息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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51・売る側と買う側7

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51・売る側と買う側7


「ん……」

 本日の午後9時、自宅のおのれ部屋でユーチューブ三昧をしていたら、卓郎のスマホに連絡が来た。ディスプレイには結婚相談所と出ているが、いくらなんでも昨日の今日でうれしい情報が来るわけないと思う。だから卓郎は何か面倒くさい話を持ち込まれるのかな? と不安になりつつ出る。

「はい、もしもし」

「あ、損擦岳卓郎さん、こんばんは、混院結美です」

「あ、昨日はどうも」

「はい、早速なんですけれど、うれしい情報が飛び込んできましたよ。もうね、損擦岳卓郎さんにぴったり! ってステキな女性が現れたんです。一度会ってみたいとおっしゃっていられるんです」

「え、え、え……ちょ、ちょっと待って、本当ですか?」

「こんな事で冗談とかウソは言いません」

「で、でも昨日の今日っていうか、すごく早いっていうか」

「損擦岳さん、出会いはいつだって突然……ですよ。で、聞きたいですよね? どんな人か聞きたいですよね?」

「ちょ、ちょっと待って、深呼吸してキモチを落ち着かせてから」

 これは夢か? それともテレビのどっきりか? などと思いながら、軽い深呼吸をして話を聞かせてもらった。するとどうだろう、その特徴とかいうのは卓郎が現実を見るために捨てねばならないという理想そのもの。あまりにもステキで感動的だから、疑いの念すら抱いてしまう。

「それってほんとうなんですか?」

「ほんとうですよ、よかったですね、もう!」

「は、はい……」

「お相手さんのお名前は中野優子さん、年齢は26歳で〇〇会社でOLをされています」

「中野優子さん……か」

「それでですね、あんまり間が空いてキモチが冷めるのはイヤだということで、軽い話くらいでいいから早めに会ってみたいとおっしゃっているのですか」

「い、いつだってオーケーですよ、こっちは」

「では明日……というのは急ぎすぎでしょうから、明後日の夜はどうですか? 先方はそれでもかまわないとおっしゃっていますが」

「今のところ予定みたいなモノはないので、午後7時に待ち合わせとかなら行けますけど」

「場所は?」

「えっと……〇〇駅、西口駅前広場とか」

「わかりました、そう伝えます。それから優子さんの画像をそちらに送りますから、ちゃんと見てください。そちらに優子さんのメールアドレスなども載せてありますから」

「わ、わかりました」

「損擦岳さん、がんばってくださいね」

「はい、がんばります」

 こうして卓郎は突然やってきた話を終えた。しかし話が終わってもまだ夢みたいな感覚が続いており、これは夢なのでは? などとしつこく思ったりしてしまう。

「中野優子……中野優子……」

 机に向かって座ったら右手にマウスを握る。デスクトップパソコンにつないである21.5インチのモニターを見つめながら、かってないほどドキドキしながらGメールへアクセス。

「あ、これか……」

 結婚相談所からのメールがあると確認。添付されているのが画像データであり、中野優子という女性の顔と姿が拝める。

「やべ、なんだこの緊張感」

 画像を開こうとすれば心臓が踊る。その高鳴りはとうの昔に消えてしまった小学生時代のピュアを思い出すようだった。

「が、画像……クリック、中野優子さんウェルカム!」

 ついに画像開きのクリックをかました。さすればシュパ! っと心地よい高速で画像が立ち上がる。高画質の大きいサイズって画像だから、心臓をバコバコさせながら小さくして気になる女性の全体を見た。

「うぉ! こ、これは……」

 思わず立ち上がりかけた卓郎が見たのは、紛れもない彼基準にとってのエンジェル。そうエンジェルはこの世に存在したのだ!

「おぉ……こ、これが……ゆ、ゆ、優子さん……」

 卓郎が目にする中野優子26歳、ショートレイヤーがよく似合う色白でふっくらな顔立ち。その見た目は22歳くらいに見えて素朴な愛しさで形成されている。そして上のレディース高撥水シェルジャケット(ネイビー)の下にある薄いピンク色Tシャツのふくらみ具合がすごい。その豊満でやわらかそうなボリュームは美爆乳という表現でしかなく、うっすら透けて見える谷間や白いフルカップブラジャーなどを合わせると、優子はすごいグラマーさんという事が誰の目にも明らか。

「す、すごい……爆乳」

 たまらずそう言って胸を見つめた後、焼けるような罪悪感に襲われパソコン画面の画像にごめんなさい! と謝ってしまう。そうしてアーシーなカラーコーデボタニカル柄ってロングスカートに目をやり、再度全体像と顔を見て、キュゥっと締め付けれるように切なくなる。

「う、ウソだぁ……こんなステキな人が結婚相談所なんか利用するの? も、もしかしておれ騙されているんじゃ……」

 うれしさ、期待、それと同じだけの信じられない感がごった煮スープみたいに混ざり合って行く。そうするとちょっとなつかしい感情を思い出した。自分好みの女子が通り過ぎるのを目にしたとき、ああいう女の子を今度はいつ拝めるだろうとさみしく思う心。

「ゆ、優子……」

 あまりにも……あまりにも……エンジェルとしか見えないから、卓郎は優子の顔とふっくら豊かでやわらかそうって部分の両方を見ながら、呼吸が狭まり顔を赤くする。トロっとした目は空中楼閣に引っ張られるようなモノであり、小声で何度も優子……とつぶやく。

「ぅ……」

 優子を見つめながら思わず両膝がブルッと震えた。なぜなら優子を見ていて生じる切なさについつい手が動いてしまったからだ。ズボンの上から股間に手を当ててしまっていた。

「だ、だめだ……こんな……こんな事をするのは優子さんに失礼だ」

 心の本音としては突き進みたかったが、そこにブレーキをかけることで自分のプライドと同時に、あまりにも好みで尊い中野優子という女性への想いが汚れないようにと気遣う。

「し、しかし……」

 パソコンの画面を見たくなる。何回でも何時間でも優子を見つめていたくなる。これではただの病気になるじゃないか! という事で、それなら疲れる他ないと結論。

「おれちょっと走って来るわ」

 テレビを見ている両親にそう言った。こんな時間から? と両親は怪訝な顔をしたが、健康のためだよと言えば大方の事は正義で済まされる。

「走ろう、クタクタになるまで走ろう。そうなれば……おちつける。そうでないと頭の中がいっぱいになって何も考えられなくなる」

 「ハァハァ……」

 普段あまり運動していないゆえ、息の上りが早い。だが歩いたら雑念が頭の中からこぼれだし、どうしたって股間に血流を集中させるような事になってしまう。今は美しくありたい、あの女性を見てドキドキするキモチを汚したくない、そう思うゆえ卓郎はハァハァやりながらも走り続ける。

「な、中野優子……中野優子……中野優子……」

 走りながら名前を言ってしまう。そしてあの顔や全体像が濃厚に眼前再生されてしまう。だからぶっ倒れるまで走ろうと思う卓郎だった。少なくとも今晩は中野優子って名前や姿に欲情しないで済むようにと。
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