人形少女は夢を見る

詩のぶ

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人形少女は歩を止める

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夕飯と日用品の買い出しを済ませて、結局すっかり暗くなってしまった。
月明かりに照らされた道を歩き、店の前を流れる川の橋を渡ったところで、隼桐が歩を止める。

どうかしたのかと彼女の視線を追えば、明らかにガラの悪い付喪神が三人、こちらを見てにやにや笑っている。

「よう隼桐、景気はどうだ?」

三人のうちの一人、大きくひび割れた大皿を顔に持つ男が話しかけてくる。

「…良くはないわね。だからせめて、夜くらいのんびりさせてほしいわ。」

隼桐は淡々と答え、遠巻きに去ろうとするが、畳の体をした男と、頭部が香炉の男がその前に立ちはだかる。
畳はあちこちに染みがあり、香炉はどうやら足が折れているらしい。

「ご謙遜。随分と買い込んで、重そうじゃねぇか。持ってやるぜ?」
「結構よ。」

隼桐の棘のある態度は想定内なのか、大皿の男は鼻で笑った後、

「まぁ、そんな邪険にするなよ。用があるのはお前さんじゃないんだ。」

ふと視線を鷹華に向けてくる。

「おいお前、人間なんだろ?何で我が物顔でこの町で暮らしてんだ?」

ここは俺達付喪神のための町だ、と大皿の男が言い、畳の男と香炉の男がそうだそうだと便乗する。
突然の言及に鷹華は困惑し、代わりに隼桐が険しい顔で反論する。

「鷹華ちゃんは私が連れてきたの。これまでだってここに人間が迷い込むことは何度かあったし、何か問題でもある?」

それがまた男達の神経を逆撫でしたらしく、彼らのにやついた目から段々と笑みが消えていく。

「けっ。いいよなぁ、人間のお嬢様は。」

大皿の男が吐き捨てる。

「ちょっと壊したり気に入らなかったりしても、すぐに新しくて綺麗なものを買ってもらえるんだもんな。好きなだけ買って、要らなくなったらぽい。それだけだもんなぁ!」

彼が喋ると割れた部分からひゅうひゅうと物悲しい風鳴がして、その度に鷹華は胸が締め付けられた。

何故だろう。
胸が、痛い。

「あっちでいい子いい子されて。こっちでまたちやほやされて。何も出来ないくせに、全部与えてもらって、なぁんにも不自由しないで生きていけてよ。一体全体、何様なんだよ、お前は!?」
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