餓鬼の操者

assult

文字の大きさ
3 / 16

操者

しおりを挟む
「なにその“操者”って」

「なにから話せばいいかな…とりあえず一緒に帰らない?」

「まぁ…いいけど」
正直、暁吾は全然タイプじゃないし、普段話もしない。そもそも無口なコイツと一緒に帰るのはあまり良い気はしない。

だけどまぁ、同じクラスの人から嫌われるのもごめんだしね。

しばらく2人で歩いた。人気が無い所に行くまで暁吾は全く喋らなかった。

「誘っておいて喋らないの…?」

「あぁ、ごめん…そろそろいいかな」
「秋月さん妖怪って信じる?」

「信じない」
当たり前だ。何をいきなり…

「そっか、まぁそうだよね、ちょっとこっち来て」

言われるまま森の中へ入る。

「さっき言った“操者”って言うのは妖怪を操れる人のこと。」

「は?…」
「…暁吾くん中二病…?」

「違う違う」

「じゃあ何?アニメの話?主語がないと分からない」


「じゃあさ、“これ”見える?」

「え!?……」

暁吾の背後に何か見えた。

白い毛の獣、前脚には鎌…

間違いない。本で見た事がある。

これは…

“カマイタチ”だ…

「え!?幻覚…?」

「やっぱり見えるんだね」

「なに、全然分からない…どういうこと…?」
私は動揺を隠せない。

「僕も見せたんだから秋月さんも見せて」

「見せるって…何を……」

「だから、妖怪だよ」

「もう…訳分からない…」

「ホントに分からないの?じゃあ…」

「見せてあげるよ、秋月さんの妖怪。」

「ちょっとごめん!」
そう言われた瞬間、私の視界は地面に落ちていた。

足に力が入らない。地面に倒れているようだ。

恐る恐る体を見ると、腰から上と下が切り離されていた。

「あぁ…………」
驚き過ぎて声が出ない。

切られているのに痛くない。血も出ない。

「なるほど、秋月さんの妖怪はそれね、わかったありがとう」
「じゃあ、邪魔だろうから帰るね」

暁吾はそそくさと帰っていった。

再び体を見ると切れたはずの体は元通りになっていた。

「もう、なんだったの………」

背後に気配を感じた。

私は振り向き、再び言葉を失った。

そこには、

醜い“鬼”が立っていた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...