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『猟奇的、美形兄は』

17:兄、執着につき

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「あああああッ! 出てきた。出てきたよ! まな」
 兄は愛都のパンツを食い破り、飛び出してきた愛都のお×××んに頬擦りをする。
 どうみても、変態だ。しかも、出てきたのではなく、兄が出したのだ。
「こうしてると、安心するよ」
 そっちは安心かもしれないが、股間に頬擦りされて安心する人など稀である。
「昔はよく握って寝てたよ、懐かしいなぁ」
(人のお×××んに頬擦りしながら、なにいってるんだこの人は)
「そうやってお兄ちゃんがいつも握りしめてるからサイズが……」
「笑止! それは素敵なお兄ちゃんとは無関係だ! 見たまえ、俺のビックマグナムを。こんなに成長したじゃないか」
「それは握ってないからでしょ?」
 珍しく愛都は反論する。
 兄は仁王立ちで股間をつき出していた。
「いいか、まな。夢が膨らめば股間も成長するんだ!」
 兄はまたわけのわからないことを言い始める。

「お兄ちゃんの夢って?」
「子供の頃の夢……か。早く、まなのお尻にインすることかな」
 どんな子供時代だ!
「そして、お兄ちゃんの夢は叶いビックマグナムが誕生したのだ!」
 感動物語風に語っているが、単に変態をカミングアウトしただけである。
「いうなれば。まなは、この素敵なお兄ちゃんの為にお×××んが小さく産まれて来たと言っても過言ではな……ぐはッ」
 愛都は最後まで言わせず腹に一発お見舞いした。
 もしそうなら、過言どころかいい迷惑である。
「まなの激しさは癖になるよ」
 ならなくていいどころか、ただのドⅯなキチガイだ。
「お兄ちゃんはちょっと変わった……いや独特な夢を持った子供だったんだね」
 愛都は慌てて言いなおす。
 兄に余計なことを言えばまたトチ狂った演説が始まるに違いない。
 とても扱い辛い人である。

「そう、産まれながら……まなの素敵なお兄ちゃんは”特別な”人間なんだ!」
(それはあながち、間違ってはいない)
「いうなれば、選ばれしもの!」
(それは大幅に間違っている)
「お兄ちゃんは凄いんだね」
 複雑な心境で、愛都がそう口にすると、
「ちっちっちっ」
と人差し指を横に振る。
 いつの時代の人だ。
「まなの、素敵なお兄ちゃん」
(そんな形容詞必要ない)
「さあ、まな。素敵なお兄ちゃんと、おパンティを食い破るという使命を果たそうではないか!」
(そんな使命いつできた!)

 全裸で何を熱弁しているんだ、と愛都がクレイジーな兄を見上げていると。
「その眼差しは”きゃあ!素敵。僕の素敵なお兄ちゃん”ということか。ああ、愛しいまなよ」
(まったく当たってない。かすりもしない)
「素敵なお兄ちゃんがぺろぺろちゅぱちゅぱしてあげるよ」
 ただの変態だ。
「ひやあああ!」
 愛都は変態お兄ちゃんの餌食となったのだった。
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