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1 それぞれの事情
2・【真実】
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****♡side:海斗
「痛いっ! やめて」
海斗の下で女は悲鳴を上げた。
「やめろ? よくそんなことが言えたものだな」
「海斗っ」
「リクに対して、お前が俺にさせたことだろ」
「お願い、抜いて」
痛みに顔を歪めて懇願してくるが無視した。
「おまえは止めさせなかった」
ここには憎しみしかない。
「俺の最愛の人にさせたことがどんなことだったのか、思い知ればいい」
結合部は血で赤く染まっていた。
言うことを聞かなければ取り巻きにリクを輪姦させると脅された。しかしどっちにしろリクを心身共に傷つけた。大切にしていたのに。
理由を告げ謝罪しようと伸ばした手に彼はびくっと怯えた。何も言えなくなった。好きだと告げることすらできないくらいに彼を愛し過ぎていたのだ。
いつもそばで柔らかく笑う君に、この穏やかな時が永遠に続くことを願った。
髪を撫でれば、照れたような嬉しそうな顔をする。
この笑顔が守れるのなら、自分なんてどうなってもいいと思っていた。何よりもリクが大切だった。
それなのに、まさか自分がリクを強姦するはめになるなんて。
彼を失って空っぽになった。
彼が俺を呼んでいたような気がした。
しかし、もう近づくべきじゃないと思った。
痛がって泣きじゃくるリクの顔がちらつく。
何故こんなことをしなければいけないんだ。
いつか結ばれることがあるなら、優しくしたいと思っていた。
──だが、現実はどうだ?
無理矢理服を引き裂いて自ら濡れることのないそこに、なんの前戯もなく欲望の塊を穿った。痛みに悲鳴を上げる彼を押さえつけ、逃れることすら許さなかった。ただいたずらに恐怖を植え付けたのだ。
──悪魔だと、思った。
**■**
再会は突然だった。
わかってた、いつかはこんな日がくること。
同じ校内にいるのだから。
選んだのは自分だった。
せめて遠くからそっと見ることが出来ればそれで幸せだった。
この世で一番愛しい人。
華奢で、色白でそこら辺の女の子たちよりずっと可愛らしかった。二人は幼馴染みで、彼は人見知りなわけではないがいつも海斗にくっついていた。
それが堪らなく可愛く思えて、愛しかった。
あんなに気をつけていたのに、学食で出くわしてしまった。
利久は酷く傷ついた顔をして海斗を見ていたのだ。
今にも泣き出しそうな顔で。
「好きな人いたんだ……」
すごくショックだと言いたげな瞳。
──違う。
誤解するな。
俺が好きなのは、お前……
リクだけだ。
「お前まじ、いい加減にしないと怒るよ」
──頼むからリクを巻き込むのは止めてくれ。
「なにそんなムキになるの?いつもは冷静なのに 」
「うるさいよ」
「あれあれえ?もしかして海の好きな人って」
そう言って彼女が利久のほうをみた。
「やめろ」
──言うな。
リクにばらすな。
「……ビンゴ?」
「」
利久がキョトンとしている。
すぅっと全身から血の気が引いていくのを感じた。
最悪だ。
今日は厄日なのか?
海斗は彼女にお盆を押し付けると無言でその場を立ち去った。
──吐き気がする。
酷く頭痛がする。
消えてしまいたいと思った。
リクはどう思ったのだろう?
**■**
──俺は体調を崩して一週間休むこととなった。
久々に学食をくぐれば、利久がテーブルに突っ伏している。陽当たりのよい窓際の席はよく彼が好んで座る場所だった。
そっと向かい側に腰かける。
柔らかそうな髪。以前はよく触れていた。
幸せなあの時間、戻れるなら戻りたい。
ため息をつきたいのを我慢し、腕組みをしながらリクを眺めていると呪詛のように彼が呟いた。
「会いたい会いたい会いたい」
──は?
会いたい?
とたんに海斗はムッとした。
利久にそんなこと言わせてんのはどこのどいつだ? と。
「誰に」
思わず不機嫌な声が出る。
「カイに」
即答された。
──え? 俺に……?
聞き間違えじゃないのか?
なんだこれ
全身が熱くなっていく。
鼓動が早い。
思わず口元を押さえた。
顔が熱い。
どうしよう。
とてつもなく嬉しい。
嬉しくて死んでしまいそうだ。
悶絶していたら、のそっと利久が顔をあげた。
なんだよ、もう。とでも言いたげに。
しかし、次の瞬間、
「カイッ?!」
恥ずかしくなったのか思わず両手で顔を隠す。
「なんで、俺? リクにあんなに酷いことしたのに」
「えっ、いや、だって」
時間が動き出していくのを感じていた。
──なあ、もう一度。
もう一度だけ……
「痛いっ! やめて」
海斗の下で女は悲鳴を上げた。
「やめろ? よくそんなことが言えたものだな」
「海斗っ」
「リクに対して、お前が俺にさせたことだろ」
「お願い、抜いて」
痛みに顔を歪めて懇願してくるが無視した。
「おまえは止めさせなかった」
ここには憎しみしかない。
「俺の最愛の人にさせたことがどんなことだったのか、思い知ればいい」
結合部は血で赤く染まっていた。
言うことを聞かなければ取り巻きにリクを輪姦させると脅された。しかしどっちにしろリクを心身共に傷つけた。大切にしていたのに。
理由を告げ謝罪しようと伸ばした手に彼はびくっと怯えた。何も言えなくなった。好きだと告げることすらできないくらいに彼を愛し過ぎていたのだ。
いつもそばで柔らかく笑う君に、この穏やかな時が永遠に続くことを願った。
髪を撫でれば、照れたような嬉しそうな顔をする。
この笑顔が守れるのなら、自分なんてどうなってもいいと思っていた。何よりもリクが大切だった。
それなのに、まさか自分がリクを強姦するはめになるなんて。
彼を失って空っぽになった。
彼が俺を呼んでいたような気がした。
しかし、もう近づくべきじゃないと思った。
痛がって泣きじゃくるリクの顔がちらつく。
何故こんなことをしなければいけないんだ。
いつか結ばれることがあるなら、優しくしたいと思っていた。
──だが、現実はどうだ?
無理矢理服を引き裂いて自ら濡れることのないそこに、なんの前戯もなく欲望の塊を穿った。痛みに悲鳴を上げる彼を押さえつけ、逃れることすら許さなかった。ただいたずらに恐怖を植え付けたのだ。
──悪魔だと、思った。
**■**
再会は突然だった。
わかってた、いつかはこんな日がくること。
同じ校内にいるのだから。
選んだのは自分だった。
せめて遠くからそっと見ることが出来ればそれで幸せだった。
この世で一番愛しい人。
華奢で、色白でそこら辺の女の子たちよりずっと可愛らしかった。二人は幼馴染みで、彼は人見知りなわけではないがいつも海斗にくっついていた。
それが堪らなく可愛く思えて、愛しかった。
あんなに気をつけていたのに、学食で出くわしてしまった。
利久は酷く傷ついた顔をして海斗を見ていたのだ。
今にも泣き出しそうな顔で。
「好きな人いたんだ……」
すごくショックだと言いたげな瞳。
──違う。
誤解するな。
俺が好きなのは、お前……
リクだけだ。
「お前まじ、いい加減にしないと怒るよ」
──頼むからリクを巻き込むのは止めてくれ。
「なにそんなムキになるの?いつもは冷静なのに 」
「うるさいよ」
「あれあれえ?もしかして海の好きな人って」
そう言って彼女が利久のほうをみた。
「やめろ」
──言うな。
リクにばらすな。
「……ビンゴ?」
「」
利久がキョトンとしている。
すぅっと全身から血の気が引いていくのを感じた。
最悪だ。
今日は厄日なのか?
海斗は彼女にお盆を押し付けると無言でその場を立ち去った。
──吐き気がする。
酷く頭痛がする。
消えてしまいたいと思った。
リクはどう思ったのだろう?
**■**
──俺は体調を崩して一週間休むこととなった。
久々に学食をくぐれば、利久がテーブルに突っ伏している。陽当たりのよい窓際の席はよく彼が好んで座る場所だった。
そっと向かい側に腰かける。
柔らかそうな髪。以前はよく触れていた。
幸せなあの時間、戻れるなら戻りたい。
ため息をつきたいのを我慢し、腕組みをしながらリクを眺めていると呪詛のように彼が呟いた。
「会いたい会いたい会いたい」
──は?
会いたい?
とたんに海斗はムッとした。
利久にそんなこと言わせてんのはどこのどいつだ? と。
「誰に」
思わず不機嫌な声が出る。
「カイに」
即答された。
──え? 俺に……?
聞き間違えじゃないのか?
なんだこれ
全身が熱くなっていく。
鼓動が早い。
思わず口元を押さえた。
顔が熱い。
どうしよう。
とてつもなく嬉しい。
嬉しくて死んでしまいそうだ。
悶絶していたら、のそっと利久が顔をあげた。
なんだよ、もう。とでも言いたげに。
しかし、次の瞬間、
「カイッ?!」
恥ずかしくなったのか思わず両手で顔を隠す。
「なんで、俺? リクにあんなに酷いことしたのに」
「えっ、いや、だって」
時間が動き出していくのを感じていた。
──なあ、もう一度。
もう一度だけ……
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