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81)洗い合いっこ
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焦らしに焦らし、勿体つけに勿体つけ、どこまでも長引かせて、ついに美咲ちゃんとゆかりちゃんはバスタオルを脱ぐ。
まあ、同時にではなくて、美咲ちゃんはまたゆかりちゃんに意地悪をして、「せえの」って合図したくせに、自分だけは脱がなかったのだけど。
結果、ゆかりちゃんだけが丸裸になった、というか、まあ、水着だけど。
「もう、意地悪!」とか言いながら、ゆかりちゃんが美咲ちゃんに抱きつきにいく。
二人の裸の乳房と乳房が触れ合ったわけであるが、それを幻視出来た人はどれくらいいるだろうか。
僕は見たぞ。
しかと見た。
確かに見た。
その弾力豊かな肉体が、抵抗に遭い、ポワッと震えて、揺れて。
それだけじゃないさ。美咲ちゃんとゆかりちゃんの乳房の最も先端の部分も触れ合ったのだ。
そのかすかな硬さは折れたり、お互いの肌にちょっとしたへこみを与えたりして。
僕はそのイリュージョンに陶然とする。
とはいえ、残念なことにその幻もすぐに薄れていくのだ。
脱いだ瞬間、その時点こそがピークで、徐々に現実が侵入してきて、真っ裸ではなくて、普通の水着姿の二人に変わっていく。
幻は所詮、幻でしかなくて、長続きはしない。
となれば、もうこのシャワーシーンは終わりでもいい。目的は十分に果たしたのだけど、美咲ちゃんが言い出したのだ。
「洗い合いっこしようよ」
「え?」とゆかりちゃん。
僕も「え?」だ。
美咲ちゃんはニヤニヤしながら、ボディーシャンプーを手に取り、泡立てて、それをゆかりちゃんの身体にスリスリし出す。
予定にない行動である。アドリブの炸裂だ。コードすら無視したとんでもない即興演奏。
そのボディーシャンプーは、ただ単に雰囲気が出るように置かれただけの小道具だ。空っぽでもおかしくない。別に中身も入れておいてなんて指示も出してない。
本物だったのは偶然だ。小道具さんに感謝すべき事案。
どうも美咲ちゃんは妙にアクティブである。この作品を少しでも面白いものにしようとしてくれている。
いや、もしかしたら美咲ちゃんも、ゆかりちゃんの身体を触りたいのかもしれない。
ゆかりちゃんの世代の女子なんて、きっと、この世界で最も触り心地の良い生き物。
赤ちゃんの頬っぺたをぷにぷにしたい欲望が全世代全ての人類に共通なように、ゆかりちゃんの身体を触りたい願望に、男性女性など関係ないのかもしれない、なんて思ってしまうけれど、どうだろうか。
それとも美咲ちゃんは困るゆかりちゃんを見て、楽しんでいるのかもしれない。美咲ちゃんのSっ気はかなりのものだと思う。
彼女は格好の餌食を見つけたのである。
美咲ちゃんは「後ろを向いて、ゆかりちゃん!」なんてことまで言い出してくれる。
ゆかりちゃんは恥ずかしそうに、仕方なく後ろを向く。
美咲ちゃんはまず、ゆかりちゃんの足首を触る。そして徐々にその指を上に上昇させていくのである。
それは太ももに達して、やがてお尻も撫で始め。
ボディシャンプーの細かい泡が、ゆかりちゃんの肌の表面で粒となって消えたり現れたりして。
僕は知っているぞ、女性の身体と石鹼の泡の相性の良さを!
普通に素手で触るよりも、石鹸を手につけて触ったほうが、何やら柔らかみとかが増すんだよな。
本当にあの感触はヤバいんだよなあ。
「美咲先輩、くすぐったいです」
ゆかりちゃんは言う。
「我慢しなさい、ゆかりちゃん」
「じゃあ、次は私の番ですね!」
ゆかりちゃんは断固とした声で宣言する。
「先輩にそんなことするの?」
「はい、やりますよ」
次はゆかりちゃんの手の平が美咲ちゃんに接触する。
ああ、二人は仲良くなったなあ。
僕はそんなことを思うのだ。ちょっと遠い目をして。
長い時間と長い道のりを経て、僕たちはここまで辿り着いたんだ。と言っても、撮影はたった二日間だけど。
まあ、同時にではなくて、美咲ちゃんはまたゆかりちゃんに意地悪をして、「せえの」って合図したくせに、自分だけは脱がなかったのだけど。
結果、ゆかりちゃんだけが丸裸になった、というか、まあ、水着だけど。
「もう、意地悪!」とか言いながら、ゆかりちゃんが美咲ちゃんに抱きつきにいく。
二人の裸の乳房と乳房が触れ合ったわけであるが、それを幻視出来た人はどれくらいいるだろうか。
僕は見たぞ。
しかと見た。
確かに見た。
その弾力豊かな肉体が、抵抗に遭い、ポワッと震えて、揺れて。
それだけじゃないさ。美咲ちゃんとゆかりちゃんの乳房の最も先端の部分も触れ合ったのだ。
そのかすかな硬さは折れたり、お互いの肌にちょっとしたへこみを与えたりして。
僕はそのイリュージョンに陶然とする。
とはいえ、残念なことにその幻もすぐに薄れていくのだ。
脱いだ瞬間、その時点こそがピークで、徐々に現実が侵入してきて、真っ裸ではなくて、普通の水着姿の二人に変わっていく。
幻は所詮、幻でしかなくて、長続きはしない。
となれば、もうこのシャワーシーンは終わりでもいい。目的は十分に果たしたのだけど、美咲ちゃんが言い出したのだ。
「洗い合いっこしようよ」
「え?」とゆかりちゃん。
僕も「え?」だ。
美咲ちゃんはニヤニヤしながら、ボディーシャンプーを手に取り、泡立てて、それをゆかりちゃんの身体にスリスリし出す。
予定にない行動である。アドリブの炸裂だ。コードすら無視したとんでもない即興演奏。
そのボディーシャンプーは、ただ単に雰囲気が出るように置かれただけの小道具だ。空っぽでもおかしくない。別に中身も入れておいてなんて指示も出してない。
本物だったのは偶然だ。小道具さんに感謝すべき事案。
どうも美咲ちゃんは妙にアクティブである。この作品を少しでも面白いものにしようとしてくれている。
いや、もしかしたら美咲ちゃんも、ゆかりちゃんの身体を触りたいのかもしれない。
ゆかりちゃんの世代の女子なんて、きっと、この世界で最も触り心地の良い生き物。
赤ちゃんの頬っぺたをぷにぷにしたい欲望が全世代全ての人類に共通なように、ゆかりちゃんの身体を触りたい願望に、男性女性など関係ないのかもしれない、なんて思ってしまうけれど、どうだろうか。
それとも美咲ちゃんは困るゆかりちゃんを見て、楽しんでいるのかもしれない。美咲ちゃんのSっ気はかなりのものだと思う。
彼女は格好の餌食を見つけたのである。
美咲ちゃんは「後ろを向いて、ゆかりちゃん!」なんてことまで言い出してくれる。
ゆかりちゃんは恥ずかしそうに、仕方なく後ろを向く。
美咲ちゃんはまず、ゆかりちゃんの足首を触る。そして徐々にその指を上に上昇させていくのである。
それは太ももに達して、やがてお尻も撫で始め。
ボディシャンプーの細かい泡が、ゆかりちゃんの肌の表面で粒となって消えたり現れたりして。
僕は知っているぞ、女性の身体と石鹼の泡の相性の良さを!
普通に素手で触るよりも、石鹸を手につけて触ったほうが、何やら柔らかみとかが増すんだよな。
本当にあの感触はヤバいんだよなあ。
「美咲先輩、くすぐったいです」
ゆかりちゃんは言う。
「我慢しなさい、ゆかりちゃん」
「じゃあ、次は私の番ですね!」
ゆかりちゃんは断固とした声で宣言する。
「先輩にそんなことするの?」
「はい、やりますよ」
次はゆかりちゃんの手の平が美咲ちゃんに接触する。
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僕はそんなことを思うのだ。ちょっと遠い目をして。
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