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二章:哉太編
4・喧嘩の原因
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『だって、有希さんって哉太のこと好きでしょ?』
何を言っているんだと思った。
もし有希が自分を好きだとしたら、振られたりなんてしなかったはず。
何を根拠にそんなことを言うのだろう?
『哉太も有希さんのこと好きじゃない』
彼女の言葉に深く心が抉られた気がした。
いくら何でもあんまりじゃないか。
好きな相手に、以前好きだった相手への気持ちを暴かれた上に、傷口に塩を塗る真似をするなんて。
暴言だとわかっていながら、感情を止めることが出来なかった。
どうして自分は器の小さい人間なのだろうか。
だから、どちらも手に入れられなかったのだろうか。
「下衆の勘繰りは止めろ」
彼女はしばし黙った。
「有希には振られているし、アイツは彼氏と喧嘩するたび俺のところへ来るだけだ」
彼女にはその言葉が不自然だったに違いない。
でなければ、反論なんてしなかったはずだ。
『振った男のところなんて普通いかないよね? 自分に気持ち留めて置きたいからじゃないの?』
彼女の言う事は一理あるかもしれないが、それはあくまでも世間一般。
自分たちには当てはまらない。まるで有希を愚弄されているように感じてしまった。
「有希は友人だ」
何処まで行っても平行線。
折れることの出来ない馬鹿な自分。
────そうだ、俺は馬鹿だ。なんであんなこと……。
「ヤキモチか?」
『は?』
そりゃそうだ。一方的に想いを寄せているのはこちらなのに、自惚れたことなんていうから。
『何故ヤキモチなんて妬く必要があるの?』
最もな返答だ。
不愉快だというような声音に、自尊心が砕かれるような感覚。自分はどうかしていたんだ。
『とにかく、わたしはいかないから。二人で遊んでなさいよ』
何故そこまで彼女の怒りを買ったのかもわからないまま、通話は終了する。
────今なら少しだけわかる気がするんだ。
佳奈よりも有希を大切にしていることが見え見えなのに、本当のことを言えば怒り出す始末。佳奈に選んでもらえなくても、当然なんだよ。
冷静になった自分はとても反省したし、後悔もした。
これが原因で佳奈がサークルを辞めてしまったら? と考えると気が気じゃない。
彼女にとってサークルは、趣味を満喫する場所という単純なものではない。雁字搦めに束縛する恋人から逃れ、ひと時の自由を手にできる場所だったに違いない。だからこそ、頻繁に誘ったのだ。
────俺は彼女を助けたかったのではないか?
一番の目的を失いそうになっていた。
それだけは避けなければならない。
ならばどうする?
哉太は自分の彼女への気持ちを認めざるを得ないと考えていた。
単に言い合いになったことを謝罪したところで、以前のようには戻れはしない。
哉太は机の引き出しを開ける。
今でも彼女とやり取りをした手紙が、そこには大事そうにしまわれていた。あの数日間の全てが。
何を言っているんだと思った。
もし有希が自分を好きだとしたら、振られたりなんてしなかったはず。
何を根拠にそんなことを言うのだろう?
『哉太も有希さんのこと好きじゃない』
彼女の言葉に深く心が抉られた気がした。
いくら何でもあんまりじゃないか。
好きな相手に、以前好きだった相手への気持ちを暴かれた上に、傷口に塩を塗る真似をするなんて。
暴言だとわかっていながら、感情を止めることが出来なかった。
どうして自分は器の小さい人間なのだろうか。
だから、どちらも手に入れられなかったのだろうか。
「下衆の勘繰りは止めろ」
彼女はしばし黙った。
「有希には振られているし、アイツは彼氏と喧嘩するたび俺のところへ来るだけだ」
彼女にはその言葉が不自然だったに違いない。
でなければ、反論なんてしなかったはずだ。
『振った男のところなんて普通いかないよね? 自分に気持ち留めて置きたいからじゃないの?』
彼女の言う事は一理あるかもしれないが、それはあくまでも世間一般。
自分たちには当てはまらない。まるで有希を愚弄されているように感じてしまった。
「有希は友人だ」
何処まで行っても平行線。
折れることの出来ない馬鹿な自分。
────そうだ、俺は馬鹿だ。なんであんなこと……。
「ヤキモチか?」
『は?』
そりゃそうだ。一方的に想いを寄せているのはこちらなのに、自惚れたことなんていうから。
『何故ヤキモチなんて妬く必要があるの?』
最もな返答だ。
不愉快だというような声音に、自尊心が砕かれるような感覚。自分はどうかしていたんだ。
『とにかく、わたしはいかないから。二人で遊んでなさいよ』
何故そこまで彼女の怒りを買ったのかもわからないまま、通話は終了する。
────今なら少しだけわかる気がするんだ。
佳奈よりも有希を大切にしていることが見え見えなのに、本当のことを言えば怒り出す始末。佳奈に選んでもらえなくても、当然なんだよ。
冷静になった自分はとても反省したし、後悔もした。
これが原因で佳奈がサークルを辞めてしまったら? と考えると気が気じゃない。
彼女にとってサークルは、趣味を満喫する場所という単純なものではない。雁字搦めに束縛する恋人から逃れ、ひと時の自由を手にできる場所だったに違いない。だからこそ、頻繁に誘ったのだ。
────俺は彼女を助けたかったのではないか?
一番の目的を失いそうになっていた。
それだけは避けなければならない。
ならばどうする?
哉太は自分の彼女への気持ちを認めざるを得ないと考えていた。
単に言い合いになったことを謝罪したところで、以前のようには戻れはしない。
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