少女風呂(童話風)

アッシュ出版

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24)二回拒否って、三回目にイエス

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 まなみちゃん、ダイゴ君が密かに恋をしてしまった女の子。

 それは全て偶然が運んだ運命。ダイゴ君がまなみちゃんを好きになったのは、この少女風呂の女の子の中で、彼女と触れ合った時間が最も長かったからに違いありません。
 しかしそれこそが運命というか縁ではないでしょうか。もしかしたら二人は生まれつき、不思議な糸で繋がれていたのかもしれませんね。

 さて、そういうわけで、ちかちゃんたちは、まなみちゃんに目をつけました。彼女は思いました。

 (この怯えた子ウサギみたいにピュアな、何にも知らない女の子が、ダイゴ君とやるなんて、なかなかファンキーなことじゃないかしら)って。

 「まなみちゃん」

 ちかちゃんは呼び掛けます。

 「え!」

 まなみちゃんは自分の名前を呼ばれて、心臓が止まりそうになります。

 「ねえ、まなみとか、ありじゃない?」

 ちかちゃんは胡桃ちゃんと光ちゃんに言います。

 「誰なの? この子?」

 ダイゴ君の顔にまたがった姿勢の光ちゃんが、値踏みするようにまなみちゃんを観察します。「うーん、どうかしら」

 光ちゃんは答えを保留します。実は光ちゃん自身が疼いているのです。
 光ちゃんの股間に、ダイゴ君の鼻や唇がこすれていました。ダイゴ君の激しい息遣いが、そのままダイレクトに光ちゃんの股間にコネクトしています。
 それはまるで子宮の中にまで届くような暑さ。彼女をとてもホットな気分にしていました。

 (私が挿入されてもいいかも)

 絶世の美少女、光ちゃんはそんなことを考えていました。
 ダイゴ君のピコリと立ち上がった性器も、ずっと視界に入っています。
 決して大きくありませんが、むしろそのような経験が皆無である光ちゃんにすれば、手頃なサイズ。まさに初心者サイズ。

 しかしです。
 「私が入れられてもいいかな」なんて申告出来るわけがないのです。そんなことを口にした途端、光ちゃんの評判は地に落ちてしまうでしょう。
 光ちゃんと言えば、この少女風呂の中で美少女。女の子たちの憧れの的でもあります。それなのに、自分の性欲をむき出しにして、「入れられたい」なんて言えば、もうそのクール伝説は終焉です。
 まして、皆の前で、あんあんと喘ぎ声を上げながら、よがったりしたら、もう! 
 光ちゃんはこの少女風呂に居られなくなるでしょう。

 「もう、いいじゃない、この子で」

 一方、胡桃ちゃんはちかちゃんの提案に賛同しました。「これ以上、悩んでいても仕方がないもん。こういうのは本当にデタラメな運とか勢いで決めるもんでしょ。まなみちゃんにやってもらおう」

 「そうよね。それでいいでしょ? 光ちゃん?」

 「いいよ、どうでも」

 どうせ、自分にその役は回ってこない。だったら、まなみちゃんでも誰でもいい。光ちゃんは投げやりな気分で返事します。
 さて、まなみちゃんです。

 「私、無理ですよ」

 それが彼女の回答。

 「みんな、自分は嫌だって思ってると思うの。でも日直とか掃除当番みたいなもので、誰かがやらないといけないわけでね」

 ちかちゃんは説得にかかります。

 「それは理解します。でも!」

 「まなみちゃん、やっておいたほうが、何かと良いことあるかもよ???」

 胡桃ちゃんが小声で耳打ちします。
 おそらく、まなみちゃんがこの役割を無事勤めあげれば、彼女は誰からも一目置かれる存在になると思います。
 大人しそうなまなみちゃんが、本当に恥ずかしそうに、アンアンと喘ぎながらこの仕事をやり遂げたら、「あの子もけっこうやるもんね」と評価されるでしょう。
 逆に、光ちゃんのような活発な、イケてるタイプの女子がやっても、「何か違う」「幻滅しました」という結果になる。誰がやるかによって、まるで違う結果になるわけです、多分、きっと、おそらく。
 女子の世界というのは、きっと微妙な心理の綾が、蜘蛛の巣のように複雑に交差していて、男の子には解くことは出来ない方程式で溢れているのです。

 「で、でも、私・・・」

 まなみちゃんはモジモジします。しかし彼女だって実は内心、タイミングを伺っているのです。

 いつ、頷けばいいんだ? って。

 二回拒否って、三回目に頷いた、諸葛良孔明の三顧の礼のことを思い出したりはしてはいませんが、まあ、そんな感じです。

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