息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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114・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹12

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114・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹12


「先手必勝!」

 息吹少年がダッシュ開始!

「かわいい少年、カムヒア~」

 クイクイっと左手の指を動かし招くサキュバス。

「うあぁぁぁぁぁぁ」

 シュっと流れる勢いで空中に舞った息吹、そのまま刀を相手に向かって振り下ろす。そのスピードと動作はあまりにも華麗であり、勝負は一瞬でついたと思われた。が、しかし……実際はちがった。

 ガッキーン! と音が立つ。空中から刀を振り下ろしていた息吹がググっと力を入れたまま固まる。なぜならサキュバスが手の甲を上に差し出し、ナックルで受け止めているせいだ。

「ぅ……く……」

 固い、ナックルが異常に固い、そんな衝撃が息吹の腕にビリビリ伝わる。だからして刀はそれを割る事ができない。すると女はニヤっとして説明。

「ムリムリ、これはかんたんには割れないって。なぜならこのナックルはドエロスチールで固められているからね。つまりダイヤモンドよりもロンズデーライトよりも固い、すなわち宇宙で一番固いんだよ」

 言い終えたサキュバス、危険な右手をグッと握って右ストレートを放とうとする。だがそれより先に、息吹の体が宙に舞いグッと後方回転して着地。

「やだ、ステキ。12歳くらいの少年のそういうかわいいと格好いいが混じった姿ってめっちゃ好き! ねぇ、息吹……男女で戦うとか不毛な事は止めて建設的に愛し合わない? 息吹だったらコンドーム無しでもいいよ、何回でも受け止めてあげるよ?」

 うっふん! ってエロ猫のように微笑むサキュバス望。

「ケッ! このおれは男として自分のたましいを燃やすのみ!」

 息吹が刀身を横に向けるというカタチで身構えた。

「バカだねぇ、男の子っていうのは」

 言ったサキュバスがダッシュ開始! その見た目に反してスピードは風のように速い。そしてホレボレさせられるような快速で息吹の間合いに入ると、グッと右手を握って叫んだ。

「ナッツストレート!」

 声が発せられると同時に空気がうねった。それは息吹に向かって凶悪な右ストレートが放たれた瞬間であり、それを横に向けた刀身で受けようって息吹の姿を見たとき、サキュバスは内心思った。

(あ、息吹は死んだ)

 しかし! ここで先ほどとはちょい聞こえはちがうが、表現するならやはりガッキーン! って音が鳴り立つ。

「な、なにぃ……」

 右腕を伸ばしたままサキュバス望が表情を険しくした。みっともなく砕け散ると思った刀が信じがたい固さでナックルの一撃に耐えている。

「エナジー門前(めんぜん)」

 息吹、相手の右ストレートを刀で受けた事をそう表現した。それは息吹のエネルギーを刀身に注ぎ込み、短い間とはいえ最強クラスの固さをつくる。それはいま宇宙で一番固いドエロスチールを超えたのだ。もっとも結構なエネルギーを消耗するらしく、少年の顔には少し汗が浮かんでいる。

「これはこれは、ステキだわぁ息吹少年って男の子は……こうなるとセックスしたいを通り越してSMしたいとか言いたくなりそう」

 ワクワクしちゃう! とか言うような表情のサキュバス望、ここで突然に空手の構えを取る。

「息吹少年、わたしマジできみとセックスがしたいからさぁ、死なないでよ? ま、死んでからどうのってダークな話もあるにはあるけどさ」

 言い終えたらすぐさまサキュバスの攻撃が突っ込まれてきた。速い、速い、その連撃は呼吸するより速く次の手を何発も繰り出す。

「ぅ……く」

 避ける、そして刀で受ける、だがあまりにも相手が速く、しかもどんどん速くなってマッハの領域になると、それに合わせる息吹の顔から出る汗の量が増える。

―ブン!-

 パンチが来ると音が鳴る。だがとっても危険なナックル付きなので、万が一顔面に食らったら血だらけ必至。

「あぅぐ……」

 すさまじい蹴りを回避できなかった息吹の肩に当たる。そうやっていると次第に息吹が消耗していく。いかんせん刀をがっちり固める必要があるため、それにもエナジーを注いでいる。よってサキュバス望より息吹の方が消耗しやすいのである。

「息吹、ほらほら、もっと速く踊ろう。遅くてもいいのはセックスで愛し合う時間だけ。それ以外は速く踊らないとね。だからほら、遅いとこうなっちゃう」

 ドン! と鈍い音がした。それはサキュバスの蹴りが一発息吹の胴体に入ったからだ。それはそれは分厚くて凶悪な衝撃だったから、息吹は思わず後ろに倒れ滑っていく。

「く……負けるか!」

 息吹、一度刀から手を離すと、両手をつけグッと反動で跳ね起きる。そうしてすぐ刀を手に取り身構える。それもまたなかなか絵になるよい動きではあったが、突然体にビキっと痛みが走って青ざめる。

「ぅ……」

 思わず青ざめた顔を下に向けた息吹、片手で口を拭い血が出ていると確認。一発食らっただけなんて言い方が酷なほど重たかった。

「息吹少年、こんな痛ましい事は止めて愛し合おうよ。男は女に甘え、女はそれをやさしく包んで同じ瞬間を見つめる方がいいんだって。こんな流血を誘うみたいな戦いはやるべきじゃないんだよ」

 しかし息吹は再度構え直す。そして唇を軽く噛んでからプライドからのセリフを吐く。

「ふざけんな、男がプライドを捨てて悪い女に甘えたりとか、そんなダサいことができるもんか。おれは自分のプライドと、あのかすみという彼女を守るために戦うんだ」

「あ、そう。だったらムダな努力とかしてみれば」

「ムダかどうか、やる前から決めたりはしない!」

「居合ですか? どうぞ、どうぞ、いらっしゃいな、かわいい息吹少年」

 余裕ぶっかましなサキュバスは脱ぎ捨てていたピンク色のパーカーを纏う。そしてジッパーをグッと上げて締めると、早くしてくれない? と、一瞬のタイミングに賭けようとする息吹を挑発。

(今だ!)

 息吹が動いた。風速を超え、マッハに達し、1を超え2を超え3に到達か! という勢いですぐさま相手の間合いに入り込む。そのスピードは確かに衝撃的であり、サキュバス望がおどろきの顔で身固まりするに至る。

「うぁぁぁぁぁ流し満貫!」

 息吹の刀が水平にスピードを持ってサキュバスの腹に向かう。それは息吹がこの勝負にビクトリーした瞬間……と思われた。息吹は自分の勝利を確信し、相手の胴体が宙を舞うと思った。

 ガキン! また……いや、先よりずっと衝撃度を増した感じでこの音が鳴った。そして息吹の刀が服に斬り込めない。

「な、なに?」

「ふんふん、残念でした。伊吹のアイデアはナイスだけど、わたしの方が優れていたって事だよ。このパーカーは一見ふつうで手触りもふつうにしてあるけど、実はドエロスチールで固められたモノ。で、息吹がさっきやったみたいにエナジー注入をやっているから斬れないの、ごめんね期待感を持たせて。でもほら、固い防御服をまとっていたらさ、わたしの魅力的な爆乳ってアイテムの価値が台無しでしょう? だから仕方ないんだよ」

 なんという事……と息吹は思ったが、その瞬間が命取り。グワっと腕を払われた勢いで刀が手から離れた。しかもその刀を相手に取られてしまったりするから最悪。

「う……く……」

「息吹少年、まだわたしと戦うかな? それとも甘い時間に入る? 後者を選ぶなら好きなだけこの胸に甘えさせてあげるけど?」

 うふっとかわいく笑うサキュバスを見たとき、なんかヤバい気がすると思わずにいられない息吹だった。
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