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11話 意外な結末
1 戀の決心
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「は、陽菜?!」
陽菜は後ろ手に手を組み、戀たちを覗き込んでいた。
慌ててベンチから立ち上がる戀。
「浮気なんてしないよ」
きっぱりと否定する戀に”ふふっ”と笑いながら、陽菜が抱き着く。彼女のいたずらっぽい笑みに気づいた戀は、きっと叔母から聞いてここに来たのだろうと推測した。
ふわりと抱きしめ返すと、彼女のは戀の胸に額を寄せる。
「ファーが猫の毛みたい」
戀のコートの肌触りが気に入ったようだ。
「ちょっと。仲が良いのは結構だけど、わたしの存在忘れてない?」
ホントバカップルねとでも言いたげに呆れた声。
元カノの方に視線を移せば、やれやれと肩を竦めている。
「まあ、いいわ。何かわかったら連絡するわね」
ベンチから立ち上がると、”末永く、お幸せに”と言って元カノは去って行った。
「邪魔しちゃった?」
顔を上げ戀を見上げる陽菜。
「いや、そんなことない」
心配そうにこちらを見つめる瞳。戀は微笑んでその髪を撫でた。
「戀くん、あの人のこと苦手だって言っていたから」
「うん」
実のところ、元カノにヤキモチでも妬かせて復縁させようとしていたのだろうかと思ったりもしたが、彼女の行動の理由を知るとそうではないことを知りホッとする。
向こうもこちらも戻る気はないのだ。それに、陽菜がどう思っているのかは知らないが、自分は彼女のことが好きなのである。今更、その気持ちを変えることなんてできない。
「大丈夫?」
彼女の手のひらが戀の頬にあてられる。
「うん?」
「なんだか、泣いちゃいそう」
泣きたい気持ちになるのは、この関係に終わりがあるからだ。
必然から生まれた偽りの関係。それは確実に終わりへ向かっている。だからといってどうにもできはしない。時は前にしか進まないのだから。
学ばないな、自分はと心の中で呟く。どんな関係にもいつかは終わりが来るだろう。それを嘆いてもしかたないのだ。
「大丈夫だよ」
にっこり笑って見せる。せめて彼女の前では笑顔でいたいと思った。
「寒いし、お店戻ろうか」
「こうしてると温かいよ」
再び戀の胸に顔を埋める彼女。よっぽどコートの肌触りが気に入ったのだろうか。陽菜の行動に勘違いしてしまいそうになりながらもなんとか自制した。
「そうだけど、お腹も空いたし」
「そっか。戀くん、朝ご飯まだなの?」
彼女が離れたのをきっかけにして、その手を掴むと珈琲店へ向かって歩き出す。
「うん。行き先だけ告げて、すぐに店を出たから」
「そうなのね。わたしもまだなの」
待ち合わせは昼前だったはずだ。早朝から店の方へ行ったとなると、その理由が気になる。そのことを問えば彼女はこちらを見て、照れたように笑った。
「心配だったし、早く会いたかったの」
「え?」
「良いでしょ。それよりも、今日は小倉トーストにしようかなあ」
はぐらかされたような気もしたが、戀は深く追求するのをやめる。言いたくないと思っていることを無理に聞いたところで、良い結果にはならない。
「朝は甘いものが良いんだって」
「そうなんだ。じゃあ、俺もそれにしようかな」
「じゃあ、おそろいだね」
食べ物におそろいとかあるのだろうかと思いつつ、”そうだね”と笑う。
陽菜といるといつでも穏やかな気持ちでいられる。彼女との優しい時間が好きだった。陽菜もそうであるといいなと思う。
いつか彼女に自分の気持ちを伝えることが出来るだろうか?
伝えずにいれば何ら進展することは無いが、終わりも来ない。その関係に甘んじていれば、別の形の終わりが来るだろう。
陽菜は素敵な人だ。周りが放っておくはずはない。今は行方不明の兄のことで頭がいっぱいかも知れないが、見つかれば心に余裕もできるだろう。
その時、隣にいるのは自分ではない。
そう思うと辛くなる。
立ち止まって安穏としていても、その日々はいつか終わってしまうのだ。その時後悔しても遅いだろう。
彼女の兄がみつかったら。
戀は意気地のない自分自身を奮い立たせようとしていた。
陽菜は後ろ手に手を組み、戀たちを覗き込んでいた。
慌ててベンチから立ち上がる戀。
「浮気なんてしないよ」
きっぱりと否定する戀に”ふふっ”と笑いながら、陽菜が抱き着く。彼女のいたずらっぽい笑みに気づいた戀は、きっと叔母から聞いてここに来たのだろうと推測した。
ふわりと抱きしめ返すと、彼女のは戀の胸に額を寄せる。
「ファーが猫の毛みたい」
戀のコートの肌触りが気に入ったようだ。
「ちょっと。仲が良いのは結構だけど、わたしの存在忘れてない?」
ホントバカップルねとでも言いたげに呆れた声。
元カノの方に視線を移せば、やれやれと肩を竦めている。
「まあ、いいわ。何かわかったら連絡するわね」
ベンチから立ち上がると、”末永く、お幸せに”と言って元カノは去って行った。
「邪魔しちゃった?」
顔を上げ戀を見上げる陽菜。
「いや、そんなことない」
心配そうにこちらを見つめる瞳。戀は微笑んでその髪を撫でた。
「戀くん、あの人のこと苦手だって言っていたから」
「うん」
実のところ、元カノにヤキモチでも妬かせて復縁させようとしていたのだろうかと思ったりもしたが、彼女の行動の理由を知るとそうではないことを知りホッとする。
向こうもこちらも戻る気はないのだ。それに、陽菜がどう思っているのかは知らないが、自分は彼女のことが好きなのである。今更、その気持ちを変えることなんてできない。
「大丈夫?」
彼女の手のひらが戀の頬にあてられる。
「うん?」
「なんだか、泣いちゃいそう」
泣きたい気持ちになるのは、この関係に終わりがあるからだ。
必然から生まれた偽りの関係。それは確実に終わりへ向かっている。だからといってどうにもできはしない。時は前にしか進まないのだから。
学ばないな、自分はと心の中で呟く。どんな関係にもいつかは終わりが来るだろう。それを嘆いてもしかたないのだ。
「大丈夫だよ」
にっこり笑って見せる。せめて彼女の前では笑顔でいたいと思った。
「寒いし、お店戻ろうか」
「こうしてると温かいよ」
再び戀の胸に顔を埋める彼女。よっぽどコートの肌触りが気に入ったのだろうか。陽菜の行動に勘違いしてしまいそうになりながらもなんとか自制した。
「そうだけど、お腹も空いたし」
「そっか。戀くん、朝ご飯まだなの?」
彼女が離れたのをきっかけにして、その手を掴むと珈琲店へ向かって歩き出す。
「うん。行き先だけ告げて、すぐに店を出たから」
「そうなのね。わたしもまだなの」
待ち合わせは昼前だったはずだ。早朝から店の方へ行ったとなると、その理由が気になる。そのことを問えば彼女はこちらを見て、照れたように笑った。
「心配だったし、早く会いたかったの」
「え?」
「良いでしょ。それよりも、今日は小倉トーストにしようかなあ」
はぐらかされたような気もしたが、戀は深く追求するのをやめる。言いたくないと思っていることを無理に聞いたところで、良い結果にはならない。
「朝は甘いものが良いんだって」
「そうなんだ。じゃあ、俺もそれにしようかな」
「じゃあ、おそろいだね」
食べ物におそろいとかあるのだろうかと思いつつ、”そうだね”と笑う。
陽菜といるといつでも穏やかな気持ちでいられる。彼女との優しい時間が好きだった。陽菜もそうであるといいなと思う。
いつか彼女に自分の気持ちを伝えることが出来るだろうか?
伝えずにいれば何ら進展することは無いが、終わりも来ない。その関係に甘んじていれば、別の形の終わりが来るだろう。
陽菜は素敵な人だ。周りが放っておくはずはない。今は行方不明の兄のことで頭がいっぱいかも知れないが、見つかれば心に余裕もできるだろう。
その時、隣にいるのは自分ではない。
そう思うと辛くなる。
立ち止まって安穏としていても、その日々はいつか終わってしまうのだ。その時後悔しても遅いだろう。
彼女の兄がみつかったら。
戀は意気地のない自分自身を奮い立たせようとしていた。
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