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7章 魔導学園 1年生編
64話 令嬢
しおりを挟む次の日の朝。俺は朝のトレーニングを終え寮の1階にある食堂で朝ごはんを食べていた。トルスとメガネくんも一緒で3人で食べていた。
「アキト元気ないけど大丈夫?」
俺の顔色を見て察したのかメガネくんが心配してくる。
「あぁ大丈夫だ」
サラダを口に入れため息をつく。そう、昨日楽しみにしていた風呂に入ったのだ風呂に!
だが俺を待ち受けていたのはただの水風呂だった。確かに風呂だけれども……火属性があるんだからなんとか出来るだろと思っていたが、生憎寮の管理人さんは火属性を使えないらしいです。別に暖かい風呂がないわけじゃなくただ単純に使えないだけときた。
なので俺はその日、寮の管理人さんにアイテムをどっさりと渡した。1000枚を超える火属性魔法、スキルのスクロールだ。これでなんとかしてくれと頭を下げなんとか了承してくれたのだ。
寮の管理人さんも冷たい水にはうんざりしていたらしくこれで今日からは暖かいお湯につかることが出来る。
だが、やっぱり昨日の期待値の反動はでかく今日の朝まで引きずってしまった。
それから制服に着替え、俺達3人は黒聖クラスの寮を出る。
授業をする場所は本棟と呼ばれ、学園の入り口の近くに聳え立っている。収容する人数に対してかなり大きいきがするがさすがというべきか、寮以上に立派な作りになっていた。
大学のように靴を履き替えることはなくそのまま2階に上がり黒聖クラスの教室を目指す。
階は学年で分かれているので時々こちらを睨んでくるやつがいる。あの時のことを根に持っているのかは知らないが無視が一番。
クラスは胸につけているバッジの色で判断できるので一発で俺達が黒聖クラスということがバレバレ。もうちょっと分かりづらいやつにしてくれてもよかったんじゃないかと思ったがトルスやメガネくんは何も言ってなかったので俺だけかと思い考えるのをやめる。
ちょうど黒聖クラスの扉の前に着き先頭が俺だったのでそのまま開ける。
「お!アキト、エル、トルスおはようなのじゃー」
シロネがこちらに気づき手を振ってくる。近くに居たというか膝の上にシロネを乗せていたエーフも同時に気づく。ユイはその隣で机に突っ伏し寝ていた。
「ああ、おはよう」「おはようー」
教室の中は黒板の向かい側に半円を描くような横長の机が4行あり、日本の時とは全く違う配置で驚いた。
シロネ達がいる方へ行く。
明らかに試験には居なかった連中も何人か座って居たので若干ビクつきながらシロネの方へ向かう。さっきの挨拶もぶっちゃけ他に人がいるとは知らず数秒遅れてしまった。
「なぁ、2次試験で合格したの36人だよな……なんで黒聖クラスだけで15人いるんだ?」
シロネに小さな声で尋ねる。そう黒板には名前が張り出されており、数えてみると俺達合わせて15人も居たのだ。試験で結構な人数落とされていたのになんでこんな数いるんだろうか……その答えはすぐシロネの口から発せられる。
「そんなの全部推薦者に決まっておろう」
「え?推薦者ってそんないるの?」
推薦者なんてせいぜい10人程度だと思っていたがどうやら違うらしい。
「確か今年は試験で入ったのが36人、推薦で入った者が40人じゃったかの。先生から聞いておらんのか?」
「いや、聞いてない」
「毎年大体試験で入学する人が50、推薦が50って聞いてる。ただ今回は試験で入る人が少なすぎるだけ」
寝ていたかと思っていあユイが答えてくれる。
「なるほど……」
「それに推薦者はほとんど貴族など地位のある家の長男長女、次男次女が殆どで、試験を受けてた貴族の人たちはみんな次男次女以下の子達らしいよ」
と、周りの貴族に聞こえないようエーフが耳打ちで教えてくれる。
ちょ、耳弱いから……
恥かしさを嚙み殺し、なんとか耐える俺……頑張れ俺!
俺はなんとか耐え、そのままシロネ達が座っている後ろに俺達3人が並び授業開始まで少し時間があるので談笑したりして時間を潰す。時間が経つごとに徐々に人が入ってきてどんどん席が埋まっていく。
黒聖クラスは平民か変人の集まりだって聞いたけど、これみんな変人に属するってことでいいんだよな……
シェル先生だから結構大雑把だと思った方がいいかもな。変人というか結構ちゃんとした見た目の人が多いのであまり変人だとは思わない、てか思えない。
そして時間になるが一向に先生が現れる気配がない。
最初の一発目の授業を遅刻である。
本当にどんな先生なんだか……俺だけでなく多分皆そう心中そう思っているであろう。
*
あれから20分後ようやく扉が開く。
なんとなく予想はついていたがまさか当たってしまうとは。全速力で走ってきたのか息を切らす先生、前かがみになりかなり辛そうで真っ赤な髪が揺れる。
「ちょっと……用……事が……入ってな……お遅く……なってすまん……。はーはー」
そう、ウタゲ・ミル先生だ。ウタゲ先生は息を整え黒板の前に立つ。そのあとからシェル先生も入ってきて。先生が2人体制とはなかなか熱心な学園だ。
「えぇ~こほん。まずは私から自己紹介といこうか。私はウタゲ・ミルよろしく。んでこっちが補助で付いてくれるシェル先生だ。これから3年間よろしくな」
「よろしくね~」
「「よろしくお願いします」じゃ」
うん、挨拶は大事。俺達平民組だけ返答するが他の奴らは我関せずというかあまり興味無いようだ。
「1ついいかしら?」
明らかに貴族のご令嬢を絵に描いたような金髪の縦ロールで、かなり豊満に育った上下、柔らかそうな肌からは筋肉が付いているようには見えないほど滑らかな肌をしているそして、乗りに乗った化粧、明らかにツンケンしてそうな感じを醸し出しており、近寄りがたいタイプだ。恐らくだが、周りにいる男、女どもも一緒の類だろう。
その貴族女令嬢は手を挙げ抗議する。手には白いオペラ・グローブのようなひじ上から二の腕まで至る長い手袋をしている。
「ん?なんだ」
「なぜ、私達が待たされたのにも関わらず謝礼だけ。しかも平民と一緒のクラスだなんておかしくありません?」
その貴族令嬢はこちらを一瞬一瞥しすぐ先生の方へ視線を送る。
言われた等の本人のウタゲ先生は一切悪びれる様子もなく逆に心底嫌そうなな顔をし、その貴族令嬢に答える。
「えーっとなまず私が遅れた原因だが、その原因となった人物を今から紹介する。そいつに言ってくれ」
と、ウタゲ先生はシェル先生に目配せし、それを嬉しそうに受け取るとシェル先生は扉を開ける……
そして、そこに立っていたのは2次試験で優勝し白聖クラスへ行ったはずのバルト・ベル本人だった。
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