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6章 入学試験 2次試験編
55話 転生者
しおりを挟む俺が問うとハヤトは困った顔をしながら腕を組み悩む。
「うーん……ここでしらばっくれても無駄そうだね」
そう言ってハヤトは観念したのかやれやれと肩を落とす。そしてこちらを笑顔を消しこちらを見据える。
「そうだよ僕は転生者だ。でも、なんで僕が転生者だと思ったんだい?」
「あぁー、ハヤトが最後に使ったアイテムあれガチャアイテムだろ」
そう、ハヤトが最後使ったアイテム、あれはガチャで出る当たりでもないハズレでもない中途半端にアイテムボックスの枠を取るやつで<超消臭元/スーパーインバリド>という。超属性の効果を打ち消す効果がある。だが、ダメージが消える訳ではないので中の中のアイテムだ。今回の様な場合だと使い勝手のいい効果となる。
そして、こんな名前のアイテムはこっちの世界にはない。この街のアイテム屋を調べてみたが、OOPARTSオンラインでのガチャアイテムは無かった。NPC<Non_PlayerCharacter>がやっていた道具屋や防具、武器屋などで売っていた物はあった、ポーションなどがいい例だ。
「じゃあ、アキトも転生者かい?」
「ああ」
「ほんと!!じゃあOOPARTSオンラインやってたんだよね!!」
「お、おう……」
もの凄く目をキラキラさせながら迫ってくる。危うく顔面同士がぶつかるところだった。
「ま、待て待て。落ち着けって一応今は決勝戦なんだからーー」
俺がそう言うとハヤトは気だるそうな表情になり、あからさまに気が落ちている。
「うーん……別に決勝戦はもういいかなアキトとも戦えたし、色々話したいしね!!」
さっきから表情がコロコロ変わる。さっきまでの笑顔のイケメン優男は何処へやら。
こっちの方が人間味があって接しやすいのは事実だが……それに俺も色々聞きたいことはあるしな。
「じゃあ、じゃんけんで勝敗決めるか?」
「お!いいね!そうしよう」
結局、そのままじゃんけんをしてハヤトが勝つ。すると、ウタゲ先生がげっそりとした表情で近づいてくる。
「お前ら何してくれとんねん!!」
一発ずつ頭をひっぱたかれる。手のひらで叩かれている筈なのになぜかハリセンで叩かれた様な音が鳴り響く。
あまりにも綺麗に叩かれた音が響いたので辺りを見渡すと。もう観客はぼーっと呆然としており、実況も疲れ果てたのか気絶、審判も同様に気絶、そして貴族達の親達は半分はもう決勝戦前からいないし、残っていた親達も消えていた。公爵様、ハヤトの父さんだけが終始綺麗な笑顔で笑い、周りの使用人はなぜか疲れていた。
どうやら俺達はやりすぎたらしいです。この大会自体も試験官の思惑ではなんとなく前哨戦の様なやんわりとした戦いを想像していたらしい。
合格が決まっていればそこまで無理をする奴はいないと踏んでいたら突如風が吹き石畳が宙に持ち上がったんだ……そりゃ驚くか。
「「す、すみません」」
2人同人謝ると、ウタゲ先生はこめかみを抑えながら天を仰ぐ。
「まぁいい。こちらも悪かったしそこまでは言わん。で、どっちが勝ったことになったんだ?」
俺はハヤトの方に人差し指で示す。
「把握した。じゃ、会場の修復するから一旦どきな。しっしっ!」
俺達を控え室の方へ行けと厄介払いのように扱われる。
「あ!それと試験官、僕も本決勝辞退しますので」
そう言ってハヤトは控え室の方へ華麗なターンを見せそのまま迷わず直進する。俺もその後を追随する。
「いいのか?辞退だなんて」
「僕も合格出来さえすればいいから特に問題ないかな……」
ハヤトが言うのなら別に構わないが……
「あ、それとスキルの効果は消しといたから安心してね」
そういえばそうだった。超天気風スキル<季節殺嵐/モン・ススーン>の効果のことすっかり忘れてた。
それを思い出し、もし発動されてたら……と考えると背筋から冷や汗が止まらない。
「そ、そうかありがとな。そういえば歯大丈夫か?」
俺はなんとか話題を切り替える。
「うん?あぁ歯ね。大丈夫だよ!ほらっ」
そう言うとハヤトは頬の裏側を翻すように折れているであろう歯を見せる。が、ハヤトの歯には何も異常はなく特に出血の跡なども見当たらなかった。
俺が不思議そうに見てるとハヤトは和かに笑いながらその答えを教えてくれる。
「こっちの世界にある結構お高いハイポーションだよ」
そう言ってアイテムボックスから翠玉の様な色合いの不純物が一切入っていないとても美麗なポーションを取り出して見せてくる。メロンソーダと言われて出されたら疑いもなく飲みそうなくらい似ていた。
「こっちの世界だとこのハイポーションだけでも結構するんだよ~」
「確かに高級そうだ」
実際、OOPARTSオンラインでモンスターがドロップしたり道具屋で普通に買え、アイテムボックスに余りに余っているものだが、こっちの世界のって聞くとなぜだかレア感が否めない。
「……そういえばアキトも目大丈夫なのかい?」
「えぇっとああ大丈夫だぞ。一時的なものだったからな」
「そっかそれは良かった。びっくりしたよまさか躱しもせずそのまま当たりに行くとは思っても無かった」
「まぁあの時は切羽詰まってたしな」
そう談笑しているといつの間にか、控え室の扉の目の前に着いていた。
「それじゃ、僕は戻るよ。また今度ゆっくり話そう!」
「ああ、了解」
先に転生して来ているハヤトには色々と聞きたいことが山積みだしな、覚悟しておけよ~根掘り葉掘りきいてやる。
そのままぼーっと控え室で待っていると実況が復活したのか外から聞こえてくる。観客の声も元のボリュームに戻っているので聞き取りづらいが……
「えぇーっと私が気絶していた間に試合が決まっておりましてなんとなんとハヤト・ゾルディ選手が勝ったという情報を試験官の方から頂きました!!と言うことは本決勝はハヤト選手対!!」
「「「おぉおおおおおお!!!」」」
会場に拍手が鳴り響くきドーム型なのでやまびこの様にこだましながら反響する。
「・・・・」
そこで、少し間が空く。
ハウゥワアアアアアアン♪
とマイクがハウリングした後、物が落下する音が鳴ったり、物同士がぶつかり合ったことによる金属音の様な音がハウリングと共にマイクに拾われ慌てている様子が伺える。
「え……ええっと、ただいま情報が入って来ました。どうやらハヤト選手が本決勝を辞退したことにより自動的にBブロック優勝者のバルト選手が本決勝で勝ちとなり……優勝者バルト選手ぅううう!!!」
「「「うぉおおおおお!!!!!」」」
「これにて、2次試験を終了いたします!!」
その声と共に俺は眠りにつく。
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