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32・縁日デートしよう(女子力の補充)6
しおりを挟む神社が見えてきた。いつもとちがって賑やか色とか効果音に包まれた神社が近づいてきた。翠名はチラッととなりの望を見る。自分を横にしてドキドキモードを解除できていない彼氏に横目を向ける。すると彼氏の方もかわいい彼女をチラッと見て、互いの目が甘く衝突して双方ドキっとしちゃって! みたいな感じになる。
「あ、あのさぁ、望」
「な、なに?」
「ん……手をつながない?」
「い、いいの?」
「もちろん」
言った浴衣姿の翠名、すっと横に色白むっちりな手を伸ばす。ドキドキで固くなっている望にしてみれば、それは太陽系で一番ラブリーって女の子の尊いハンドにしか見えず、動かそうとする手は固くなる一方。しかしもうすぐ、彼女の手に触れられると思って歩いていたら、突然2人の間に椎名と燃得ってカップルが乱入してきた。
「いやぁ、縁日があると活気づくねぇ」
妹と彼氏の間に乱入しラブな空気をぶち壊した椎名、下僕たる燃得としっかり手をにぎりながら無邪気なノリを振りまく。
「ちょ、お姉ちゃん……止めてよ」
妹がたまらず小声でモノ言いすると、冷ややかな目の姉が言い返す。
「ふん、年下のくせに甘く盛ろうなんて生意気なんだよ」
そんな椎名としっかり手をにぎり合って幸せ満喫な燃得は、止めてくれよぉと言いたげな顔する望に小さな声で言ってやる。
「彼女の手も積極的に握れない根性なし。望は佐藤の手じゃなく、つめたく固いゲームのコントローラーをひとりさみしく握っている方がお似合いだって」
(ったく、お姉ちゃんは人のジャマばっかりして)
姉の暴挙いら立ちかけた翠名、それなら甘いフンイキの仕切りなおしを狙おうとし立ち止まる。普段だったら興味の対象ではないはずのお面屋を正面に見て、女子力に満ち溢れた一品を購入する。
「どうも」
にっこりかわいくほほ笑む翠名が手にしたのは、こっくりさんのお面であるが、丸く幼げな感じに加えピンクにオレンジなどが混じってカラフルに仕上がっている。本来であれば「怖い」とか「不気味」ってモノをかわいいに変換させているそれは、まさに女子力って言葉にぴったり寄り添っている。
「ん……」
翠名、軽く顔を赤らめながらお面をかけたが、かぶって顔を隠すのではない。こっくりさんのカラフルな顔面を頭の少し横側に位置させた。これが何気にラブリーって表現の押し上げにつながる。
(おぉ……)
さりげなくかわい過ぎるって! なんて風にしか見えない彼女を目にして、望の心臓はポッと熱さを増す。女の子って……女の子って、なぜにイチイチかわいくて魅力的なのだろうと歌が1曲作れるような気さえした。
(おのれ翠名め……あざといテクニックを駆使したりして)
椎名、グググっと片手をにぎり自分もあのお面付けをやろうかな……なんて思ったりして勢いが少し下がる。そこが狙い目! と、勢いを増す妹はそのまま隣のベビーカステラって店に立ち止まって購入。もちろんそれもちゃんとした作戦だ。ただ単にそれが好きってだけで買うわけではない。
「望」
翠名、姉の椎名と燃得の勢いがちょっと止まっている中、かわいく首を動かしこっちに来てと彼氏に伝える。そしてドキドキしている彼氏が近づいたら、あえて2本もらっていたつまようじの一本をカステラに刺すと、それを持って真っ赤な顔で望に言う。
「はい、あーん!」
それは衝撃な展開だった。だから椎名も燃得もドキッとして声が出せない動けないとなる。望だけがドキッとしても動ける、それはイチャラブという名の魔法を翠名が使用したせいだ。
「ん……」
あーんをしてもらった、幸せ過ぎて死にそう! なんて望の口内にやさしく入れられた。それから噛むとカステラの甘さがくぅっと広がる。でも不思議な何かが甘いおいしさを3倍増しにしているのは確実。
「おいしい?」
「う、うん……も、ものすごく美味しい」
「じゃぁ、わたしも食べようっと」
にっこり赤らむ翠名、望が見ている前で自分も食べてホクホクして見せる。すると2人だけの甘くてやわらかい夢世界空気が漂う。他人はすべてゴミです、幸せなのは自分たち2人だけでいいのです! という、押せ押せな恋人オーラが色濃く浮かぶ。
(くぁぁぁぁぁ、翠名……どこまでもあざとい女になって!)
椎名は当然ながら怒りに燃えた。だが物言いできなかったのは、2人があんまりにもかわいいラバーをやってみせるから、そこに割り込むのはさすがにここではできなかった。
「お姉さん、お姉さん」
燃得が翠名の腕をツンツンとやる。
「なに……」
「お、おれも……して欲しいです、あーん!」
デレデレっとした顔の燃得、全力で椎名に甘えることを約束したような感じをフルマックスで醸し出す」
「ほら」
椎名が左手の平を差し出す」
「え? なんですか?」
「おて!」
「わん! って、おれは犬か!」
こんな感じで妹カップルは甘いキモチをねっとり絡み合わせていく。もしどこか人目のつかないところに白いベッドがあったら、勢いにのって愛し合うのではないかと思ってしまうほど順調にイチャラブしている。
(なんとかならないのかなぁ……ん……軽いトラブルでも起こらないかなぁ。妹に何か厄介ごとが生じるのはイヤだけれど、望……そう、望だけが不幸になるようなそんな物語が発生したりしないかなぁ)
翠名、ちょこっとだけ悪い事を考えた。しかし翠名は知らなかったのだ、マイナスの感情で放つ願い事ほど叶いやすいということを。
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