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12)少女風呂の謎
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僕は少女風呂をあとにした。
僕がそのお風呂に満足したことは言うまでもない。
一歩、外に出ると、さっきまでのことは全部夢だったんじゃないかって思いが心を過ぎる。
しかし夢なんかじゃない。
翌日もそこにいくと、少女風呂は存在していたのだから。
そこでは昨日と同じサービスが行われていた。僕はまたそれを満喫して、家路に着く。
とはいえ、僕は帰るたびに不安を感じた。この奇跡のようなサービスを満喫出来るのも、これが最後だったんじゃないかって。
たくさんのお客さんが押し寄せて。
あるいは法律違反を咎められて。
いずれ、少女風呂はあっけなく終焉を迎えてしまうに違いない。僕は始終、そんな不安に駆られていた。
しかし少女風呂に初めて足を踏み入れてから、もうかれこれ八年もの月日が流れようとしていた。
まだそれは変わらずに存在している。相変わらず客はまばらで、どうやって営業出来ているか不思議だけど、それでもまだ確かに存在し続けている。
確かに女の子たちの多くは入れ替わってしまった。
エリカちゃんもひなちゃんも出て行ってしまった。
少女の年齢を過ぎると、そこを出て行かなければいけないルールなのだ。
しかしその代わり、また若い女の子が入ってくる。そうやって少女風呂は新陳代謝を繰り返し、昔と変わらない姿を保っている。
少女風呂を発見してから、僕の人生は一変してしまったと言えるだろう。
だって少女風呂さえあれば、僕の望む多くの願望が叶えられてしまうのだ。
恋人もいらない。車もいらない。
仕事面だって、出世や昇給を望まなくなった。お金よりも時間が大切だから。
この少女風呂に通うことの出来る時間。それが重要なのだ。僕はこの年齢になっても、バイトで生計をたてている。
しかし僕は胸を張って言える。自分がこの世で最も幸せな男だって。だって僕の人生を話せば、どんな男だって僕を羨ましがるだろうから。
少女風呂、ありがとう。僕の人生を変えてくれて、本当に感謝しているよ。
そんな感謝の言葉を最後に、この文章を締めくくりたいのだけど、しかし最後にゆかりちゃんのことにも触れておかなくてはいけないだろう。
あの日、彼女は僕と交わってしまった。すなわちルール違反を犯した。だから少女風呂から追放されることになった。
いや、そのはずだった。しかし今でも彼女は、僕専用の性欲処理機として活躍している。
性欲処理機なんて言葉は下品過ぎて、ゆかりちゃんに似合わないのだけど、僕が他の女の子に手を出さないように、やりたくなったときはゆかりちゃんが、その相手を勤めることになったのだ。
店としてはこれ以上、ルール違反を犯してしまう女の子を出したくなかったようだ。だからと言って、数少ないお得意さんを失いたくもない。
そういうわけで、このような解決策が導き出されたらしい。
とにかく僕はゆかりちゃんとやりまくっている。
彼女以外の女の子とは、やりたくもない。彼女に申し訳がないからだ。
他の女の子とやれるチャンスがないわけじゃない。実際、他の女の子のおっぱいを触ったり、乳首をつまんだり、お尻をさすったりしている。
女の子のほうから僕に「やりません?」とモーションを掛けられることだってある。
しかし僕は他の女の子には見向きもしない。この八年間、僕がやるのはゆかりちゃんだけ。
勿体ないって?
こんなにたくさん、裸の女の子がいるのに、一人の子としか出来ないなんて。
そうかもしれない。
でもゆかりちゃんは最高なのだ。彼女以外の少女とやれなくても、僕は少しも惜しくない。だって僕は彼女を愛しているから。
彼女が僕を愛しているかどうかわからないけど、彼女がいつまでも僕に優しいことは確か。
ああ、大好きだよ、ゆかり。
今日も僕はたくさんの女の子の前で、ゆかりちゃんとやってきた。
少女風呂につかって温まり、やりたくなったら、ゆかりちゃんを呼んで、みんなの前で腰を動かす。
大変に奇妙で異様な行動だけど、それが僕の当たり前の行動パターンになった。誰も笑ったりしない。
しかし奇妙で異様だといえば、この少女風呂の存在自体がそうだ。
いったい、ここは何なんだ? どうしてこんなものが存在しているのだろうか?
こんな年齢の女の子が、お湯の代わりを勤めているお風呂なんて!
僕はしばしばそんな疑問に駆られる。
実際、そのような疑問をゆかりちゃんにぶつけたことがある。
僕の問いに、ゆかりちゃんはこんなふうに答えた。
「裸になってくれる大人の女の人を雇うのは大変でしょ? お金もいっぱいかかる。でも子供はお菓子をあげておけば喜ぶ。だからみんな若い女の子ばかりなのよ」
そんな答えじゃ納得出来ない。数々の謎は未解決のままだ。
「でも儲けは出ないだろ? ここの経営者さんとかはどう思っているのかな」
「うーん、経営者さんのことはよく知らないけど。でも少女風呂の女の子たちはみんな、すごく優しいの」
「優しい?」
「そう。女の子たちは本当にお客さんのことを思っている。少しでもお客さんを温めてあげたいって心の底から考えているわけ。だから少女風呂が存在し続ける」
終わり。
僕がそのお風呂に満足したことは言うまでもない。
一歩、外に出ると、さっきまでのことは全部夢だったんじゃないかって思いが心を過ぎる。
しかし夢なんかじゃない。
翌日もそこにいくと、少女風呂は存在していたのだから。
そこでは昨日と同じサービスが行われていた。僕はまたそれを満喫して、家路に着く。
とはいえ、僕は帰るたびに不安を感じた。この奇跡のようなサービスを満喫出来るのも、これが最後だったんじゃないかって。
たくさんのお客さんが押し寄せて。
あるいは法律違反を咎められて。
いずれ、少女風呂はあっけなく終焉を迎えてしまうに違いない。僕は始終、そんな不安に駆られていた。
しかし少女風呂に初めて足を踏み入れてから、もうかれこれ八年もの月日が流れようとしていた。
まだそれは変わらずに存在している。相変わらず客はまばらで、どうやって営業出来ているか不思議だけど、それでもまだ確かに存在し続けている。
確かに女の子たちの多くは入れ替わってしまった。
エリカちゃんもひなちゃんも出て行ってしまった。
少女の年齢を過ぎると、そこを出て行かなければいけないルールなのだ。
しかしその代わり、また若い女の子が入ってくる。そうやって少女風呂は新陳代謝を繰り返し、昔と変わらない姿を保っている。
少女風呂を発見してから、僕の人生は一変してしまったと言えるだろう。
だって少女風呂さえあれば、僕の望む多くの願望が叶えられてしまうのだ。
恋人もいらない。車もいらない。
仕事面だって、出世や昇給を望まなくなった。お金よりも時間が大切だから。
この少女風呂に通うことの出来る時間。それが重要なのだ。僕はこの年齢になっても、バイトで生計をたてている。
しかし僕は胸を張って言える。自分がこの世で最も幸せな男だって。だって僕の人生を話せば、どんな男だって僕を羨ましがるだろうから。
少女風呂、ありがとう。僕の人生を変えてくれて、本当に感謝しているよ。
そんな感謝の言葉を最後に、この文章を締めくくりたいのだけど、しかし最後にゆかりちゃんのことにも触れておかなくてはいけないだろう。
あの日、彼女は僕と交わってしまった。すなわちルール違反を犯した。だから少女風呂から追放されることになった。
いや、そのはずだった。しかし今でも彼女は、僕専用の性欲処理機として活躍している。
性欲処理機なんて言葉は下品過ぎて、ゆかりちゃんに似合わないのだけど、僕が他の女の子に手を出さないように、やりたくなったときはゆかりちゃんが、その相手を勤めることになったのだ。
店としてはこれ以上、ルール違反を犯してしまう女の子を出したくなかったようだ。だからと言って、数少ないお得意さんを失いたくもない。
そういうわけで、このような解決策が導き出されたらしい。
とにかく僕はゆかりちゃんとやりまくっている。
彼女以外の女の子とは、やりたくもない。彼女に申し訳がないからだ。
他の女の子とやれるチャンスがないわけじゃない。実際、他の女の子のおっぱいを触ったり、乳首をつまんだり、お尻をさすったりしている。
女の子のほうから僕に「やりません?」とモーションを掛けられることだってある。
しかし僕は他の女の子には見向きもしない。この八年間、僕がやるのはゆかりちゃんだけ。
勿体ないって?
こんなにたくさん、裸の女の子がいるのに、一人の子としか出来ないなんて。
そうかもしれない。
でもゆかりちゃんは最高なのだ。彼女以外の少女とやれなくても、僕は少しも惜しくない。だって僕は彼女を愛しているから。
彼女が僕を愛しているかどうかわからないけど、彼女がいつまでも僕に優しいことは確か。
ああ、大好きだよ、ゆかり。
今日も僕はたくさんの女の子の前で、ゆかりちゃんとやってきた。
少女風呂につかって温まり、やりたくなったら、ゆかりちゃんを呼んで、みんなの前で腰を動かす。
大変に奇妙で異様な行動だけど、それが僕の当たり前の行動パターンになった。誰も笑ったりしない。
しかし奇妙で異様だといえば、この少女風呂の存在自体がそうだ。
いったい、ここは何なんだ? どうしてこんなものが存在しているのだろうか?
こんな年齢の女の子が、お湯の代わりを勤めているお風呂なんて!
僕はしばしばそんな疑問に駆られる。
実際、そのような疑問をゆかりちゃんにぶつけたことがある。
僕の問いに、ゆかりちゃんはこんなふうに答えた。
「裸になってくれる大人の女の人を雇うのは大変でしょ? お金もいっぱいかかる。でも子供はお菓子をあげておけば喜ぶ。だからみんな若い女の子ばかりなのよ」
そんな答えじゃ納得出来ない。数々の謎は未解決のままだ。
「でも儲けは出ないだろ? ここの経営者さんとかはどう思っているのかな」
「うーん、経営者さんのことはよく知らないけど。でも少女風呂の女の子たちはみんな、すごく優しいの」
「優しい?」
「そう。女の子たちは本当にお客さんのことを思っている。少しでもお客さんを温めてあげたいって心の底から考えているわけ。だから少女風呂が存在し続ける」
終わり。
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