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81・誰からも好かれたいとか思う哀れな男3
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81・誰からも好かれたいとか思う哀れな男3
「誰からも好かれたいってムリな話なのかな?」
良屋が切り出してみると、となりの伊吹は即座に反応した。グビグビっと缶ジュースを飲んでフッとやると同時に吐く。
「そんな話は面倒くせぇ」
誰からも好かれるって事に一切興味無しという伊吹の口調やらオーラに良屋はちょっと面食らった。だから食い下がってみる。
「なんで、みんなから愛された方が幸せって気がするけど、伊吹はちがうのか?」
「たとえば、理想にして深い愛情を得られるセックスは1対1と決まっている。一度に10人とやるようなセックスは不幸になるだけ。だから理想の相手は1人いればいい、残りの9人に愛されなくてもいい」
「いやいや、セックスはちょっと話が違うだろう……」
良屋はここでやや不安になった。もしかすると伊吹という年下の男が自分の話とかキモチを真剣に受け止めてくれないのではないか? と。それは不愉快だと思うから、スクっと立ち上がりいきなり話を自分の人生でもっとも重要って個所に持っていった。
「伊吹、このおれは誰からも好かれたいと思ってしまう、嫌われるのがイヤだと思ってしまう、怒られるのが怖いってビクビクしてしまう。なぜかわかるか? それは全部父親のせいだ。あいつが悪いんだ、あいつのせいでおれは子どもの頃から人生がおかしくなってしまって」
吐き出した、こうなるともう引っ込められない。父親に対して抱いている憎しみと、自分自身に対して持っている腹立たしさの両方が表情に現れてくる。
「父親がどうしたって?」
伊吹は特に動じる事もなく、あたらしい一本を口に咥えライターで火をつける。
そこで良屋は勢いに任せて不満を並べた。悪いのは父親のせい、自分が不幸になりつつあるのは父親のせい、何もかもあれもこれもすべて父親のせいであると100m走みたいなスピードで言い並べた。
「で、その先はどうする?」
ベンチに座ってタバコを吸いながら、立って熱弁する男を見つめて伊吹は言った。問題はそこから先であるとつぶやき足す。
「そ、そこから先って言われても……」
「父親に不満があるとかぶちまけても、それで終わったら何も変えられないと思うけどな」
「う……く……」
「だいたいあれだよ、みんなから好かれたいとか面倒くさい。友だち? そんなの親友が数人いればいいだろう。何百人の友だちなんてマジでうざいだけだ。で、後輩におごってやるのにバカにされるって? それも当然だよ、人は弱いやつがもらうモノには感謝しないようにできている」
「ちょ、ちょっと待て伊吹、それって厳しすぎるだろう。おれは親睦を深めたいとか思っておごってやったのに、それをバカにした後輩は無罪なのかよ、すべておれが悪いっていうのかよ?」
「そうだ、そのとおり」
「どうしてだ!」
「親睦を深めたいとか言っても、結局は媚を売りたいがためだろう。しかも消費者金融から借金した金でおごるとか滑稽を通り越してバカでしかない。仮に気の毒な人だから可哀想だと言っても、借金の返済は他人に押し付けられないんだぞ。全部てめぇでカタをつけなきゃいけない。おまえのそれはやった者勝ちって話ではなく、やったら自分で責任取れよって排泄行為でしかない」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ、ふざけんなぁ!」
良屋、空っぽになった缶をちょっと離れたところにあるごみ箱に放り投げた。しかしそれが中に入らず横に落ちたのを見ると、怒りのダッシュでごみ箱に飛び蹴りをかます。そしてゴミ箱をガンガン蹴りながら大声で叫ぶ。
「ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、なんで全部おれが悪いにされる。なんで被害者のおれがすべての元凶みたいにされるんだ。納得出来ない、納得出来ないぞ!」
その取り乱したサマはとても哀れだった。小学生の逆ギレがクラスメート全員から嫌われ、心の中で「おまえみたいなバカは死ねよ」と思われる空気を思い起させるようだった。
「伊吹……だったらおれの親父はどうなるんだ、あいつに責任はないのかよ、毎日朝から晩まで家の中におそろしい空気をまき散らし普通の会話すらままらなかったんだぞ。いくら仕事が塾の講師で家にいる時間が多くストレスがたまったとかしても、あんなおそろしい空気を子どもにぶつけてくる事はないだろう。それに怯えてうまくやっていこうって考えたのがいけない? そう考えたおれのせいなのか?」
「そうだ」
「なんでだ、なんでだ!」
「いまのおまえが答えそのものだろう。怒られたくないと怯えるから始まり、みんなから好かれたいと考えるようになり、それでいてウソが上手だから人の心を裏切り、でもさみしいから人に媚を売る。どうあれそれは自分で作った自分自身だろう?」
「そんな……そんな話って……」
「結局、どうあれまっすぐ前に進もうって考えられなかったからそうなった。父親だって年を取って弱くなるわけで、そうなれば無罪だよ。悪いのは全部自分で自分を成長させられなかった自分って事なんだよ」
「く……ぁあぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」
久しぶりに……良屋がマジにブチ切れ吠える。きれいな空に向かってドロドロの感情を叫び声に混じらせる。
「べつに大した問題じゃないだろう。みんなから好かれたいって考えを捨てればいい。そしてもし後輩たちと遊ぶとなれば、てめぇらの分を面倒見る趣味はないと言えばいい。そして消費者金融のカードには完済後にハサミを入れたらいい。そういう自分で出来た友人はたいせつに、友人になれない奴はそれでべつにいいと割り切れば気は楽になると思うけどな」
伊吹が言い終わると良屋の感情が一瞬だが素直な方に傾いた。そうだ、年下ながらも伊吹の言う通りだと思うことができた。これで今日からでも自分を変えることはできる! と前向きな思考が背中を押しそうになる。
が、しかし……いかんせん長いこと自分を支配していた負の物語、それをさっくり切ることはむずかしい。
「いや、やっぱりダメだ、納得できない……納得できないぞ伊吹。たとえおれ自身も悪かったとしても、やっぱり一番悪いのはクソ親父だ。ガマンできない、ガマンできないぞ!」
感情が一気にマイナス方面に傾いてしまった。大人になり損ねてしまった気の毒な怪物がそこにいるという感じにしか見えなくなる。
「よし、わかった」
ここで立ち上がった伊吹、タバコの吸い殻を地面に落とすとグッと両手をにぎる。そして両手首を合わせ全身に力を込めてから、両腕を勢いよくグワっと横に振る。するとその瞬間に世界が変わった。
「な、なんだ?」
突如として何もない白い空間が出現。いったい何事だと良屋が大いに戸惑うと、目の前に立った伊吹があるモノを渡す。
「か、刀?」
「そうだ」
言った伊吹、ふっと横を向いて指をさす。するとずーっと向こう側に背中を向けている2人の人間が立っているではないか。
「あれって……」
「そう、左側が気前良屋って自分自身で右側がその父親。どっちかをこの刀で斬り殺せばいい。もちろん殺したいなら両方でもいい」
「こ、殺すって……おまえ……」
「だいじょうぶだ、ここは気前良屋の精神世界だから、ここで殺しても現実の人間が死ぬわけではない。でも斬り殺すことで胸に痛みは生じる。その痛みこそ自分が成長するために必要なモノ」
「そ、そんな……いくらなんでも斬るなんて……」
「どうして? 父親が憎いのだろう? 自分が許せないとも思うのだろう? だったら斬り殺してすっきりすればいいじゃないか」
「し、しかし……って、おまえどこに行くんだよ」
「おれはここから抜ける。後は気前良屋の問題。片方もしくは両方を斬り殺せばここから出られる。でもそれをやらない限りはずーっとここから出られない」
「ちょ、待て、待て!」
伊吹は大慌てって相手に構うことなく現実世界に舞い戻る。そうしてベンチに座りうなだれ身動きしない気前良屋に向かってつぶやくのだった。
「自分の人生は自分で切り開くしかない。人のせいにしたところで始まらない。だからまぁ……がんばれ」
「誰からも好かれたいってムリな話なのかな?」
良屋が切り出してみると、となりの伊吹は即座に反応した。グビグビっと缶ジュースを飲んでフッとやると同時に吐く。
「そんな話は面倒くせぇ」
誰からも好かれるって事に一切興味無しという伊吹の口調やらオーラに良屋はちょっと面食らった。だから食い下がってみる。
「なんで、みんなから愛された方が幸せって気がするけど、伊吹はちがうのか?」
「たとえば、理想にして深い愛情を得られるセックスは1対1と決まっている。一度に10人とやるようなセックスは不幸になるだけ。だから理想の相手は1人いればいい、残りの9人に愛されなくてもいい」
「いやいや、セックスはちょっと話が違うだろう……」
良屋はここでやや不安になった。もしかすると伊吹という年下の男が自分の話とかキモチを真剣に受け止めてくれないのではないか? と。それは不愉快だと思うから、スクっと立ち上がりいきなり話を自分の人生でもっとも重要って個所に持っていった。
「伊吹、このおれは誰からも好かれたいと思ってしまう、嫌われるのがイヤだと思ってしまう、怒られるのが怖いってビクビクしてしまう。なぜかわかるか? それは全部父親のせいだ。あいつが悪いんだ、あいつのせいでおれは子どもの頃から人生がおかしくなってしまって」
吐き出した、こうなるともう引っ込められない。父親に対して抱いている憎しみと、自分自身に対して持っている腹立たしさの両方が表情に現れてくる。
「父親がどうしたって?」
伊吹は特に動じる事もなく、あたらしい一本を口に咥えライターで火をつける。
そこで良屋は勢いに任せて不満を並べた。悪いのは父親のせい、自分が不幸になりつつあるのは父親のせい、何もかもあれもこれもすべて父親のせいであると100m走みたいなスピードで言い並べた。
「で、その先はどうする?」
ベンチに座ってタバコを吸いながら、立って熱弁する男を見つめて伊吹は言った。問題はそこから先であるとつぶやき足す。
「そ、そこから先って言われても……」
「父親に不満があるとかぶちまけても、それで終わったら何も変えられないと思うけどな」
「う……く……」
「だいたいあれだよ、みんなから好かれたいとか面倒くさい。友だち? そんなの親友が数人いればいいだろう。何百人の友だちなんてマジでうざいだけだ。で、後輩におごってやるのにバカにされるって? それも当然だよ、人は弱いやつがもらうモノには感謝しないようにできている」
「ちょ、ちょっと待て伊吹、それって厳しすぎるだろう。おれは親睦を深めたいとか思っておごってやったのに、それをバカにした後輩は無罪なのかよ、すべておれが悪いっていうのかよ?」
「そうだ、そのとおり」
「どうしてだ!」
「親睦を深めたいとか言っても、結局は媚を売りたいがためだろう。しかも消費者金融から借金した金でおごるとか滑稽を通り越してバカでしかない。仮に気の毒な人だから可哀想だと言っても、借金の返済は他人に押し付けられないんだぞ。全部てめぇでカタをつけなきゃいけない。おまえのそれはやった者勝ちって話ではなく、やったら自分で責任取れよって排泄行為でしかない」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ、ふざけんなぁ!」
良屋、空っぽになった缶をちょっと離れたところにあるごみ箱に放り投げた。しかしそれが中に入らず横に落ちたのを見ると、怒りのダッシュでごみ箱に飛び蹴りをかます。そしてゴミ箱をガンガン蹴りながら大声で叫ぶ。
「ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな、なんで全部おれが悪いにされる。なんで被害者のおれがすべての元凶みたいにされるんだ。納得出来ない、納得出来ないぞ!」
その取り乱したサマはとても哀れだった。小学生の逆ギレがクラスメート全員から嫌われ、心の中で「おまえみたいなバカは死ねよ」と思われる空気を思い起させるようだった。
「伊吹……だったらおれの親父はどうなるんだ、あいつに責任はないのかよ、毎日朝から晩まで家の中におそろしい空気をまき散らし普通の会話すらままらなかったんだぞ。いくら仕事が塾の講師で家にいる時間が多くストレスがたまったとかしても、あんなおそろしい空気を子どもにぶつけてくる事はないだろう。それに怯えてうまくやっていこうって考えたのがいけない? そう考えたおれのせいなのか?」
「そうだ」
「なんでだ、なんでだ!」
「いまのおまえが答えそのものだろう。怒られたくないと怯えるから始まり、みんなから好かれたいと考えるようになり、それでいてウソが上手だから人の心を裏切り、でもさみしいから人に媚を売る。どうあれそれは自分で作った自分自身だろう?」
「そんな……そんな話って……」
「結局、どうあれまっすぐ前に進もうって考えられなかったからそうなった。父親だって年を取って弱くなるわけで、そうなれば無罪だよ。悪いのは全部自分で自分を成長させられなかった自分って事なんだよ」
「く……ぁあぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」
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伊吹が言い終わると良屋の感情が一瞬だが素直な方に傾いた。そうだ、年下ながらも伊吹の言う通りだと思うことができた。これで今日からでも自分を変えることはできる! と前向きな思考が背中を押しそうになる。
が、しかし……いかんせん長いこと自分を支配していた負の物語、それをさっくり切ることはむずかしい。
「いや、やっぱりダメだ、納得できない……納得できないぞ伊吹。たとえおれ自身も悪かったとしても、やっぱり一番悪いのはクソ親父だ。ガマンできない、ガマンできないぞ!」
感情が一気にマイナス方面に傾いてしまった。大人になり損ねてしまった気の毒な怪物がそこにいるという感じにしか見えなくなる。
「よし、わかった」
ここで立ち上がった伊吹、タバコの吸い殻を地面に落とすとグッと両手をにぎる。そして両手首を合わせ全身に力を込めてから、両腕を勢いよくグワっと横に振る。するとその瞬間に世界が変わった。
「な、なんだ?」
突如として何もない白い空間が出現。いったい何事だと良屋が大いに戸惑うと、目の前に立った伊吹があるモノを渡す。
「か、刀?」
「そうだ」
言った伊吹、ふっと横を向いて指をさす。するとずーっと向こう側に背中を向けている2人の人間が立っているではないか。
「あれって……」
「そう、左側が気前良屋って自分自身で右側がその父親。どっちかをこの刀で斬り殺せばいい。もちろん殺したいなら両方でもいい」
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「そ、そんな……いくらなんでも斬るなんて……」
「どうして? 父親が憎いのだろう? 自分が許せないとも思うのだろう? だったら斬り殺してすっきりすればいいじゃないか」
「し、しかし……って、おまえどこに行くんだよ」
「おれはここから抜ける。後は気前良屋の問題。片方もしくは両方を斬り殺せばここから出られる。でもそれをやらない限りはずーっとここから出られない」
「ちょ、待て、待て!」
伊吹は大慌てって相手に構うことなく現実世界に舞い戻る。そうしてベンチに座りうなだれ身動きしない気前良屋に向かってつぶやくのだった。
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