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6章 入学試験 2次試験編
56話 貰い物
しおりを挟むそう、俺はあのまま眠ってしまったようだ。思いの外自分が思っている以上に精神的にも肉体的にも疲れていたのだろう、今はしっかりと脳に言われるがままに休憩を……
「アキト!俺、優勝したぜー!!」
と、ドア蹴破る勢いでバルト達が入ってくる。
どうやら俺の休憩は約10分で壊滅したようだ。はぁ~せっかく半分寝かかっていたというのに……
俺は重たい瞼をいつもの倍の時間をかけ持ち上げ目を開ける。
「おはようなのじゃ」
「あ、ぁあおはよう」
「アキト、あと30分後に闘技場にまた集合だって」
バルトの脇腹にフックをかましたユイが教えてくれる。
「了解した。ただまさかバルトが優勝するとはな……」
「ま、俺の実力ならあったり前よ!!」
トーナメント表の運もあるにはあったが別にバルトは弱くないし運も実力のうちに入るらしいし、十分にバルトの実力の範囲内に収まる。
ただ、謙遜しろとまたまたユイはバルトにアッパーを繰り出していたが、今度は華麗にバルトに躱され、それに調子に乗ったバルトだったが、後ろからのエーフのチョップをもろに受けたんこぶを作っていた。女子2人の息ぴったりな連携プレーだ。
「ホルドさんとナナミはどこに行ったんだ?」
そう、さっきからその2人の姿が見当たらない。決勝までは俺達の戦いを見ていた筈なのでどうしたのか気になっていた。
「それならさっき、先に帰ると伝えてくれと言われている。2人共やたらニコニコしてたがなんか良いことでもあったのか?……」
トイレから帰って来たトルスが話が聞こえていたのか答えてくれる。
「なんだ良かった。何かあったのかと心配してたんだ」
「心配性なんだねアキトは……」
「まあな」
「そういえばっ!さっきの試合凄かったねアキト。まさか棄権しちゃうとは思わなかったけど……」
「ん?あ、あぁ」
俺はいきなりさっきの試合のことをお持ち出され少し変な答え方になってしまった。
「どうしたの?」
「い、いや。ハヤトも強かったからな。あのままやってても勝てなかったよ」
転生者だということは俺達だけの秘密にしてある。今の所、今後のことはハヤトと次会ったとき決めようと思っているがそれだけは確定事項だからな。
「観客席から見てたけどあんなのとまともに戦えるだけでも凄いのにあそこまで応戦できるなんて……」
実際のところハヤトの方が強い。後1つのアイテムも謎だが、あのまま続けてたとしても確実に俺の負けだった。やはりレベル42ではまだまだだ。せめてレベル50には乗せたいところだ。
「まぁこういうことには慣れてるから」
OOPARTSオンラインの時はあれくらいの魔法やスキルなんか普通だったし、なんなら物足りないくらいだった。痛みがある分無茶は出来ないし、ダメージを受けると動きも鈍るのでその辺の感覚を掴めて今回の試合はかなり実りのあるものだった。
すると、控え室に試験官が入って来て闘技場の方の修復が終わったのと集合がかけられている旨を伝えられる。
そのままさっきまで戦いが繰り広げられていた闘技場の中央に集まる。さっきまで俺達がぐちゃぐちゃに壊した石田畳で出来た闘技場は綺麗に元通りなっていた。一体どんな風に戻したのか少し気になったがちょうどウタゲ先生が2次試験開始前の説明の時と同じように音声を遮断する結界を張り、喋り始めた。
「えーこほん。まずは2次試験お疲れ様です。この2次試験の結果を踏まえクラス分けの方をさせてもらいます。クラスの発表は入学式の日に張り出しますのでそちらをご覧ください。入学式は今日から7日後になるので間違えたないよう気をつけて、必要な物(制服等)は試験管が届けに行きますのでそのつもりで……そして、」
「みなさん合格おめでとうございます。帝国領リ・ストランテ=ルィン魔導学園へようこそ皆さんの入学心よりお待ちしております」
「では、これにて入学試験を終了します。お疲れ様でした」
その挨拶を皮切りに観客から拍手が送られる。試合が終わったのにまだ残っている人も結構いるのでオーケストラ後の拍手のような壮大感があった。
ウタゲ先生はかなり疲れた様子で、シェル試験官に抱き抱えられ何処かに連れていかれていた。
あんな感じの人だからこういうちゃんとしたこと苦手なんだろうな。
それからは自由解散だったので、俺達は宿に帰ろうと思っていたのだが……
「おう!坊主達これ食ってけ!」
小麦色に焼けたお肉に甘辛いタレがたっぷりかかった串肉焼きを貰う(人数分)、「ササクレ」というらしい。
「「あ、ありがとうございます」」
「あらあら可愛い子達ね~これ持っていきなさいな」
今度はユイとエーフ、シロネがお婆ちゃんに腕を引っ張られ、装飾品を渡される。月と太陽、そして雪の結晶が描かれたブレスレットだ。ユイが太陽、エーフが月、シロネが雪の結晶の刺繍が入ったブレスレットを貰った。
そう、宿屋までの帰り道いつも通り出店がやっている道を歩いていたのだが今回平民が全員合格したということと2次試験で顔が広まったことでかなり街で噂になっていた。
街にいる人全員ということではないだろうが貴族には思うところがあったらしく会う人会う人に賞賛されなかなか前に進めない状況に陥っていた。
といっても街の人みんな特別不満があると言うわけじゃなくいつも上から言ってくる貴族たちに一泡吹かせたという「やってやった」感が強いんだろうな。
それからも街の人にいろんな物を貰い宿についたのは日が落ちる少し前だった。
「「ただいまですぅううう」」
宿の扉を開けみんな倒れこむ様に入って行く。行くのに30分もかからなかった道のりに帰りは2時間かかったので精神的に効いたのか、みんなスライムみたいに弱々しかった。
元気なのはバルトとトルスだけだ。この2人に荷物持ち、途中から何方が多く持てるか競争していたにも関わらずむしろ物足りないくらいの様子でこの時ばかりは助けられた。
「あらあら~お帰りなさいな」
ホルドさんが厨房から顔を出して出迎えてくれる。机を拭いてたナナミもこちらに来て荷物をそれぞれの俺達の部屋へ運んでくれる。
ななみんまじ天使、バルトには勿体無いくらいだ。と、軽く頭がバグってはいるがなんとか宿屋に到着出来た。
「もうすぐ夜ご飯できるから待っててねん♪今日はみんなの合格祝いに豪勢にしちゃうから~」
成る程、だからあんなに早く帰ったのか。自分の中で合点し、納得する。
そして、10分も立たない内に机から溢れんばかりに料理が並べられ、皆んな席に着く。今回はいつもの倍以上の量なのに加え豪華レベルも倍になっていた。
だが、今はこれを全て平らげる自信が皆んなの中には宿っていた。道中は貰った食べ物はアイテムボックスに入れ我慢して来たのだ、そう、今は皆超空腹状態。この程度の量なんて一瞬だぜ!!
そして……
いただきます!俺は手を合わせ食べ始める。するとその合図を見てみんな手を合わせ一斉に食べ始めた。
いや、やっぱ今日はなんだかんだあったけどやっぱりこのご飯が最高なわけだよ。これにあと風呂でもあれば最高なんだろうけどーー
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