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月を爆破せよ(月下人撃滅計画)2

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 本日、優子が学校に行くとクラスの中が盛り上がっていた。それは特に女子たちであり、優子と手招きしながら呼ぶ。

「なに?」

「今日、転校生が来るらしいよ」

「え、こんな時期に?」

 そうなのだった、寒さが代名詞のこの時期に転校生が来るというのは、え、そんな事ってあるの? 的な話だった。

「で、その転校生って男子らしいよ」

 そう、女子たちがニヤニヤとかうれしそうな顔で盛り上がるのはそれだった。イケメン男子だったらいいのになぁとか、花の肉食モードをチラつかせている。

「へぇ~そう」

 別に興味ないなという優子は淡々と着席。そして自分のEカップって巨乳が机に当たるのをぎりぎり良しとする乙女の調整をして姿勢を整える。

 そしてしばらくしたら先生がやってきた。転校生の男子とかいうのを引き連れて入出した。

「おぉ、イケメン!」

 女子の中からそんな声が上がったりする。

「みんな今日からあたらしい仲間になる転校生を紹介しよう」

 先生に言われてペコっと一礼した男子というのは、身長は160cmくらいでスタイルがよいイケメン。少し生気が薄いみたいな感じが、もの悲しそうなイケメンという表現につながる。
「月野住人(つきのじゅうじん)です。よろしくお願いします」

 転校生がそう言うとクラスメート全員がほぼ同時に思った、変な生だなぁと。

 そしてとりあえず何事もなく、大方の女子が住人にキャーキャーやっても参加することなく、優子の学校での1日が終わろうとした。ところが放課後タイムに入って帰ろう! と思ったとき、突然に住人が優子のところにやってきた。

「いっしょに帰りたい、ダメかな?」

 住人が言って見下ろすと、立ち上がろうとしていた優子はおどろいて相手を見上げる。

 えぇ! とか、おぉ! とか教室内がざわつくが、住人はまったく気にする事なくいっしょに帰りたいとくり返した。

「え、えっと……」

 優子は反応に困った。何これ、なんで夏に雪が降ってくるの? という感じのおどろきが続く。

「ぼくがきみといっしょに帰りたい理由は一つしかないんだ。それはなんだと思う?」

 おまえほんとう小6? みたいな口調の住人、反応できない優子の顔を見て堂々と言ってのけた。

「ぼくの心がきみって女の子に一目惚れしてしまったからさ、そうだよ、他に熱い理由なんてどこにもないんだ」

 なんと大胆でかっこうよく気恥ずかしいセリフ。クラス中にブワーっと下から熱風が沸き上がり、キャー! という悲鳴も混じったりする。

「ちょ、ちょっと、ちょっと」

 優子が慌てて立ち上がる。するとフルっとセーターの悩め香しいふくらみ具合が軽く揺れる。

「ちょっと、外に……」

 教室内では困るからってことで、優子は外に出て話をと歩き出す。なにこれ、いきなりすごく困るんですけれど……と、怒り交じりに言いたいのを我慢する優子だった。

「いきなり何を言ってんの? すごく困るんだけれど」

 校舎から出たらさっそくとばかり立ち止まった優子が言う。

「とりあえず、歩きながら話をしないかな?」

 イケメン調でつぶやいた住人、優子が同意するより前にゆっくりと歩き出す。それはまるで女子のコントロール術を知っているようなイメージだった。

「どういうつもりもなにもないよ。一目惚れしたって言っただろう、それ以外の真実なんてどこにもないんだよ」

 歩きながら住人が言うと、横を歩きながら優子はおぇえ……と思った。なんつーくさいセリフ、自分はそんなのを聞いてよろこぶ女じゃないぞ! と女子力のガード力が上昇する。

「中野優子……で、いいんだよね?」

「え、なんで知ってるの? 教えていないのに」

「きみの周囲にいる男子はきみの事を中野と呼んで、女の子たちはきみを優子と呼んでいた」

「む、むぅ……」

「ぼくはきみのことを優子と呼びたい。ダメかな?」

「はぁ? いきなり名前で呼ばれても困るし」

「どうして? だってそうだろう? きみみたいな魅力的な女の子を名字で呼ぶなんて、そんなのステキな女子に対する冒とくみたいなモノじゃないか」

「えぇ……」

「それにあれだ、優子っていい名前なのに、どうして優子って呼ばれるのがダメなんだい、どうして? 優子」

「ぅ……く……」

 やだ、こういう男子は嫌いだ! と思う優子だったが……なぜか住人には妙な魅力めいたモノがあった。生命力が弱いからこそ美しいみたいな、そう例えるなら月の明かりがうつくしいと思わせられてしまうようなモノ。

「じゃ、じゃぁ聞くんだけれど……」

「なにかな? 優子に聞かれたことは全力の真心で答えるよ」

「ん……わたしのどこがいいの? 一目惚れしたとかいうけれど、どこがいいと思ったの?」

 優子が言うと住人は急に立ち止まった。そして、あぁ、なんてせつなく胸に突き刺さる質問だと表情を切な気にして左手を額に当てたりしてから質問に答えた。

「優子のすべて、すべてがこのぼくにとっての理想。そうだよ、それは夢でしか出会えないと思うような話が具現化されたって事だから、ぼくが一目惚れしない道理なんて存在しえないんだよ」

 ここで一度空を見上げた住人、もはやだまって聞くしかできない状態になった優子に顔を向けた。するとどうだ、その目にはピュアな涙がうっすら浮かんでいるではないか。

「優子」

「あ……ぅ、な、なに?」

「他のやつがどう思うかは知らないし興味もない。でもぼくには優子という女の子が、この第三惑星で一番魅力的な女子にしかみえないんだよ。ショートヘアが似合っていてすごくかわいくて、ふっくらむっちりで巨乳っておっぱいの持ち主、そんな優子をこのぼくが魅力的だと思わないだなんて、そんなことありえないんだよ!」

 それは周囲とか人目を度外視した熱弁にして力説の告白だった。そんなことをやられると……優子は何も言えなくないあげく、顔を赤くして立ち尽くすのみ。

「いけない……ぼくはどうしても情熱家になってしまう。まったく、これはぼくの悪いクセだよ」

 言った住人に見つめられると、優子は……相手の……青白い月明りを思わせるような目に吸い込まれるように感じた。

「おっと、残念だけれどここで枝分かれだね。優子、いきなりきみの心をかき回すようなことをして申し訳ない。でも知って欲しいとも思うんだ」

「な、なにを?」

「恋はいつだって突然に始まるのさ」

 住人はそう立ち去っていく。それを見送る優子、いつもであればバカじゃないの? とか思うはずなのに、なぜか少しポーっとなって、しかもそのふっくら豊かな胸のふくらみが熱いって状態になってしまっていた。
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