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52・売る側と買う側8
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52・売る側と買う側8
「なぁ損擦岳、今日みんなで飲みに行かない?」
同僚の一人がそう誘った。エアお猪口を持つような右手を動かし、クイっと飲むようなアクションをひとつかます。
「あぁ、ごめん、今日はダメなんだ」
実に素っ気なく断る卓郎だった。しかしそれは当たり前以外の何でもない。なぜなら今日は中野優子と実際に会ってみる日。そういう予定を立てた瞬間からこの時間まで、いったいどれだけ中野優子を思い浮かべポーっとなっただろう。それからすれば同僚と飲む席なんていうのは眼中にあらず。
(よし……)
急ぎの用事があるとか言って軽く走り出すとき、心の中では優子さん! とか言って激烈なダッシュをやりたいと思った。それはまるで初恋の相手とついにデートができると異常に興奮する高校生そのもの。
「ハァハァ……6時35分か……さすがにちょっと早いか」
やや離れたところから待ち合わせ場所に目をやる。そしてそこにはパソコンで見まくりな画像の女性と同じ姿がないとし、およそ25分という残り時間を大変な苦痛として待つ。
(あぁ、中野優子……中野優子……)
呪文のように何回ともなくくり返した。今の卓郎にとって時計の進行は悪い魔法がかかったかのごとく遅い。1分が5分に感じられるため、たったの1秒ですらジッとしていられない。
「6時50分……そ、そろそろ……行ってみようかな」
待ちきれない思いがあまりにも多いので、卓郎は早歩きでお目当ての場所の向かい側って通りに到着。そして見た、中野優子という女性の姿を。それは画像で見たその人そのものであり、卓郎にとってみればとっても小さな太陽の分身みたいに明るく見えた。
「お、おぉ……」
卓郎、思わずごくりとひとつ飲む、いや飲まずにはいられないかった。なんて素朴にかわいくステキなのだろう、なんてすごい豊満でやわらかそうな美爆乳の持ち主だろう、そしてなんとおっとりやさしそうなオーラを持っているのだろうなどなど、数えきれない雨粒みたいに恋の弾丸がぶつかってくる。
「よ、よし……」
心臓はバコバコはげしいド緊張ではあったが、信号が青になったのを利用することにした。次のチェンジで渡ろうなんてマイナステキな思考ではなく、いますぐわたってステキな女性に近づこうと足を動かし始めていた。
(中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子……)
ぐるぐる呪文みたいに続けながら歩くと、早くたどり着きたい意識と緊張が核融合を起こす。ドーン! と鼻血が噴出しそうな心配が起ってしまうが、それでも卓郎は勇気を持って歩み続ける。
そしてついに目と鼻の距離ってくらいに近づいた。気になる人、中野優子は違う方向を向いていて自分を見てはいない。だから卓郎スーッと息を吸ってから声を出す。
「あ、あの……」
突然に声をかけられたので女性がクッと振り向く。あぁ、この至近距離で見ると……まるでピンクの小粒がエフェクトで撒かれるみたいだとか思いながら、卓郎は続けた。
「お、おれ……損擦岳卓郎……です。な、な、中野、中野優子さん……ですよね? よ、よろしくお願いします!」
言ったら自然に少し頭を下げていた。でもその方が卓郎にはよかった。緊張して両目が落ち着かないに加え、近い距離で見る優子の色白ふっくらな顔に呼吸を狭められ、あげくすごい美爆乳の持ち主って特徴にドギマギさせられる。だから両目が下に向くほんの一瞬が落ち着くためのリセットタイム。
「あ、あぁ……は、初めまして、中野優子です、よろしくお願いします」
優子もまたかなりテレているらしく、そのやわらかい微笑みの中には自分のドギマギをコントロールし損ねているような感がある。
「と、と、とりあえず……とりあえず、喫茶店に入りませんか?」
卓郎は言ってすぐ近くにある喫茶店、恋人たちのわだかまりに人差し指を向ける。しかしすぐ心の中で時間的にはどこぞへの食事に誘うべきだった! と焦ったりする。
「はい、行きましょう」
優子がニコっと笑うと、それはもう卓郎の心を包み込むマシュマロみたいなモノ。思わず両目がトロっとなりかける卓郎であった。
「よいしょっと……」
優子は白いテーブルをはさんでソファーに着席すると、クッと青色のジャケットを脱ぐ。するとピンク色Tシャツのふっくらなふくらみがフルっと揺れ動く。下にあって透けて見える白いフルカップブラとか谷間が ドキドキせざるを得ない卓郎の目から脳みそへ一直線爆弾と化す。
ウェイトレスがやってくる、そしてレモンティーとコーヒーを注文する。それがやって来るまではとってもぎこちなく、油切れっぽく会話もできない。しかし互いの注文がテーブルに置かれウェイトレスが立ち去ったら、卓郎はカップにミルクを落しながらつぶやく。
「あの、中野優子さん……」
「はい」
「ほ、ほんとうなんですか?」
「ほんとうって? 何がですか?」
「だ、だって……中野優子さんみたいなステキな感じの人だったら、すぐに彼氏とか出来そうな気がするし、その気になったらイケてる彼氏なんてすぐ手に入るように思うのに、こんな……さまよっている男なんかといっしょに過ごしたりするのは本当なのかなぁって」
必然的に卓郎の声はちょっと拗ねた感じになっていた。もしかすると、こんなステキな感じの女性とはうまくいくはずがないから、それなら最初から出て来ないでくれ! 的な感情が沸いたのかもしれない。
「あっと……その……」
対する優子、ここ一口飲み終えたのでカップを皿に戻す。そして色白な右手で頭をかきながら、顔を赤くし別にステキじゃないです……とこぼす。
「あっとその……言ってもいいですか?」
そう言った優子が赤い顔にほんのり苦悩を交えたりすると、それを正面に見てダメだ! などと言える男がいるはずもない。もちろん、言ってくださいと卓郎が言ったのはあまりに当たり前の返し。
「わたし……ちょっと前に心を入れ替えようと思ったんです。だからそれまでは心持ちの汚い女だったんです」
「え、な、中野優子さんが……ですか?」
「はい……けっこうゲスな爆乳女だったんです」
優子は色白な両手をロングスカートに覆われた両膝の上に置く。卓郎には見えないが両手をクッとにぎり、以前の自分は1g7000円くらいの24金に匹敵する女……とうぬぼれていたのですと心苦しそうにつぶやく。
「わたし、その、早くからおっぱいが大きい巨乳女子だったんです。小3になってすぐブラが始まって小4でCカップ、小6でEカップ、そして……今はバスト105cmのIカップとかです。しかも……やわらかい弾力いっぱいでカタチはきれいって美爆乳だからつい……自分は黄金の女とうぬぼれてしまって、だったらこっちは贅沢な要求を突きつける権利があると思ったんです。よって今まで散々バカみたいな高望みをしてきました」
優子はそう言うとここでグッと言葉を飲む。とてもつらそうな表情が印象的。もしかするときれいな涙がツーっと流れ出すかもしれない。
「で……どうなったかっていえば……売れません。今までずっと売れ残りをやってきました。コンビニで廃棄されるお弁当みたいになりつつあるって事です。ほんとうにダメなんです、だからわたし今まで一度もデートとかした事はないし、セックスの経験もない処女なんです」
優子の声と体がワナワナ震えだす。つらい告白を自ら進んでやったので、泣きだしそうな予感がとてつもなく現実味を帯びる。
「最低ですよね……こんな女……自分でも……ほんとうに……どうして……」
こらえきれない優子の目から涙が流れ落ちる。それは色白な頬をすべるように落ちていき、豊満なふくらみって部分にぽたりと落ちる。
「そ、そんな事ないです、そんな事ないですよ優子さん!」
「え?」
「お、おれ……優子さんみたいなすごい爆乳さんっていうか、グラマーさんって女性はすごく好きです」
思わず立ち上がっていた、そしてその言葉にありったけの熱を込めていた。だからハッと気がつくと周囲が自分たちに注目していると気づく。
「ご、ごめんなさい」
「い、いえ……」
卓郎はコーヒーをグッと飲んで気を落ち着かせてから、今の優子さんは心持ちがきれいだから、それでいいじゃないですか? と冷静な声でつぶやいた。
「そ、その……以前に問題があったとしても、それを自覚して心を入れ替えるとかいうのはすばらしいと思います。だって、今の優子さんからはただのステキな女性としか伝わってきませんから」
「そ、そんな……恥ずかしいですよ」
「お、お、おれと……もちろん最初は友だちとか借りでいいから、つきあって欲しいです、ダメですか?」
「わ、わたしとですか? いいんですか?」
以前の優子がどれほどだったかはわからないが、今の優子はちょっと自信がないらしい。こんな女でいいのかなぁと弱気になって引っ込んでしまいそうな気配すら感じる。
「優子さん」
スクっと立ち上がった卓郎、いったい何事かと思った次の瞬間に優子を驚かせる。なんと店の通路って床に正座したかと思えば、そのまま優子に向かって頭を下げたのだ。
「ちょ、ちょっと損擦岳さん……」
「お願いです、つき合ってください!」
卓郎はここが喫茶店とか周りにはたくさん他人がいることを忘れたわけではない。その上で実に男らしい行動に出ていた。
「優子さんみたいな女性はすごい好みです。そしていま現在の優子さんから伝わる謙虚でやさしい感じも……心から惹かれました。だからお願いします、チャンスをください、つき合ってくだし……お願いします!」
損擦岳卓郎の男らしい姿を周りの客はおしゃべりを止めて見守る。まったく人間の声がしない、控えめなボリュームのクラシック音楽しか聞こえない店内となっている。
「は、はい……わたしでよければ」
「あぁ……」
優子が言い卓郎が顔をあげる。そうして2人の目が合うと、一斉に店内から拍手と口笛が沸きあがる。それは損擦岳卓郎と中野優子ってカップルがこの世に誕生した瞬間であった。
「なぁ損擦岳、今日みんなで飲みに行かない?」
同僚の一人がそう誘った。エアお猪口を持つような右手を動かし、クイっと飲むようなアクションをひとつかます。
「あぁ、ごめん、今日はダメなんだ」
実に素っ気なく断る卓郎だった。しかしそれは当たり前以外の何でもない。なぜなら今日は中野優子と実際に会ってみる日。そういう予定を立てた瞬間からこの時間まで、いったいどれだけ中野優子を思い浮かべポーっとなっただろう。それからすれば同僚と飲む席なんていうのは眼中にあらず。
(よし……)
急ぎの用事があるとか言って軽く走り出すとき、心の中では優子さん! とか言って激烈なダッシュをやりたいと思った。それはまるで初恋の相手とついにデートができると異常に興奮する高校生そのもの。
「ハァハァ……6時35分か……さすがにちょっと早いか」
やや離れたところから待ち合わせ場所に目をやる。そしてそこにはパソコンで見まくりな画像の女性と同じ姿がないとし、およそ25分という残り時間を大変な苦痛として待つ。
(あぁ、中野優子……中野優子……)
呪文のように何回ともなくくり返した。今の卓郎にとって時計の進行は悪い魔法がかかったかのごとく遅い。1分が5分に感じられるため、たったの1秒ですらジッとしていられない。
「6時50分……そ、そろそろ……行ってみようかな」
待ちきれない思いがあまりにも多いので、卓郎は早歩きでお目当ての場所の向かい側って通りに到着。そして見た、中野優子という女性の姿を。それは画像で見たその人そのものであり、卓郎にとってみればとっても小さな太陽の分身みたいに明るく見えた。
「お、おぉ……」
卓郎、思わずごくりとひとつ飲む、いや飲まずにはいられないかった。なんて素朴にかわいくステキなのだろう、なんてすごい豊満でやわらかそうな美爆乳の持ち主だろう、そしてなんとおっとりやさしそうなオーラを持っているのだろうなどなど、数えきれない雨粒みたいに恋の弾丸がぶつかってくる。
「よ、よし……」
心臓はバコバコはげしいド緊張ではあったが、信号が青になったのを利用することにした。次のチェンジで渡ろうなんてマイナステキな思考ではなく、いますぐわたってステキな女性に近づこうと足を動かし始めていた。
(中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子、中野優子……)
ぐるぐる呪文みたいに続けながら歩くと、早くたどり着きたい意識と緊張が核融合を起こす。ドーン! と鼻血が噴出しそうな心配が起ってしまうが、それでも卓郎は勇気を持って歩み続ける。
そしてついに目と鼻の距離ってくらいに近づいた。気になる人、中野優子は違う方向を向いていて自分を見てはいない。だから卓郎スーッと息を吸ってから声を出す。
「あ、あの……」
突然に声をかけられたので女性がクッと振り向く。あぁ、この至近距離で見ると……まるでピンクの小粒がエフェクトで撒かれるみたいだとか思いながら、卓郎は続けた。
「お、おれ……損擦岳卓郎……です。な、な、中野、中野優子さん……ですよね? よ、よろしくお願いします!」
言ったら自然に少し頭を下げていた。でもその方が卓郎にはよかった。緊張して両目が落ち着かないに加え、近い距離で見る優子の色白ふっくらな顔に呼吸を狭められ、あげくすごい美爆乳の持ち主って特徴にドギマギさせられる。だから両目が下に向くほんの一瞬が落ち着くためのリセットタイム。
「あ、あぁ……は、初めまして、中野優子です、よろしくお願いします」
優子もまたかなりテレているらしく、そのやわらかい微笑みの中には自分のドギマギをコントロールし損ねているような感がある。
「と、と、とりあえず……とりあえず、喫茶店に入りませんか?」
卓郎は言ってすぐ近くにある喫茶店、恋人たちのわだかまりに人差し指を向ける。しかしすぐ心の中で時間的にはどこぞへの食事に誘うべきだった! と焦ったりする。
「はい、行きましょう」
優子がニコっと笑うと、それはもう卓郎の心を包み込むマシュマロみたいなモノ。思わず両目がトロっとなりかける卓郎であった。
「よいしょっと……」
優子は白いテーブルをはさんでソファーに着席すると、クッと青色のジャケットを脱ぐ。するとピンク色Tシャツのふっくらなふくらみがフルっと揺れ動く。下にあって透けて見える白いフルカップブラとか谷間が ドキドキせざるを得ない卓郎の目から脳みそへ一直線爆弾と化す。
ウェイトレスがやってくる、そしてレモンティーとコーヒーを注文する。それがやって来るまではとってもぎこちなく、油切れっぽく会話もできない。しかし互いの注文がテーブルに置かれウェイトレスが立ち去ったら、卓郎はカップにミルクを落しながらつぶやく。
「あの、中野優子さん……」
「はい」
「ほ、ほんとうなんですか?」
「ほんとうって? 何がですか?」
「だ、だって……中野優子さんみたいなステキな感じの人だったら、すぐに彼氏とか出来そうな気がするし、その気になったらイケてる彼氏なんてすぐ手に入るように思うのに、こんな……さまよっている男なんかといっしょに過ごしたりするのは本当なのかなぁって」
必然的に卓郎の声はちょっと拗ねた感じになっていた。もしかすると、こんなステキな感じの女性とはうまくいくはずがないから、それなら最初から出て来ないでくれ! 的な感情が沸いたのかもしれない。
「あっと……その……」
対する優子、ここ一口飲み終えたのでカップを皿に戻す。そして色白な右手で頭をかきながら、顔を赤くし別にステキじゃないです……とこぼす。
「あっとその……言ってもいいですか?」
そう言った優子が赤い顔にほんのり苦悩を交えたりすると、それを正面に見てダメだ! などと言える男がいるはずもない。もちろん、言ってくださいと卓郎が言ったのはあまりに当たり前の返し。
「わたし……ちょっと前に心を入れ替えようと思ったんです。だからそれまでは心持ちの汚い女だったんです」
「え、な、中野優子さんが……ですか?」
「はい……けっこうゲスな爆乳女だったんです」
優子は色白な両手をロングスカートに覆われた両膝の上に置く。卓郎には見えないが両手をクッとにぎり、以前の自分は1g7000円くらいの24金に匹敵する女……とうぬぼれていたのですと心苦しそうにつぶやく。
「わたし、その、早くからおっぱいが大きい巨乳女子だったんです。小3になってすぐブラが始まって小4でCカップ、小6でEカップ、そして……今はバスト105cmのIカップとかです。しかも……やわらかい弾力いっぱいでカタチはきれいって美爆乳だからつい……自分は黄金の女とうぬぼれてしまって、だったらこっちは贅沢な要求を突きつける権利があると思ったんです。よって今まで散々バカみたいな高望みをしてきました」
優子はそう言うとここでグッと言葉を飲む。とてもつらそうな表情が印象的。もしかするときれいな涙がツーっと流れ出すかもしれない。
「で……どうなったかっていえば……売れません。今までずっと売れ残りをやってきました。コンビニで廃棄されるお弁当みたいになりつつあるって事です。ほんとうにダメなんです、だからわたし今まで一度もデートとかした事はないし、セックスの経験もない処女なんです」
優子の声と体がワナワナ震えだす。つらい告白を自ら進んでやったので、泣きだしそうな予感がとてつもなく現実味を帯びる。
「最低ですよね……こんな女……自分でも……ほんとうに……どうして……」
こらえきれない優子の目から涙が流れ落ちる。それは色白な頬をすべるように落ちていき、豊満なふくらみって部分にぽたりと落ちる。
「そ、そんな事ないです、そんな事ないですよ優子さん!」
「え?」
「お、おれ……優子さんみたいなすごい爆乳さんっていうか、グラマーさんって女性はすごく好きです」
思わず立ち上がっていた、そしてその言葉にありったけの熱を込めていた。だからハッと気がつくと周囲が自分たちに注目していると気づく。
「ご、ごめんなさい」
「い、いえ……」
卓郎はコーヒーをグッと飲んで気を落ち着かせてから、今の優子さんは心持ちがきれいだから、それでいいじゃないですか? と冷静な声でつぶやいた。
「そ、その……以前に問題があったとしても、それを自覚して心を入れ替えるとかいうのはすばらしいと思います。だって、今の優子さんからはただのステキな女性としか伝わってきませんから」
「そ、そんな……恥ずかしいですよ」
「お、お、おれと……もちろん最初は友だちとか借りでいいから、つきあって欲しいです、ダメですか?」
「わ、わたしとですか? いいんですか?」
以前の優子がどれほどだったかはわからないが、今の優子はちょっと自信がないらしい。こんな女でいいのかなぁと弱気になって引っ込んでしまいそうな気配すら感じる。
「優子さん」
スクっと立ち上がった卓郎、いったい何事かと思った次の瞬間に優子を驚かせる。なんと店の通路って床に正座したかと思えば、そのまま優子に向かって頭を下げたのだ。
「ちょ、ちょっと損擦岳さん……」
「お願いです、つき合ってください!」
卓郎はここが喫茶店とか周りにはたくさん他人がいることを忘れたわけではない。その上で実に男らしい行動に出ていた。
「優子さんみたいな女性はすごい好みです。そしていま現在の優子さんから伝わる謙虚でやさしい感じも……心から惹かれました。だからお願いします、チャンスをください、つき合ってくだし……お願いします!」
損擦岳卓郎の男らしい姿を周りの客はおしゃべりを止めて見守る。まったく人間の声がしない、控えめなボリュームのクラシック音楽しか聞こえない店内となっている。
「は、はい……わたしでよければ」
「あぁ……」
優子が言い卓郎が顔をあげる。そうして2人の目が合うと、一斉に店内から拍手と口笛が沸きあがる。それは損擦岳卓郎と中野優子ってカップルがこの世に誕生した瞬間であった。
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