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33・閻美のラブコール4
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33・閻美のラブコール4
「では……先手必勝!」
閻美が流れるように接近、そして刀を振る。
「ふん!」
息吹の刀が動き、相手のモノとがっちり挨拶するようにぶつかり合った。しかし次の瞬間、息吹の表情が少し硬直っぽい色に変化。
「な、なに……」
思わず声をだしてしまうのは、予想に反して閻美の刀が重く感じるせいだった。しかも閻美がニンマリ顔を続けている事からすれば、いったいなぜ? と不思議に思わずにいられない。
「息吹、どうした? すごく意外だと言いたげな顔をしているなぁ」
「う……」
息吹の足がズズっと後退。それは相手に押し込まれているからであり、自分が非力になったという軽いショックが精神のつよさを削る。
「教えてやろうか、息吹」
「なにをだ……」
「さっきわたしとキスしたよなぁ、ねっちりと熱い唇のコミュニケーションをやったよなぁ」
「だからなんだ……」
「あのとき、息吹の精力を吸い取らせてもらった。おっと、怒らない、怒らない、それは女の特権というやつだよ息吹。女は男の精力を吸い若返る。男はそれにより老けてしまうかもしれないが、夢と快感を得られる、持ちつ持たれつ」
「閻美、おまえは魔物か!」
正面からぶつかり合っていた刀という構図を息吹が力で押しのけた。まずはそれができた。しかし顔面からはけっこうな汗が流れ出る。
「どうした息吹、もう汗が出ているぞ」
「く……」
「わたしは思う、男と女が刀で戦うなんて無粋だ。男と女は体をむさぼり合うという、愛と名の戦いをするべきだ、ちがうかな?」
「いまのおれはそういう話が基本きらいなんだよ」
「基本だろう? それは偽っているのだよ。今からそれを教えてやろう、男のプライドがいかに性欲に弱いかという事実を」
女がニタリと不敵な笑みにかわいさを交えた。それを見た息吹は刀を構えながら少し引く。何をする気だ? ものすごいスピードで突進でも仕掛けるか? それとも意表を突いて上から攻撃してくるか? と、息吹は色々考えそれらの可能性に注意を払う。
だがこのとき、突然に地面から音がした。前方の敵を見ていなければいけないとは思っても、息吹の両目は下を見る。
「な……」
突然に地中から湧き出た数本のピンク色の矢印数本、まるで生き物のような息遣いを持ちながら息吹に向かった。
「あぅう……」
ブスっと数本が息吹の体に突き刺さる。一本は左僧帽筋の辺りに突き刺さり、一本は右手首に刺さり、そしてもう一本は右の太ももにブッ刺さる。その衝撃によっていくらかの血が噴き出したが、問題はその後からだった。
「ぁ……く……」
ドックン・ドックン……という不快な音が息吹の耳に生々しく聞こえてきた。そして体に刺さる矢印からあまりに心地よい感覚が流れ出てくる。それはプライドによる抵抗がなければ、うっとり顔になって脱日常の声を出したくなるようなモノ。
「息吹、キモチいいだろう? なんといってもわたしという女が持っている快楽要素を息吹の中に流し込んでいる。つまりだ、男がわたしという女の体に接して感じられる要素のすべてを血流に送っているのだ。だがそのままでは最後の射星までは到達出来ないようにしてある。そんなかんたんに満たされるのは卑怯だろう? 男は女の体を直に求めて尽さねばならない。だから息吹、そんな中途半端で苦しい状態から逃げるためには言うのだよ、閻美の体が欲しい、閻美と愛し合いたい! と」
それはかなり屈辱な事であった。男の肉体を快感でおぼれさせておきながら、肝心のあと一歩は約束されていないという、言わば生殺し状態。
「ぅ……く……だ、だれが言うか」
息吹は否定しようとする。しかしヌルヌルっと引きずり込まれるような快感が体内をめぐり、脳みそをほんのり溶かしていく。そうすると心のプライドは情け容赦なくどんどん数字を小さくしていく。30%くらいのプライドってやつが、25%になり、20%になり、15%になりと下がっていく。
「ハァハァ……」
「息吹、苦しそうだねぇ。つらいだろう? 自分の手で触って満たされる? できるならやってみればいい。でもムリだろう? なぜって息吹は相当な女とセックスをした。女のぬくもりでなければ射精出来ない体になっている。それは死んでよみがえっても同じこと。だから言うといい、閻美の体が欲しいと、閻美と愛し合いたいと。そうしたらわたしが包み込んでやるから」
閻美のいかがわしい声が胸をくすぐる。その声の持ち主に甘えたいって欲求に従いたくなる。
「ハァハァ……」
息吹、だんだんとガマンするのがイヤになってきた。プライドだの賢者的な意識だの捨て去り、素直になって閻美の胸に抱かれる方が得なのでは? と思い始める。
よみがえる以前、つまり生前……息吹は膨大とも言える数の女とセックスをした。飽きたら駄菓子のようにポイ捨てして次から次に食い散らかした。それを恥ずかしいと思わず、むしろ男らしい生き方と誇ったりもしていた。
しかし死んでよみがえったら……急に生前の自分が恥ずかしいと思うようになり、あの日々は恥ずかしいライフメモだと思うようになる。そしてそれにより、やっと正しい人間になれたような気がした。
もし、いまここで閻美と愛し合うとどうなるか、おそらく賢者モードの再構築は不可能。せっかく芽生えたモノも、たった一度の腐りでダメになる。それは人間の歯が腐り抜け落ち二度と戻らないのと同じ。
「閻美……」
「うん? なんだ?」
「お、おれは……おれはレベルの低い人生には戻りたくない!」
息吹、持っていた刀を天高くに放り投げた。そうして両腕を握り、全身に力を入れて最大クラスの気合を持って一叫びする。
「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
その叫びと同時に体に刺さっていた矢が抜けていく。いや、気合によって体外へ押し出されたというべきか。そして息吹が待とうオーラによって矢は再び刺さったりはしない。
なにぃ! とおどろきショックを受ける閻美だった。あの状態で女の魅力を振り切った息吹のプライドに衝撃を受け、思わずクッと両目を閉じ顔を横に振ったりしてしまう。
「戦っている最中によそ見するのは良くないな、閻美」
閻美がハッと気づいたとき、自分の後方に立ってい息吹の刀が肩に置かれる。本気で首を斬るとは思えないが、勝負を決めたという勝者威圧感が感電死レベルでビリビリ女に伝えられる。
「息吹……」
「なんだ?」
「わたしは女として……魅力なしか?」
「そんな事はない。閻美もいい女だ、ここにいるのが生前のおれだったら今頃とっくにベッドタイムをしている」
「あぁ……息吹ぃ……セックスしたい、ダメか?」
「というか、閻美……おまえ、おれに人の心を学べとか言ってなかったか? そのためによみがえらせたはずだが?」
「たしかに。だが言っただろう? よみがえった後の息吹を見ていたらホレてしまったのだと。だからちょっと考えが変わった。息吹にもたまには息抜きがあってもいいだろうと」
「なんならおれ、家満登息吹を終えてもいいぞ? さっさとたましいの消滅とか生まれ変わりに入ってもいいけど」
「そ、それはダメだ。わたしが納得出来ない。それにあれだ、父もわたしが早く結婚することを望んでいる」
「はぁ?」
「つまり……息吹と愛し合うだけでなく、結婚したいかなぁって」
「ブッ! 結婚したらおれってどうなるんだ?」
「閻魔一族の一員。末永く悠々自適。罪人をさばき、少数の善人を天国に送ったら、後は妻であるわたしと好きなだけたっぷり愛し合うって日々だ」
「興味湧かないな」
「でも、わたしとしては息吹をその気にさせたい、だからあきらめない。わたしがあきらめるまで息吹は消滅も生まれ変わりもなしだ」
「勝手だな……」
「それが特権というモノだ」
ここで閻美は名残惜しそうな顔をし、今日はここらで帰らねばならないと言う。
「息吹がわたしと愛し合い結婚し、夫婦となって共に生きるという物語をわたしはあきらめないからな、そのつもりでよろしく」
そうして閻美の姿がスーッと消えた。すると広い空間がとても静かになったように感じさせられる。人の心に染み渡るような静けさがこの場を覆う。
「ゲスな人生送って、死んでよみがえって賢者になったと思っても、別の苦労は付きまとうってか。人間っていうのはどうあっても楽に過ごせないってかぁ、しんどいもんだ、まったく」
こうして息吹は疲れと思いアクビをしながら、どこぞで誰かが助けを求めたりしていないかなと思いながら街の方へ向かって歩き出すのだった。
「では……先手必勝!」
閻美が流れるように接近、そして刀を振る。
「ふん!」
息吹の刀が動き、相手のモノとがっちり挨拶するようにぶつかり合った。しかし次の瞬間、息吹の表情が少し硬直っぽい色に変化。
「な、なに……」
思わず声をだしてしまうのは、予想に反して閻美の刀が重く感じるせいだった。しかも閻美がニンマリ顔を続けている事からすれば、いったいなぜ? と不思議に思わずにいられない。
「息吹、どうした? すごく意外だと言いたげな顔をしているなぁ」
「う……」
息吹の足がズズっと後退。それは相手に押し込まれているからであり、自分が非力になったという軽いショックが精神のつよさを削る。
「教えてやろうか、息吹」
「なにをだ……」
「さっきわたしとキスしたよなぁ、ねっちりと熱い唇のコミュニケーションをやったよなぁ」
「だからなんだ……」
「あのとき、息吹の精力を吸い取らせてもらった。おっと、怒らない、怒らない、それは女の特権というやつだよ息吹。女は男の精力を吸い若返る。男はそれにより老けてしまうかもしれないが、夢と快感を得られる、持ちつ持たれつ」
「閻美、おまえは魔物か!」
正面からぶつかり合っていた刀という構図を息吹が力で押しのけた。まずはそれができた。しかし顔面からはけっこうな汗が流れ出る。
「どうした息吹、もう汗が出ているぞ」
「く……」
「わたしは思う、男と女が刀で戦うなんて無粋だ。男と女は体をむさぼり合うという、愛と名の戦いをするべきだ、ちがうかな?」
「いまのおれはそういう話が基本きらいなんだよ」
「基本だろう? それは偽っているのだよ。今からそれを教えてやろう、男のプライドがいかに性欲に弱いかという事実を」
女がニタリと不敵な笑みにかわいさを交えた。それを見た息吹は刀を構えながら少し引く。何をする気だ? ものすごいスピードで突進でも仕掛けるか? それとも意表を突いて上から攻撃してくるか? と、息吹は色々考えそれらの可能性に注意を払う。
だがこのとき、突然に地面から音がした。前方の敵を見ていなければいけないとは思っても、息吹の両目は下を見る。
「な……」
突然に地中から湧き出た数本のピンク色の矢印数本、まるで生き物のような息遣いを持ちながら息吹に向かった。
「あぅう……」
ブスっと数本が息吹の体に突き刺さる。一本は左僧帽筋の辺りに突き刺さり、一本は右手首に刺さり、そしてもう一本は右の太ももにブッ刺さる。その衝撃によっていくらかの血が噴き出したが、問題はその後からだった。
「ぁ……く……」
ドックン・ドックン……という不快な音が息吹の耳に生々しく聞こえてきた。そして体に刺さる矢印からあまりに心地よい感覚が流れ出てくる。それはプライドによる抵抗がなければ、うっとり顔になって脱日常の声を出したくなるようなモノ。
「息吹、キモチいいだろう? なんといってもわたしという女が持っている快楽要素を息吹の中に流し込んでいる。つまりだ、男がわたしという女の体に接して感じられる要素のすべてを血流に送っているのだ。だがそのままでは最後の射星までは到達出来ないようにしてある。そんなかんたんに満たされるのは卑怯だろう? 男は女の体を直に求めて尽さねばならない。だから息吹、そんな中途半端で苦しい状態から逃げるためには言うのだよ、閻美の体が欲しい、閻美と愛し合いたい! と」
それはかなり屈辱な事であった。男の肉体を快感でおぼれさせておきながら、肝心のあと一歩は約束されていないという、言わば生殺し状態。
「ぅ……く……だ、だれが言うか」
息吹は否定しようとする。しかしヌルヌルっと引きずり込まれるような快感が体内をめぐり、脳みそをほんのり溶かしていく。そうすると心のプライドは情け容赦なくどんどん数字を小さくしていく。30%くらいのプライドってやつが、25%になり、20%になり、15%になりと下がっていく。
「ハァハァ……」
「息吹、苦しそうだねぇ。つらいだろう? 自分の手で触って満たされる? できるならやってみればいい。でもムリだろう? なぜって息吹は相当な女とセックスをした。女のぬくもりでなければ射精出来ない体になっている。それは死んでよみがえっても同じこと。だから言うといい、閻美の体が欲しいと、閻美と愛し合いたいと。そうしたらわたしが包み込んでやるから」
閻美のいかがわしい声が胸をくすぐる。その声の持ち主に甘えたいって欲求に従いたくなる。
「ハァハァ……」
息吹、だんだんとガマンするのがイヤになってきた。プライドだの賢者的な意識だの捨て去り、素直になって閻美の胸に抱かれる方が得なのでは? と思い始める。
よみがえる以前、つまり生前……息吹は膨大とも言える数の女とセックスをした。飽きたら駄菓子のようにポイ捨てして次から次に食い散らかした。それを恥ずかしいと思わず、むしろ男らしい生き方と誇ったりもしていた。
しかし死んでよみがえったら……急に生前の自分が恥ずかしいと思うようになり、あの日々は恥ずかしいライフメモだと思うようになる。そしてそれにより、やっと正しい人間になれたような気がした。
もし、いまここで閻美と愛し合うとどうなるか、おそらく賢者モードの再構築は不可能。せっかく芽生えたモノも、たった一度の腐りでダメになる。それは人間の歯が腐り抜け落ち二度と戻らないのと同じ。
「閻美……」
「うん? なんだ?」
「お、おれは……おれはレベルの低い人生には戻りたくない!」
息吹、持っていた刀を天高くに放り投げた。そうして両腕を握り、全身に力を入れて最大クラスの気合を持って一叫びする。
「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
その叫びと同時に体に刺さっていた矢が抜けていく。いや、気合によって体外へ押し出されたというべきか。そして息吹が待とうオーラによって矢は再び刺さったりはしない。
なにぃ! とおどろきショックを受ける閻美だった。あの状態で女の魅力を振り切った息吹のプライドに衝撃を受け、思わずクッと両目を閉じ顔を横に振ったりしてしまう。
「戦っている最中によそ見するのは良くないな、閻美」
閻美がハッと気づいたとき、自分の後方に立ってい息吹の刀が肩に置かれる。本気で首を斬るとは思えないが、勝負を決めたという勝者威圧感が感電死レベルでビリビリ女に伝えられる。
「息吹……」
「なんだ?」
「わたしは女として……魅力なしか?」
「そんな事はない。閻美もいい女だ、ここにいるのが生前のおれだったら今頃とっくにベッドタイムをしている」
「あぁ……息吹ぃ……セックスしたい、ダメか?」
「というか、閻美……おまえ、おれに人の心を学べとか言ってなかったか? そのためによみがえらせたはずだが?」
「たしかに。だが言っただろう? よみがえった後の息吹を見ていたらホレてしまったのだと。だからちょっと考えが変わった。息吹にもたまには息抜きがあってもいいだろうと」
「なんならおれ、家満登息吹を終えてもいいぞ? さっさとたましいの消滅とか生まれ変わりに入ってもいいけど」
「そ、それはダメだ。わたしが納得出来ない。それにあれだ、父もわたしが早く結婚することを望んでいる」
「はぁ?」
「つまり……息吹と愛し合うだけでなく、結婚したいかなぁって」
「ブッ! 結婚したらおれってどうなるんだ?」
「閻魔一族の一員。末永く悠々自適。罪人をさばき、少数の善人を天国に送ったら、後は妻であるわたしと好きなだけたっぷり愛し合うって日々だ」
「興味湧かないな」
「でも、わたしとしては息吹をその気にさせたい、だからあきらめない。わたしがあきらめるまで息吹は消滅も生まれ変わりもなしだ」
「勝手だな……」
「それが特権というモノだ」
ここで閻美は名残惜しそうな顔をし、今日はここらで帰らねばならないと言う。
「息吹がわたしと愛し合い結婚し、夫婦となって共に生きるという物語をわたしはあきらめないからな、そのつもりでよろしく」
そうして閻美の姿がスーッと消えた。すると広い空間がとても静かになったように感じさせられる。人の心に染み渡るような静けさがこの場を覆う。
「ゲスな人生送って、死んでよみがえって賢者になったと思っても、別の苦労は付きまとうってか。人間っていうのはどうあっても楽に過ごせないってかぁ、しんどいもんだ、まったく」
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ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
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