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月を爆破せよ(月下人撃滅計画)3
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ここ数日、姉の様子が少し変……と真治は思い始めていた。昨日の夕飯時間だってそうだ。少しポーっとなっている優子に声をかけたとき、真治は冗談で言ってやった。
「お姉ちゃん、誰かに恋しているみたいな状態?」
真治としては、はぁ? 何言ってんの? バカじゃないの? という優子調が返ってくると思っていた。ところが実際にはいつもとは少しちがう感じが返ってきた。
「ちがうし、そんなんじゃないし……」
そう、優子はそう言ったのだけれど、明らかに少しばかりテンションが低かった。そしてなんとなく、乙女のジャマをしないでと訴えるような感があるように思えた。
「まさか……お姉ちゃんに彼氏ができたとかいうのかな……」
つぶやく真治はいま近くのスーパーに向かって歩いている。母から買い物してこいと命令されたゆえの事だ。しかし頭は姉のことで一杯。
「えぇ……お姉ちゃんに彼氏? なんかイヤだなぁ……」
仲のよい姉弟であるゆえ、姉が他の男子に心を奪われるとかいうのはおもしろくないと思う弟だった。
「あ、真治だ!」
スーパーの中で突然に声をかけてきたのは、優子の親友である香苗であった。
「あ、こんにちは」
あいさつした真治、この人に優子のことを聞いてみようかなと思ったら、香苗の方からおどろくべき情報が飛んできた。
「優子って家に帰ってる?」
「いえ、ぼくが家を出る時はまだ帰っていませんでした」
「そうかぁ、やっぱりか」
「やっぱりって?」
「優子はデートしているんだな、まちがいない」
「で、デート?」
真治、おどろいたって事で買い物カゴを落としてしまった。すると香苗は真治に歩み寄り、左手で相手の左肩をポンと叩いて言う。
「わかるよ真治、あんたと優子は仲のよい姉弟だもんね。しかも優子はすごい巨乳女子、たとえ弟であっても優子を他の男に取られたくないと思うよね、わたしが真治だったらそう思う」
香苗は理解があった。弟なんだから姉の恋を応援しろではなく、姉を取られるつらいキモチがわかると真治に寄り添った。
「彼氏って……誰なんですか?」
「あれ、聞いてないの? ついこの間クラスに転校生が来たんだよ、その男子」
「えぇ……」
真治、軽いショックとさみしさを覚えた。そんな風になっているなんて教えてもらえなかったと思ったら、姉が遠ざかっていくみたいに感じてしまうせい。
「で、その彼氏とかいう人はどんな人ですか?」
「ん……一見的にはふつうなんだけれど……言う事がいちいちキザっていうか、相性が合わなかったら恥ずかしいとしか思えないようなやつ」
「えぇ……」
「おどろきだよねぇ、そういう男子って優子の好みじゃないはずなんだけど、気が合うのか惹かれ合ってるんだよね。それはまるで、言うなれば地球と月みたいな感じで」
真治は香苗の話を聞きながらかなりデカいショックを受けてしまった。
姉の優子は女子力とプライドが高い。言う事がキザでいっしょにいると恥ずかしくなるみたいな、そんな男は姉の好みではないはずと弟だからよく知っている。それがゆえに信じがたい、いったい姉に何が起こったのだと思わざるを得ない。
「優子の女が目覚めちゃったのかなぁ……」
香苗は会計を済ませた香苗、買い物袋に商品をつめながら、となりの真治に目をやり哀しいつぶやきをする。
「真治、もう優子は真治のことをかまってくれないだろうね」
ガーン! と真治は頭がクラクラした。姉を失う? いきなりそんな話が出て許されるのかよ! という哀しい感情に怒りが付着する。
「彼氏? お姉ちゃんに? しかも言う事がいちいちキザなやつ? そんなのとお姉ちゃんが付き合っている?」
買い物帰りの道で真治はぼやきながら思った。これは看過できない。姉に直接聞いて話をせねばならない! と。
そしてとりあえずガマンして夕飯が終わるのを待った。真治が狙うのは午後8時から9時くらいまでの1時間だ。なぜならこの時間帯は自分にとっても姉にとってもひとりでまったり過ごしたくなる時間ことが多いから。
ところが! 優子が予想外の行動に出た。午後8時からひとりでウォーキングに出かけるという。普段の優子は真治がいるならこの時間帯に歩くことをしたりもするが、自分ひとりではあまりやらない。
「お姉ちゃん、ぼくも行くよ」
言った真治にしてみれば、そうだね、男の子がいる方が安心だねとか言ってもらえると考える。でも実際はちがった。
「あぁ、いらない、ジャマ」
「じゃ、ジャマ……」
「乙女もひとりでゆっくり歩きたい時があるんだよ」
優子がそう言ったとき、いつもみたいな返しをやった。ぷっ! っと笑い、お姉ちゃんが乙女……とからかった。しかし優子はいつもと異なり真治の相手をしなかった。
「じゃぁ、行ってくる」
それだけ行って家を出る優子、真治は玄関に立ち尽くし、姉に見捨てられたようなさみしさを抱える。
「いや、男子としてこのまま放っておくわけにはいかない」
気を取り直した真治は急ぎクツを穿く。それには2つの理由があって、ひとつは尾行しながら姉に何か起こらないボディーガードするって心。そしてもうひとつは、姉が彼氏と密会するのではないか? と思うから、それなら彼氏とかいう奴を見てみたいする心。
「だいたいあれだい、こんな夜に密会するとすれば、その彼氏って絶対にロクなやつじゃないし」
愛しの姉を奪われたくないとする心を持つ真治、靴を履き終えたら家を出る。そして月がきれいに輝く夜空の下を、姉を追いかけながら歩き出すのだった。
「お姉ちゃん、誰かに恋しているみたいな状態?」
真治としては、はぁ? 何言ってんの? バカじゃないの? という優子調が返ってくると思っていた。ところが実際にはいつもとは少しちがう感じが返ってきた。
「ちがうし、そんなんじゃないし……」
そう、優子はそう言ったのだけれど、明らかに少しばかりテンションが低かった。そしてなんとなく、乙女のジャマをしないでと訴えるような感があるように思えた。
「まさか……お姉ちゃんに彼氏ができたとかいうのかな……」
つぶやく真治はいま近くのスーパーに向かって歩いている。母から買い物してこいと命令されたゆえの事だ。しかし頭は姉のことで一杯。
「えぇ……お姉ちゃんに彼氏? なんかイヤだなぁ……」
仲のよい姉弟であるゆえ、姉が他の男子に心を奪われるとかいうのはおもしろくないと思う弟だった。
「あ、真治だ!」
スーパーの中で突然に声をかけてきたのは、優子の親友である香苗であった。
「あ、こんにちは」
あいさつした真治、この人に優子のことを聞いてみようかなと思ったら、香苗の方からおどろくべき情報が飛んできた。
「優子って家に帰ってる?」
「いえ、ぼくが家を出る時はまだ帰っていませんでした」
「そうかぁ、やっぱりか」
「やっぱりって?」
「優子はデートしているんだな、まちがいない」
「で、デート?」
真治、おどろいたって事で買い物カゴを落としてしまった。すると香苗は真治に歩み寄り、左手で相手の左肩をポンと叩いて言う。
「わかるよ真治、あんたと優子は仲のよい姉弟だもんね。しかも優子はすごい巨乳女子、たとえ弟であっても優子を他の男に取られたくないと思うよね、わたしが真治だったらそう思う」
香苗は理解があった。弟なんだから姉の恋を応援しろではなく、姉を取られるつらいキモチがわかると真治に寄り添った。
「彼氏って……誰なんですか?」
「あれ、聞いてないの? ついこの間クラスに転校生が来たんだよ、その男子」
「えぇ……」
真治、軽いショックとさみしさを覚えた。そんな風になっているなんて教えてもらえなかったと思ったら、姉が遠ざかっていくみたいに感じてしまうせい。
「で、その彼氏とかいう人はどんな人ですか?」
「ん……一見的にはふつうなんだけれど……言う事がいちいちキザっていうか、相性が合わなかったら恥ずかしいとしか思えないようなやつ」
「えぇ……」
「おどろきだよねぇ、そういう男子って優子の好みじゃないはずなんだけど、気が合うのか惹かれ合ってるんだよね。それはまるで、言うなれば地球と月みたいな感じで」
真治は香苗の話を聞きながらかなりデカいショックを受けてしまった。
姉の優子は女子力とプライドが高い。言う事がキザでいっしょにいると恥ずかしくなるみたいな、そんな男は姉の好みではないはずと弟だからよく知っている。それがゆえに信じがたい、いったい姉に何が起こったのだと思わざるを得ない。
「優子の女が目覚めちゃったのかなぁ……」
香苗は会計を済ませた香苗、買い物袋に商品をつめながら、となりの真治に目をやり哀しいつぶやきをする。
「真治、もう優子は真治のことをかまってくれないだろうね」
ガーン! と真治は頭がクラクラした。姉を失う? いきなりそんな話が出て許されるのかよ! という哀しい感情に怒りが付着する。
「彼氏? お姉ちゃんに? しかも言う事がいちいちキザなやつ? そんなのとお姉ちゃんが付き合っている?」
買い物帰りの道で真治はぼやきながら思った。これは看過できない。姉に直接聞いて話をせねばならない! と。
そしてとりあえずガマンして夕飯が終わるのを待った。真治が狙うのは午後8時から9時くらいまでの1時間だ。なぜならこの時間帯は自分にとっても姉にとってもひとりでまったり過ごしたくなる時間ことが多いから。
ところが! 優子が予想外の行動に出た。午後8時からひとりでウォーキングに出かけるという。普段の優子は真治がいるならこの時間帯に歩くことをしたりもするが、自分ひとりではあまりやらない。
「お姉ちゃん、ぼくも行くよ」
言った真治にしてみれば、そうだね、男の子がいる方が安心だねとか言ってもらえると考える。でも実際はちがった。
「あぁ、いらない、ジャマ」
「じゃ、ジャマ……」
「乙女もひとりでゆっくり歩きたい時があるんだよ」
優子がそう言ったとき、いつもみたいな返しをやった。ぷっ! っと笑い、お姉ちゃんが乙女……とからかった。しかし優子はいつもと異なり真治の相手をしなかった。
「じゃぁ、行ってくる」
それだけ行って家を出る優子、真治は玄関に立ち尽くし、姉に見捨てられたようなさみしさを抱える。
「いや、男子としてこのまま放っておくわけにはいかない」
気を取り直した真治は急ぎクツを穿く。それには2つの理由があって、ひとつは尾行しながら姉に何か起こらないボディーガードするって心。そしてもうひとつは、姉が彼氏と密会するのではないか? と思うから、それなら彼氏とかいう奴を見てみたいする心。
「だいたいあれだい、こんな夜に密会するとすれば、その彼氏って絶対にロクなやつじゃないし」
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