餓鬼の操者

assult

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斬る者と斬られざる者

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僕は最近の黄泉島はなにかおかしいと思う。

妙に攻撃的であり、何かに取り憑かれているようだ。

最悪僕のカマイタチで戦うことになるかもしれない。しかし、殺すのはダメだ。

よし、明日、黄泉島と一対一で接触して探ってみよう。


土曜日、暁吾は黄泉島を森へ呼び出した。

「おはよう暁吾、どうした、こんなとこ呼び出して」

「おはよう。ちょっと聞きたいことがある」
そう言った瞬間、暁吾はカマイタチを出す。

黄泉島には見えるはずだ。彼は操者だから。

影糸を切られないよう細心の注意を払う。

「暁吾、なんのつもり?」

「黄泉島が操者だって事は黄泉島自身から聞いた。そこまでは良い。だけど最近黄泉島がどこかおかしいと思った。人格を乗っ取られてるんじゃないかと、僕はそう思ってる」

「なるほど……バレたか。」
「そう、黄泉島…だっけか、コイツの人格は乗っ取った。バレたって構わない。どちらにせよお前は死ぬからな。」

「俺は元々操者達を喰らい尽くそうと思っていた。そうすれば俺の力は格段に跳ね上がる。それが俺の目的だ…」

「先に目的をバラすなんて随分と余裕だな。“ガシャドクロ”…」

そう、黄泉島 露の妖怪はガシャドクロだ。それは黄泉島から聞いた。

僕と黄泉島は親友だ。お互いの事は全部話した。だからこそ助けたい。

最近僕が死ねだの殺すだの言い合いを黄泉島としたのは、本当に黄泉島の人格か探るためだ。
その結果わかった。コレは黄泉島の人格じゃない。

生まれた時からガシャドクロと黄泉島は契約済みだったそうだ。そういうタイプもいるのだ。
黄泉島の成長と共にガシャドクロも成長し…そして、黄泉島の人格を乗っ取るまでになってしまったのだ。

「出てこい…ガシャドクロ!」

黄泉島の背後から巨大な人骨が現れた。10mはある。

黄泉島のガシャドクロの特徴は理解しているつもりだ。
小型化と巨大化が可能で、小型は非力だが素早い。大型は強力だが動きが遅い。
それが黄泉島のガシャドクロの能力。

ォォオオオオオ!!
ガシャドクロは右手を振りかざす。

暁吾は風と共に姿を消して回避する。

カマイタチの能力は主に2つ。1つはつむじ風に紛れて姿を消す。もう一つは傷を治すことだ。

風に紛れて急接近し切りつける。

「鈍い!!」

しかし10mの巨体につくのは些細な傷だ。
しかも黄泉島との契約の影響ですぐに傷は治る。

暁吾の目的は一つ。ガシャドクロをバラバラに切り離し力を弱めること。そうすれば黄泉島の人格は戻ってくる。

修復より早く切り離さなければならない。

つむじ風と共に全身を切りつけていくが、鎌は深く入っていかない。

「クソ…」

数分間、切っては修復し、切っては修復しを繰り返した。

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