幼馴染を追って異世界へ〜『¥300,000,000』廃課金した最強アカウントをLv1からやり直し、「超重力」属性を使って〜

甲殻類

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7章 魔導学園 1年生編

81話 悪技

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 魔物はゆっくり俺に近づき確実仕留めるためかこちらに近づいてくる。



 ま、だからといって何も出来ることなんて無いがな!



 手足は痺れ動きそうも無いし、口も傷だらけで使えない……これなら最後に特大の魔法を打ち込みたかったものだ。



 ——クソッタレ!



 と悪態はついたものの戦況は全く変わらない。



 これだけのダメージを負わせてなお魔物は一切の警戒心を解かないしバルトへの注意も外さない。その姿はまさに戦士そのものでそこらの冒険者とは比べ物にならない程洗礼されている。

 魔法やスキルに頼るだけでなく己の体を使った攻撃にも長け、そこを磨き続けている……完敗だ。



 俺は魔物との距離が残り20m付近になった頃諦め目を瞑る。これ以上抵抗は出来ないししたところでどうにかなることはない。



 ここで死ぬのだ——



 人間死を覚悟するまでには時間がかかるものだが死を覚悟してからはすぐに受け止め受け入れられる。

 そう今身をもって実感する。



 出血多量で意識も朦朧とし始めもうこのまま放置でも死ぬんでは無いかという感覚にまで陥るが、結局多量出血で死のうと首はねられて死のうと変わらない。



 耳から聞こえる足音で魔物の大体の位置を把握し未だにあのゆっくりとしたペースで近づいているのを確認する。



 はぁーどうせなら勿体ぶらずとっととやってほしいものだ……この時間が命取りにならなきゃいいけど。

 そんなどうでもいいことを考えながらその時を待つ。



 その時——



「に……い………ちゃ……ん……」



 もう殆ど動かない体に言い聞かせ何とか首だけをバルトの方へ向ける。するとバルトは何か言いたげに口を動かしていたが後の言葉を聞き取ることは出来なかった。



 ハッ!バルトがまだ諦めてねぇのに俺が諦めてるんじゃぁ兄としての威厳がねぇ!!



 あんな魔物に遅れをとるようじゃまだまだ特訓不足、これからまだ強くなれる証拠よ!

 表情筋がピクピク動き自然と笑顔になる。顔がぐちゃぐちゃなのでもうどんな表情かもよくわからないが……生きたい目標ができた。

 あとは活路を探すだけ。人間舐めんなよ!



 バルトは半目を開けそのまま気絶したように白目を向いていた。最後の最後振り絞り、抽出した意識をこちらに向けたのだろう。



 俺は首の位置を再び上に戻し空を見る。日は落ちる寸前。光と闇が入れ替わる間近、赤黒く染まる空は何とも幻想的でさらには俺へ活路を与えてくれるものとなる。



 赤黒くって何だよもうとっくの昔に日は落ちた。じゃあ今はある”陽”は何だってんだよ!!



 俺は目を見開き空を見据え魔物も異変に気付いたのか空を見上げている。

 だが、もう遅い!

 上空にあるそれはもう既に落下して来ている最中であと5秒といったところか……

 恐らくバルトが放ったその魔法は空の半分以上を覆う程の大きさで太陽のような火属性が固まった球体だ。

 所々で爆発が常時起こっていて辺りの温度は魔法が近くなるほど上昇していく。



 ふと……魔物の様子が気になったので首を捻り見てみると、魔物は上を見ながらさっきまでの警戒心は皆無……ただバルトの魔法を見てどこか笑っているようなそう思える表情を見せていた。



 すると落下するバルトの魔法に目掛け、魔物は4足歩行に戻りさっき俺達に放った魔法を放つ。あの威力に加えてさらに闇属性を衝撃波に混ぜる。

真っ黒に染まった衝撃波はバルトの魔法とぶつかり合う。



 しかし……



 放つまでの轟音が搔き消えるように辺りは静まり音もなく魔物が放った衝撃波は食べ物を咀嚼するように胎動しゆっくりと飲み込まれる。

バルトの魔法はさらに面積が増加する。



 だが、俺達が諦めないように魔物も微塵も諦めていなかった。魔物は本能的に自分よりも弱者としか相対しない。なので逆転されるというのが稀で魔物は大概対応出来ずそのまま駆逐されることが多い。

しかしだ、この魔物は負けを知っている即ち!



 俺は体の一部を何とか動かしありったけの身体強化系魔法を自分に付与する。

俺の身体強化系魔法は持続時間が短い、なので実践で強者との戦闘時使い物にならないことが多い。

 だが、この瞬間は別!



 刹那——



 魔物は地を思い切り踏み込み一瞬でバルトの元へ移動し肘を引き爪でバルトの喉元を狙う。



 しまった!



 どんな強大な魔法やスキルでも使用者が死んでしまえば全て水の泡となる。永続系の魔法やスキルもあり全てに適応するわけでは無いが、それでもこっちの確率に賭けた方が断然有利だ。

 魔物は目一杯に肘を引きそのままの勢いでバルトの喉元を引き裂こうと腕を伸ばし爪が当たる瞬間——



 バルトの体が一瞬で燃え広がり体全体を火が覆う。それはまるで火の服でも着用しているかのようでその火の衣に爪が触れた瞬間魔物の爪が溶け始める。

 これには予想外のことで魔物は一瞬躊躇い一旦距離をとるが——もう遅い。



 バルトの放った魔法は既に目と鼻の先にある。そのままゆっくりと飛来し魔物や草木、地面さえも焼き尽くしながら着地する。俺とバルトは火属性なので火傷や温度差を感じずダメージはあるがこの魔法は火傷、燃焼させることに特化しており感じる痛みは日焼けした背中を思いっきり叩かれる程度だ。



 そして、魔物を焼きながら辺りは真っ赤に染まり地面は焼け溶け、木々は一瞬で蒸発してしまう。



「グガァアアアアアア!!!」



 魔物は悲鳴を上げ焼けていく体を抑えながら悶える。皮膚が溶け落ち中の筋肉を焼いていく光景は見るも無残でとてもじゃ無いが直視出来ない。



 刹那



 さっきまでこの一帯を覆っていた温度が突然通常の温度まで一気に下がり、燃えていた火が全て消え去ってしまう。

 あまりにも一瞬の出来事で俺は目を疑ったが、その中で一番初めに動き出したのはあの魔物である。

 焼けただれた体など気にもせずバルトを確実に殺すため一瞬で移動する。そして、両腕を振り上げ爪には全ての魔法を凝縮した禍々しい闇属性のオーラを纏いバルトのさっきまで纏っていた火の衣は消え去っていた。



 恐らくさっきまで意識があったバルトもこの自分の魔法の少量のダメージで気絶し、意識が断たれ魔法が消えてしまったのだ。



 そこを一瞬で判断した魔物には賞賛を送りたいな……



 だが!



 「これで終わりだぁああああああ!!!」



 ありったけの付与スキルを使用した斧を振りかざし俺は振り上げられた隙だらけの魔物の両腕を切り落とす。

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