倉ってストレートなの?」
いつも緩くウェーブがかった髪をしていたから、癖ッ毛なのかと思っていた。
「うん。可愛くないよねー、これ」
と葵は不満そうに。
「可愛いよ?」
「へ?」
「ん?」
咲夜は、紅い顔をして立ち尽くす葵に困る。人前では平気でベタベタ出きるけれど、二人きりというのはどうしていいかわからない。しかもここは旅館で...。片倉は浴衣で。
───困るなあ。困るんだよ。好きだと自覚をしてしまったことだし。それに…。
「チュロス食べないの?」
「あ、食べる」
テーブルの上に置かれたチュロスを見て話題にしてみたのだが、後悔する。
「ちょっ」
「ん?」
───何、エロい。頭を抱え、悶絶した。
「霧島?どうしたの?」
「大丈夫」
心配そうにアムアムしながら近寄って。
「来るなって」
「なあんでッ」
葵はむうっとしながら、指についた砂糖を舐めた。
───だから、そういうの。
「襲いたくなるだろ」
「襲えばいいじゃん!」
「はあ?!」
「いいよ?」
───いいよ、って言われても。正直何をどうしていいのかわからない。
「何がしたいの?」
「わからない」
葵はスッと咲夜の膝の上に腰かけた。
「抱きしめていい?」
「うん」
自分たちはまだ子供で。何をどうしたいのかもわからなくて。ただ温もりを確かめるように彼を抱きしめる。薄い布一枚を通して感じる彼の体温と心音が愛しかった。
「霧島、好きだよ」
「うん?」
「どうしたらつきあってくれる?」
「え?」
───つき合うって何?何するの?友達と何が変わる?具体的なこと言ってくれなきゃわからない。
顔を上げ葵をじっと見つめ、
「唇、砂糖ついてる」
「舐める?」
葵は唇をじっと見つめる咲夜を見ていた。
───舐める?片倉の唇についた砂糖を…。
「え?俺が?」
思考がついてゆかず頭の中で反芻して、やっと理解しびっくりする。
「他に誰がいるの?」
「でも、それって」
「霧島のファーストキス、俺に頂戴?」
───ああ、具体的なやつが来た。
葛藤していた。片倉は友達だ、唯一無二の。そして自分にとっては、この世でたった一人の友達。片倉には好きな人がいるのに、襲っていいとか言うし。好きとか言うし。わけがわからない。いや、考えないようにしていただけだ。その好きが自分であるということを。勘違いだった時、自分が傷つくのがこわいから。
「俺も初めてあげるから、お願い」
ただ、何故葵がそんなに必死なのか、咲夜はわかっていなかった。
”大崎 久隆”
彼をテラスで見かけた時から少しづつ運命は動きだしていたのに。
「んッ」
咲夜は誘惑に逆らえず、葵の唇に口づける。柔らかくて可愛らしい唇を執拗に貪った。一度その感触を知ってしまったら、止めどなく求めてしまうとも考えずに。
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「んッ」
咲夜は葵を布団に押し倒し、執拗に口づけていた。無知なため、それ以上の熱の放出の仕方が、わからない。
「ふぇッ?!」
葵の浴衣の乱れた胸元から覗く、ピンク色の果実を咲夜は、思わず指先で摘まんで。
「痛いよぉ」
「ごめん」
再び口づけながら、優しくコロコロと指先で転がしてみる。
「んッ..んんんッ」
ほんのりと葵の頬が色づき始めると、咲夜はキスに夢中になった。失ったものを考える。葵には話すべきだとは思っているのだが、咲夜にはどうしても言えないでいた。先日の、母と義父の会話がちらつく。
『あなたも結局同じなのよ!愛した人はみな”あの人”に惹かれてしまう』
『違う!酔っていただけだ』
『それでも、愛しい我が子だから守ってきたわ。でも、もう限界よ。私たち親子を守ってくれると言ったあなたですら、こうなのだから』
咲夜には何を言っているのかわからなかった。
『あの人は美しい人だったわ。女の私が嫉妬するくらい』
ソファーに腰かけた義父は、頭を抱えていて。
『私の好きな人は“あの人”を愛してた。婚約を申し込むと知って、嘘をついたわ。私“あの人”と結婚するって』
『辞めるんだ、咲夜に聞こえる』
咲夜はリビングの外で膝を抱え座り込んでいた。
『彼はそれを信じて、他の女と結婚したの。てっきり“あの人”を奪われるくらいなら、私を選ぶと思っていたのに』
“あの人”、が亡くなった咲夜の実父を指しているのだと気づく。
『“あの人”が亡くなって、彼は咲夜を引き取りたいと言った。絶対に渡すものかと思ったわ。絶対に。でも..』
『言わなくていい。分かっている。君を救いたかった、すまない』
『耐えてきたのに..』
そこで咲夜は美しい母が”咲夜のことを引き合いに出され、取り引き先の者や重役から、性交を求められていた”ことを初めて知った。母が咲夜を守るために、ずっと自分自身を犠牲にしてきたことを。
『咲夜は俺が引き取る。君はもう楽になりなさい』
自分を襲った男に、引き取られる。咲夜は、背筋が凍る思いがした。
『咲夜に何かしたら、許さない』
『一生かけて償うよ』
『咲夜を守って』
『約束するよ』
咲夜は、もう母と妹とは一緒に居られないことを悟る。好きでこんな容姿に産まれてきたわけじゃない。大好きな父に似たことを、イヤだと思ったことはなかったが、自分の運命を呪った。
「霧島ッ..ねぇッ」
「うん?」
「弄ってもいい?..辛いのッ」
ぎゅっとしがみついてくる葵の固くなった葵自身が、咲夜の太ももにあたっている。
「いいよ。手伝ってあげる」
「やぁッ」
葵を起こし、立てた膝を背もたれにするように横抱きにすると、咲夜は浴衣をかき分け、葵の下着の中に手を差し入れたのだった。
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