息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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31・閻美のラブコール2

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31・閻美のラブコール2


「で、改めて……なんでおれの前に出てくるんだよ」

 たどり着いた喫茶の席にて、注文した品がテーブル上に落ち着いたところで早速息吹が閻美に質問する。すると閻美、インパクト絶大な真っ白な着物姿でニンマリ。白いミルクをコーヒーの中に落としてグルグルかき混ぜながら、息吹の活躍を見ていたらホレたのだと言う。

「最初に会ったときからちょっと気にはしていたが、舞い戻ってからの活躍を見ていたらいい男じゃないかって思った。それは胸キュンであり、いわば恋に落ちたって事だ。まったくわたしにこんな事を言わせるなんて息吹は罪深い」

 クスっと女子校生みたいな笑顔を見せつける閻美。コーヒーを一口のんでカップを皿に置くと、爆乳なんだ……とかつぶやきながら左手を着物の胸に当てて見せたりする。

「まぁ、閻美は美人とかわいいって表現の良いところ取りしたみたいな見た目ではある」

「そうだろう? しかもそれで爆乳、Iカップ、どうよ、これって無視するにはあまりにも勿体ないだろう? だから息吹、わたしと愛し合おう」

 閻美曰く、若返ると体内にエネルギーがみなぎり、胸の内側に欲望が無限のごとく湧き、とにかく青春したいと疼くらしい。そしてその疼きを解消するためには気に入った相手と愛し合うしかないのだと。

「いやまぁ、せっかくなら愛し合ってみたい……もらえるモノはもらうという展開を演じたいとも思う」

「だったらやろう、今すぐラブホに行こう」

「いや、それがそういうわけにはいかないんだよ」

「どうして!」

 コーヒーを飲みながら淡々と説明する息吹曰く、とにかく一度死んだというのはデカい。それによりすごいスピードで賢者モードが心の隅々にまで広がったという。

「自分でもびっくりだ。あれだけ女が好きで、セックスの快感は呼吸より好きだとか思って、女を泣かせても泣く方が悪いとふつうに考えていた自分が、すべて反転したみたいになったからな」

「でも、わたしはそういう息吹が好きだ。一周して悪行を情けに変えたような男は好きだぞ。そういう息吹をこの胸に抱きたいと思うぞ」

「いや、だからさ、賢者モードになると欲望って行動をやりたくてもブレーキがかかる。そんな事いまさらやりたくない的な、ずいぶんと立派な意識がおれをコントロールしてしまうんだ」

「う~ん……たまには賢者モードを解除できないか? たまにはやりたいとか思うだろう? プライドなんか捨てなよ、な? 息吹!」

 閻美は何が何でも息吹と付き合う、もしくはセックスがしたいって思うらしい。そしてこんな自分にもプライドはちゃんとあるのだと言ってのける。

「プライド?」

「そうだよ、息吹。わたしはいま盛るメスライオンみたいに思われているかもしれない。だが男なら誰でもいいなんて考えは持っていないぞ? わたしは息吹だ、息吹という一人に真剣な思いを伝えている。息吹になら抱かれたい、だが他の男は要らない、な? わたしだってプライドは高いんだ」

 閻美と話を続けていると、だんだんその気になりそうだと自ら思う息吹がいた。

 たまには……崇高な意識を捨ててもいいのでは? むしろ生前のよろしくない生き様だって、考えようによっては情熱的だったと言えるのではないか? などなど、息吹は閻美の顔やら白い着物の胸を見ていると、やっぱり生前の自分に戻りたいと少し疼きだす。

「戻れ、わたしがちゃんと面倒を見る。わたしの胸に来い、息吹」

 そうつぶやいた閻美、これは決まったな……と思った。息吹は我が掌中にあり! と勝利の笑みを浮かべたりもする。

 しかし、息吹の言う賢者モードも大したモノであり、やはり止めておくってセリフを出させる。

「息吹……おまえ、若者らしくないぞ」

「自分でもそう思うのだが……」

「そうか、だったら昔を思い出してみればいいのかな? 女にモテてセックスに不自由しないという頃の感覚、それを思い出せばいい、女とセックスする快感もついでにしかと思い出せ」

「なに?」

 ここで息吹が目を動かすとテーブルの横にウエイトレスが立っている。ポーっと熱を帯びた顔をしながら息吹に向かって唐突に言う。

「あの……抱いてください」

「は?」

「一目惚れしました……あなたのモノを受け入れたいです」

 18歳くらいであろうその少女は息吹にハートを盗まれたという感じそのものだが、閻美に操られているような感もある。

「おい閻美、人を操ったりするのはやめろよ」

「そんなこと言っている場合かな? 抱かれたいと思った女は凶悪なメスライオンになる事をお忘れなくだよ、息吹」

「なに?」

 ここで突然に息吹はウエイトレスが突然に息吹の腕をつかむ。それは黒いエプロンをかけてけっこうな巨乳女子という見た目からは不釣り合いな力。座っている息吹が腕を力強く振ったくらいではほどけない。

「まったく、いい加減に」

 息吹、たまらず立ち上がった。するとどうだ、その瞬間を待っていたとばかり、赤い顔のウエイトレスが息吹に抱き着く。なかなか豊かでやわらかいふくらみを押し付け、そうして息吹をググっと押し倒そうする。だから息吹の両ひざが冷たい床についてしまう。すると女はとっさに両手を動かし、グッと息吹の頬を横から圧迫するようにつかみ、情熱に満ちたキスをしてきた。

「ぅ……」
 
(ぅ……)

 やわらかい唇。女体から伝わるニオイ。思えば死んだあの日から、息吹は女の体と交わっていない。いや殺されてしまったわけであるが、こんな風に生々しいキスをされると……女の体を求めて得られる快感という情報が脳の奥から湧き上がってくる。

「息吹、欲情しちゃえ、もらえるモノはもらってしまえ。それが息吹のほんとうの姿なのだから」

 座って見つめる閻美はたのしそうに2人を見る。そしてもし事が始まったら3Pでもやろうか? などと言ったりもする。

(く……閻美め……)

 このままで窒息ことキス死にさせられてしまうと思った息吹、ブルブルっと震える左手を動かし、ウエイトレスの黒いスカート、股間とかいうところに軽く当てる。

「ひゃん!」

 ビクン! なった真っ赤な顔のウエイトレス、息吹とのキスを解除してしまい子犬みたいな声を出す。

「とりあえず退散」

 息吹、今のうちにと喫茶店の出入り口へ向かって走っていく。ところがカランカランと音がすると同時に、大量の若い女が息吹に抱かれる事しか見えていないという目で入店してきた。

「息吹、早くオスライオンモードになりなよ。わたしがこの胸にしっかり抱いてやるから」

「クソ……閻美め……」

 やむを得ず! ということで、息吹は閻美と向き合い座っていたテーブルの横にある窓ガラスへと突っ込んだ。

―ガッチャーンー

 ど派手な音と同時に砕け散るガラス。そうして息吹は喫茶店の外に転がり出る。雨が降っているので水浸しにもなる。しかし落ち着いて立ち上がるだのなんだのやっている暇はあらず。大勢の若い女が息吹に抱かれたいと願うハートの目で駆け寄ってくるからだ。

「息吹、一人とでもやったら、そのときは息吹の負けって事でわたしともセックスしてもらう、そして離れられない仲になってもらう」

 喫茶の中から破れた窓ガラス越しに息吹へ叫び手を振る閻美。幼稚な憎たらしさとフェロモンに満ちた笑顔がとても印象的。

 いま、息吹は閻美によってよく能力のひとつに制限をかけられてしまった。三次元と四次元の双方を行き来ができなくなってしまった。おかげで四次元に逃げ込むという最も楽で効果的な事ができない。

「クソ……斬ったり攻撃するわけにもいかないからなぁ」

 仕方なく一旦逃亡とするしかない息吹だった。とりえあず体力が続く限り、次から次に出現する欲情女たちから逃げた。逃げて、逃げて、あっちにこっちにともはや自分がどこの道をどの向かって進んでいるのか完全にわからなくなるほど不透明な全力ダッシュを続けた。

 そうしておよそ数時間後……息吹は気がつと森の中にいた。もう立ち上がれないほどへとへとになってドロドロの地面に仰向け。びっくりすることに雨が止んで夕焼けの空なんていうのが目に入る。

「いつ雨が止んだとか夕焼けとか……全然気づかなかった。てか、クッタクッタだ、体力を限界寸前まで使ってしまった」

 ハァハァと息を切らしながら、うつくしい夕焼けが穏やかな夜になるまで寝ていようと思った。どれほどドロドロになってもかまわないから寝転がりたいという子供っぽさを受け入れないと、減りすぎた体力の回復は困難。

「あぁ……ここまで疲れるとキモチ良さがすごい。まるで夢空間に抱かれているような心地よさだ」
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