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82・伊吹と親父の再会
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82・伊吹と親父の再会
午前11時、目覚めにぎやかモードに入りつつある繁華街のアーケード商店街を、かなり目立つ集団が歩いていた。
「おぉ、そうかそうか」
中央に立つのはサングラスをかけた男、年齢は40代の後半くらい。サングラスをかけているとはいえ、周囲に相当数の女をはべらせており、女にデレデレする事が生きがいという感を恥ずかし気もなくまき散らすゆえ、下品なクソ野郎と周囲の人間をつめたい目を向ける。
その男がふと突然に立ち止まった。ずーっと前方、つまり向こう側から歩いてくる一人の若い男に目をやって動きを停止。なに? どうしたの? と女の一人が言うと、シッ! っと黙るよう促す。
(あれは……)
何やら内側でモワモワ興奮する中年男、若い男が右側を通り過ぎようとしたところですかさず声をかけた。
「伊吹!」
それはかなり大きな声だった。そして放った名前がぴったり合っていたのだろう、若い男の足取りを止めて振り返らせる事に成功。
「伊吹! やっぱりおまえ伊吹だ!」
男は女達そっちのけでずっと年下であろう男に歩み寄りグッと手をつかむ。むろんそれを若い方は戸惑いイヤがる。
「な、なんだ……なんだよ……」
男同士でとろける趣味はない! と若い男こと伊吹が言うと、中年男は嬉しそうに楽しそうに笑いながらサングラスを外した。するとどうだ、伊吹の脳にビリビリっとすごい電流が走る。
「あぅ……お、お、親父?」
そう、それはたしかに伊吹の父親だった。その名は家満登響という。つまりまったく予期せぬ親子再会という事だった。
「伊吹、おぉ、久しぶりだなぁおい!」
露骨に喜ぶ姿というのは親子というモノの良さであろうと思われた。しかし伊吹にしてみれば、えらく不思議なアクションだなぁと思わずにいられない。だから父に向って言わざるを得ない。
「親父……おれが死んだって事……知らないのか?」
「バカか、知っているに決まっているだろう。女にブッ刺されて公園で死んだなんて家満登の家系でおまえだけだ。しかもおまえ葬式も火葬やったんだぞ、知らないわけあるか」
「火葬……あ、そうか……」
伊吹は一度死んでよみがえっているが、どうやら体というのはまったく同じのコピーだったようだ。なぜなら地獄裁判をやっている間に、地上では一通りの儀式が進行していたという事だから。
「で、でもよぉ親父……だったらなぜおどろかない? おれ死んだんだぞ? ふつうはビックリするのが筋じゃないのか?」
息子が言うと父はガハハハと大物っぽい笑いを浮かべ、相手の肩を叩き余裕を持ってこんな風に返すのだった。
「まったく何を言っているんだ伊吹、今の時代は何があっても不思議じゃねぇよ。おそらくおまえは何かしら理由があって甦っているのだろう? それってよくある話だ。そんな事でおどろいていたら21世紀は生きられない、ちがうか?」
なんというか……父は完全に別人だった。伊吹の記憶にある父というのは、それこそマジメで冗談が通じにくく、ホストになりたいといった息子に腹立たしいって言いた気な目線を向ける人だった。それがどうだ、今やすべてが逆になったようなキャラではないか。
「まぁ、立ち話もなんだ、あそこの喫茶店で話をしよう」
父こと響はそういうとすぐそこにある喫茶店に入った。だがハーレムの代名詞である相当数の女は店の外で待たせるとする。
「で、あれ……つまりあの女たちはいったいなんだよ」
テーブルをはさんで着席し、注文したコーヒーがそろった所でさっそく伊吹が父に質問をなげかけた。
「なにって見ればわかるだろう、全員おれのハニーだよ」
響はいっさいの恥じらいも罪悪感もなく言い放った。
「は、ハニー? ハニーって恋人か? あんなにたくさん?」
伊吹がおどろくと父は勝ち誇ったような顔で両腕を組む。
「おうよ、あれみんなおれの女だ。どうだ、今やおれの方が伊吹よりモテるって話だ。どうだ、おれの勝ちだろう、まいったか!」
「いや、誰も競ってねぇよ……」
あきれる息子に対して離れた父の説明はこうだった。伊吹が死ぬ前、〇〇商社に勤めていた仕事の都合で少しばかりアメリカに行くこととなった。そこで宝くじを買ったら見事に当たったのだという。
「いくら当たったんだよ」
「聞いて驚け、ざっと500億円だ」
「ご、500億?」
「おうよ、だからおれ大金持ちよ。どんな女も札束ビンタで思いのまま。つまりこのおれは女の温もりと食い物と住まいと高級車には不自由しないってわけだ」
豪快に笑う父とは対照的に、息子はまったく信じられない話だと頭がついていけない。しかし聞かずにはいられないなって事を口にした。
「で、母は? 母はどうしてるんだよ?」
「あ、母さんとは離婚した。もちろん円満離婚だ」
「り、離婚?」
「500億円を2人で割って250億円。これだけの金があって夫婦生活とかバカらしいだろう。お互い好きなように生きようって話し合って決めたよ」
「そ、そうか……」
「なんだ、おれらが離婚してさみしいのか?」
「ま、まぁ……急に離婚したと聞かされたら少しは」
「でも伊吹よ、おれも母さんもおまえが23歳で死ぬまではちゃんと責任を果たした。親としての育児も社会人としての仕事もすべてやった。いいだろう、残りの人生を好きに生きたってさ」
「ま、まぁ……な」
「いやぁ、それにしてもよぉ伊吹、女に包まれる快感っていいものだよなぁ。年下の女の温もりって最高だよなぁ、マジで若返るよなぁ。そういう女と3Pとかやったらクッソ蕩けるって話だよなぁ」
そんなことを口にする響は男らしく素直によろこびニヤニヤって顔つきをまったく隠さない。
「父親が息子にそんな話をするのかよ……」
「なにを言っているんだ伊吹、おまえはもう23歳、おれはもう49歳。お互いにもう大人だ。大人になってまで男同士の話ができないのは問題だ。ちがうか? おれの言っている事まちがっているか?」
父はもう完全に記憶とはべつの人間になっていた。それは金のせいなのか? 有り余る金を手に入れたから、だからそんな風に狂ったのか? と息子は思った。しかしその思いを察しったのか、父はタバコを咥えながら金のせいじゃないとか言い出す。
「たしかに金があるから女をモノにできる。人間の行動力は金に左右されるってところもある。しかしな伊吹、それとは別の話としておれはずっと昔からおまえに嫉妬していたんだよ、それが原動力として大きいんだよ」
「嫉妬? 親父がおれの何に嫉妬していたっていうんだ?」
「決まってるだろう、息子のおまえばっかり女にモテてうらやましいぞ、ゆるせないぞこの野郎! って嫉妬だ」
「え……嫉妬していたのか?」
「あれはいつだったかなぁ……そう、たしかお前が中1の時だ。部屋の中で彼女とセックスしてギシギシアンアンいわせまくっていた。それを聞いておれは思ったものだよ、ちくしょう! 息子が女とやりまくれるのに、どうして父親のおれは非モテなんだ! ってな」
「そんな風に思っていたのか……」
「おうよ、だからおまえがホストになるとか言い出した時も、表向きは世間一般の親らしく反対したが……実は嫉妬していたんだ。こいつならモテるからホストになっても成功するだろう、この父親を出し抜いて成功するだろう、そんな事があってもいいのか、いいわけないだろう! という感じでな」
それはあまりに意外な話だった。もし伊吹が死ななかったら出てこなかった話であろうし、表面上からは想像すらできなかっただろう。
「でもな伊吹、今はもう嫉妬していない。なんせいまのおれはたくさんの金がある。もう女には不自由しない。おれはこれまでに100人くらいの女とやっているが、まだおまえに負けているだろうが、いずれおまえを追い越す。だから腹を立てる理由なんかない、やっと……おれの心にも余裕ができたんだよ」
「そ、そうか……」
あまりにも奇妙なフィーリングに満ちた親子の会話であった。しかし父の見えなかったほんとうの姿を見た事はショックでもありうれしさでもあると伊吹は思った。
「で、母は今どこに住んでいるんだ?」
コーヒーを飲み終えた伊吹、立ち上がった時に忘れず質問しておく。
「わからないな、お互いもう自由であり干渉しない。生きていればまたどこかで会えるだろうって考えに基づいているんだ。だいじょうぶだ、母さんも金に不自由はしない人になったのだから」
「そうか……」
こういう展開なったなら、せっかくなら母にも会いたいと思う伊吹だったが、とりあえずこの場はこれでお終いとなるようだった。父は店の外に待たせていた女たちに囲まれると、デヘヘとニヤニヤし、おたのしみはこれからだとか言ったりしている。それは世間一般的にはクズな男って姿かもしれないが、人生をたのしく生きている者という観点でいえばとても神々しいと勝者とも言える。
「じゃぁな伊吹、見かけたら遠慮なく声をかけてくれよ」
父は女たちに囲まれながら息子に手を降る。それを見た伊吹、左手の人差し指と中指の2本を立て相手に見せて言った。
「あ、親父、2つだけ。ひとつ、金に飲まれるなよ。で、もうひとつ……くれぐれも体はたいせつにな」
そう言われたら、たとえ女に囲まれゲスモードをやっている最中でも、息子に気遣われたのがちょっとうれしいって顔を響は浮かべた。そしてじゃぁな! と右手を上げてから、また女のニオイをたっぷり嗅ぎながらどこぞに向かって去っていく。
「すげぇ……あれが親父のほんとうの姿だったのか……でもまぁ、どうせなら前向きにとてもおもしろい話だと思うようにするか」
歩き出した伊吹、この調子だと母はどうなっているんだ? と思い、会ってみたいような会いたくないようなと複雑なキブンになる。そして頭をかきながら小声でつぶやき落とす。
「ま、いいか……元気でたのしく暮らしてくれるなら」
午前11時、目覚めにぎやかモードに入りつつある繁華街のアーケード商店街を、かなり目立つ集団が歩いていた。
「おぉ、そうかそうか」
中央に立つのはサングラスをかけた男、年齢は40代の後半くらい。サングラスをかけているとはいえ、周囲に相当数の女をはべらせており、女にデレデレする事が生きがいという感を恥ずかし気もなくまき散らすゆえ、下品なクソ野郎と周囲の人間をつめたい目を向ける。
その男がふと突然に立ち止まった。ずーっと前方、つまり向こう側から歩いてくる一人の若い男に目をやって動きを停止。なに? どうしたの? と女の一人が言うと、シッ! っと黙るよう促す。
(あれは……)
何やら内側でモワモワ興奮する中年男、若い男が右側を通り過ぎようとしたところですかさず声をかけた。
「伊吹!」
それはかなり大きな声だった。そして放った名前がぴったり合っていたのだろう、若い男の足取りを止めて振り返らせる事に成功。
「伊吹! やっぱりおまえ伊吹だ!」
男は女達そっちのけでずっと年下であろう男に歩み寄りグッと手をつかむ。むろんそれを若い方は戸惑いイヤがる。
「な、なんだ……なんだよ……」
男同士でとろける趣味はない! と若い男こと伊吹が言うと、中年男は嬉しそうに楽しそうに笑いながらサングラスを外した。するとどうだ、伊吹の脳にビリビリっとすごい電流が走る。
「あぅ……お、お、親父?」
そう、それはたしかに伊吹の父親だった。その名は家満登響という。つまりまったく予期せぬ親子再会という事だった。
「伊吹、おぉ、久しぶりだなぁおい!」
露骨に喜ぶ姿というのは親子というモノの良さであろうと思われた。しかし伊吹にしてみれば、えらく不思議なアクションだなぁと思わずにいられない。だから父に向って言わざるを得ない。
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「バカか、知っているに決まっているだろう。女にブッ刺されて公園で死んだなんて家満登の家系でおまえだけだ。しかもおまえ葬式も火葬やったんだぞ、知らないわけあるか」
「火葬……あ、そうか……」
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「で、でもよぉ親父……だったらなぜおどろかない? おれ死んだんだぞ? ふつうはビックリするのが筋じゃないのか?」
息子が言うと父はガハハハと大物っぽい笑いを浮かべ、相手の肩を叩き余裕を持ってこんな風に返すのだった。
「まったく何を言っているんだ伊吹、今の時代は何があっても不思議じゃねぇよ。おそらくおまえは何かしら理由があって甦っているのだろう? それってよくある話だ。そんな事でおどろいていたら21世紀は生きられない、ちがうか?」
なんというか……父は完全に別人だった。伊吹の記憶にある父というのは、それこそマジメで冗談が通じにくく、ホストになりたいといった息子に腹立たしいって言いた気な目線を向ける人だった。それがどうだ、今やすべてが逆になったようなキャラではないか。
「まぁ、立ち話もなんだ、あそこの喫茶店で話をしよう」
父こと響はそういうとすぐそこにある喫茶店に入った。だがハーレムの代名詞である相当数の女は店の外で待たせるとする。
「で、あれ……つまりあの女たちはいったいなんだよ」
テーブルをはさんで着席し、注文したコーヒーがそろった所でさっそく伊吹が父に質問をなげかけた。
「なにって見ればわかるだろう、全員おれのハニーだよ」
響はいっさいの恥じらいも罪悪感もなく言い放った。
「は、ハニー? ハニーって恋人か? あんなにたくさん?」
伊吹がおどろくと父は勝ち誇ったような顔で両腕を組む。
「おうよ、あれみんなおれの女だ。どうだ、今やおれの方が伊吹よりモテるって話だ。どうだ、おれの勝ちだろう、まいったか!」
「いや、誰も競ってねぇよ……」
あきれる息子に対して離れた父の説明はこうだった。伊吹が死ぬ前、〇〇商社に勤めていた仕事の都合で少しばかりアメリカに行くこととなった。そこで宝くじを買ったら見事に当たったのだという。
「いくら当たったんだよ」
「聞いて驚け、ざっと500億円だ」
「ご、500億?」
「おうよ、だからおれ大金持ちよ。どんな女も札束ビンタで思いのまま。つまりこのおれは女の温もりと食い物と住まいと高級車には不自由しないってわけだ」
豪快に笑う父とは対照的に、息子はまったく信じられない話だと頭がついていけない。しかし聞かずにはいられないなって事を口にした。
「で、母は? 母はどうしてるんだよ?」
「あ、母さんとは離婚した。もちろん円満離婚だ」
「り、離婚?」
「500億円を2人で割って250億円。これだけの金があって夫婦生活とかバカらしいだろう。お互い好きなように生きようって話し合って決めたよ」
「そ、そうか……」
「なんだ、おれらが離婚してさみしいのか?」
「ま、まぁ……急に離婚したと聞かされたら少しは」
「でも伊吹よ、おれも母さんもおまえが23歳で死ぬまではちゃんと責任を果たした。親としての育児も社会人としての仕事もすべてやった。いいだろう、残りの人生を好きに生きたってさ」
「ま、まぁ……な」
「いやぁ、それにしてもよぉ伊吹、女に包まれる快感っていいものだよなぁ。年下の女の温もりって最高だよなぁ、マジで若返るよなぁ。そういう女と3Pとかやったらクッソ蕩けるって話だよなぁ」
そんなことを口にする響は男らしく素直によろこびニヤニヤって顔つきをまったく隠さない。
「父親が息子にそんな話をするのかよ……」
「なにを言っているんだ伊吹、おまえはもう23歳、おれはもう49歳。お互いにもう大人だ。大人になってまで男同士の話ができないのは問題だ。ちがうか? おれの言っている事まちがっているか?」
父はもう完全に記憶とはべつの人間になっていた。それは金のせいなのか? 有り余る金を手に入れたから、だからそんな風に狂ったのか? と息子は思った。しかしその思いを察しったのか、父はタバコを咥えながら金のせいじゃないとか言い出す。
「たしかに金があるから女をモノにできる。人間の行動力は金に左右されるってところもある。しかしな伊吹、それとは別の話としておれはずっと昔からおまえに嫉妬していたんだよ、それが原動力として大きいんだよ」
「嫉妬? 親父がおれの何に嫉妬していたっていうんだ?」
「決まってるだろう、息子のおまえばっかり女にモテてうらやましいぞ、ゆるせないぞこの野郎! って嫉妬だ」
「え……嫉妬していたのか?」
「あれはいつだったかなぁ……そう、たしかお前が中1の時だ。部屋の中で彼女とセックスしてギシギシアンアンいわせまくっていた。それを聞いておれは思ったものだよ、ちくしょう! 息子が女とやりまくれるのに、どうして父親のおれは非モテなんだ! ってな」
「そんな風に思っていたのか……」
「おうよ、だからおまえがホストになるとか言い出した時も、表向きは世間一般の親らしく反対したが……実は嫉妬していたんだ。こいつならモテるからホストになっても成功するだろう、この父親を出し抜いて成功するだろう、そんな事があってもいいのか、いいわけないだろう! という感じでな」
それはあまりに意外な話だった。もし伊吹が死ななかったら出てこなかった話であろうし、表面上からは想像すらできなかっただろう。
「でもな伊吹、今はもう嫉妬していない。なんせいまのおれはたくさんの金がある。もう女には不自由しない。おれはこれまでに100人くらいの女とやっているが、まだおまえに負けているだろうが、いずれおまえを追い越す。だから腹を立てる理由なんかない、やっと……おれの心にも余裕ができたんだよ」
「そ、そうか……」
あまりにも奇妙なフィーリングに満ちた親子の会話であった。しかし父の見えなかったほんとうの姿を見た事はショックでもありうれしさでもあると伊吹は思った。
「で、母は今どこに住んでいるんだ?」
コーヒーを飲み終えた伊吹、立ち上がった時に忘れず質問しておく。
「わからないな、お互いもう自由であり干渉しない。生きていればまたどこかで会えるだろうって考えに基づいているんだ。だいじょうぶだ、母さんも金に不自由はしない人になったのだから」
「そうか……」
こういう展開なったなら、せっかくなら母にも会いたいと思う伊吹だったが、とりあえずこの場はこれでお終いとなるようだった。父は店の外に待たせていた女たちに囲まれると、デヘヘとニヤニヤし、おたのしみはこれからだとか言ったりしている。それは世間一般的にはクズな男って姿かもしれないが、人生をたのしく生きている者という観点でいえばとても神々しいと勝者とも言える。
「じゃぁな伊吹、見かけたら遠慮なく声をかけてくれよ」
父は女たちに囲まれながら息子に手を降る。それを見た伊吹、左手の人差し指と中指の2本を立て相手に見せて言った。
「あ、親父、2つだけ。ひとつ、金に飲まれるなよ。で、もうひとつ……くれぐれも体はたいせつにな」
そう言われたら、たとえ女に囲まれゲスモードをやっている最中でも、息子に気遣われたのがちょっとうれしいって顔を響は浮かべた。そしてじゃぁな! と右手を上げてから、また女のニオイをたっぷり嗅ぎながらどこぞに向かって去っていく。
「すげぇ……あれが親父のほんとうの姿だったのか……でもまぁ、どうせなら前向きにとてもおもしろい話だと思うようにするか」
歩き出した伊吹、この調子だと母はどうなっているんだ? と思い、会ってみたいような会いたくないようなと複雑なキブンになる。そして頭をかきながら小声でつぶやき落とす。
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