154 / 223
154・コロッセオでの戦い4(フェスティバル・オブ・バトル)
しおりを挟む
154・コロッセオでの戦い4(フェスティバル・オブ・バトル)
「で、今度はおれか」
グラディアートルと入れ替わって外に出た息吹、興奮冷めやらぬ数万の観客に見つめられながらフィールドの中央に立つ。
「バーバリライオン……おそろしいもんだ」
背中より刀を抜いた息吹、猛獣とのバトルに身構える。そして空間すべてを制圧するようなうなり声を耳にしたら、先ほどと同じバーバリライオンが出てくるのだと思った。しかしその予想はまちがっていた。
「え……ト、トラ?」
ゾクっと青白い鳥肌が背中に走る。登場したのは神々しい黄色に黒線にほどよく白が混じったビッグキャット、その中でもとりわけ大きいと名高いアムールトラ。二本足で立てば2m以上はある。
「ぅ……」
すさまじい威圧感がトラから流れ伝わってくる。その殺気は信じられないほどデカい。無限の闇に引っ張り込まれ極限まで縮められてしまいそう。
「飲まれるわけにはいかない!」
気合を入れ直した息吹、心臓を冷や水をかけるような目を浮かべるトラと見つめ合う。
―ガルルルゥー
ゆっくり距離を縮めてくるトラ。自ら前に出るか? と一瞬思ったが、息吹はあえてゆっくり下がる。
(一発勝負)
息吹が思った次の瞬間、トラが攻撃に出た。信じられないほど大きく太く、さらに言えば極悪な爪を持った前足を動かす。もしそれを顔面に食らったら、脳みそまで貫通してお陀仏確定。
(今だ!)
シュ! っと空中に舞い上がる息吹、そのまま刀をにぎりトラが振り返るより先に首へと向かっていき振り下ろす。
「斬!」
刀が入ったと手応えあり……しかし首が太いというか固い。
「ヤバ……」
このまま斬り通さないと立場が逆転してしまう。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
息吹の体がボッと青白く燃える。そうして熱と力を込めてトラの首へ深く、深く、刀を斬りこませる。
「斬!」
パワー上げて叫んだところで……刀が振り切れた。ブッシューっと大量の血が噴水のごとく拭きまくり、ゴトン! と巨大な顔面が地面に転がり落ち、そしてズシーン! と胴体が横たわる。
―わぁぁぁぁぁー
観客から歓声が沸く。しかし彼らは先ほどグラディアートルがドハデにバーバリライオンを倒すって光景を見た。それとの比較があるため、観客の中からは息吹に対する罵声も飛ぶ。
―つまねんねぇぞ、もっとハデに殺せや、楽しませろやー
―必殺技とか出せ! それが無いならおまえがハデに食われてしまえー
そういう声を聞くと息吹は舌打ちを隠せない。観客ってやつは実に腹立たしいぜと怒りすら湧く。
「でもまぁ、こんな戦い方ではヤバいよな。戦闘ギアを一段上げないとやられちまう」
おのれに言い聞かせるように言い、今度は大量に出てくるんだよなと身構える。そうするとその通り! とばかり、うなり声の大音響にふさわしく、先のライオンと同じく20頭ほどのトラが湧き出る。
「ゆっくり戦ったら死んじまうってか」
息吹、実数よりはるかに多く見えるトラの大群が前方向からやってくるのを見ながら構えた。
―がぉぉぉー
大量のトラが一斉に走り出す。息吹という獲物に向かって突進していく。その光景はまさにこの世の終わり的に圧巻。
「トラの食物になるつもりはない!」
青白く光る息吹が空に舞い上がる。そうして高い空中から地上より自分を見上げているトラの大群を見ながら刀を振った。
「青竜!」
放たれるブルードラゴン、その巨大なモノは美しかった。バカみたいに騒いでいた数万の観客が突然ピタッと静まり見入ったほどに。
グワ―っと口を開けてトラの大群に向かっていくドラゴン。それが固まっていたトラの群に激突。ドーン! と爆弾でも落下したように轟音を立てる。すると大量の砂ぼこりと同時に、砕けたトラの体が舞い上がる。
「おぉ……すごい、なんてうつくしい技。そう思いません?」
檻の中で拍手をするブ太郎、横にいるグラディアートルを一瞥。
「うむ、たしかに」
グラディアートルは腕組みをして感心。しかし内心こうい風にも思った。後で一戦交えるというその前にいいモノこと手の内を見せてもらったのはラッキーだと。
「全部……じゃなかったか」
着地した息吹が目をやると一頭だけ仕留められなかったのがいる。そして特大の猛獣にふさわしく、息吹に恐れたりするわけではなく、向かってくる気マンマン。
「さて……どう倒すか……」
息吹、トラを見ながらゆっくり下がる。そして先ほどの首が固くて斬りづらかった事を思い出し、同じ事はやりづらいよなぁと内心つぶやく。
―がぉぉー
息吹に考える時間を与えまいとトラがダッシュ開始。
「できるか……」
トラに合わせ息吹もダッシュ。そうして巨大な猛獣が息吹に向かって飛ぶ。そおまま抱きつかれたら終わりである。
「チャンス!」
言った息吹、ズサーっとトラの下へと滑りこむ。そして刀を下から腹に差し込み、ズブズブと斬りながら滑り切った。
ドサ、ドサ、ドサ、トラの内物が地面に落下。そうしてトラはバッタリ横向けに倒れ起き上がらなくなる。
「ふぅ……」
立ち上がる息吹、どでかい緊張をくぐり抜けたので深い深呼吸。すると静かだったスタジアムが目を覚ましたかのように沸いた。巨大ハリケーンみたいな歓声と熱気が、人間の持つ異常性を芸術性とアピールしているかのよう。だから息吹、それに包まれると……観客をゲスだと思いながら……自分の中によろしくない興奮が生じるのも事実だと認める。
「……」
どうしよう……と一瞬思ったものの、この場の異常につられてしまう。息吹は両手を握って両腕を左右に広げたら、天空を見上げて叫んだ。内側に沸いた興奮を一気に吐き出すかの如く吠えた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「で、今度はおれか」
グラディアートルと入れ替わって外に出た息吹、興奮冷めやらぬ数万の観客に見つめられながらフィールドの中央に立つ。
「バーバリライオン……おそろしいもんだ」
背中より刀を抜いた息吹、猛獣とのバトルに身構える。そして空間すべてを制圧するようなうなり声を耳にしたら、先ほどと同じバーバリライオンが出てくるのだと思った。しかしその予想はまちがっていた。
「え……ト、トラ?」
ゾクっと青白い鳥肌が背中に走る。登場したのは神々しい黄色に黒線にほどよく白が混じったビッグキャット、その中でもとりわけ大きいと名高いアムールトラ。二本足で立てば2m以上はある。
「ぅ……」
すさまじい威圧感がトラから流れ伝わってくる。その殺気は信じられないほどデカい。無限の闇に引っ張り込まれ極限まで縮められてしまいそう。
「飲まれるわけにはいかない!」
気合を入れ直した息吹、心臓を冷や水をかけるような目を浮かべるトラと見つめ合う。
―ガルルルゥー
ゆっくり距離を縮めてくるトラ。自ら前に出るか? と一瞬思ったが、息吹はあえてゆっくり下がる。
(一発勝負)
息吹が思った次の瞬間、トラが攻撃に出た。信じられないほど大きく太く、さらに言えば極悪な爪を持った前足を動かす。もしそれを顔面に食らったら、脳みそまで貫通してお陀仏確定。
(今だ!)
シュ! っと空中に舞い上がる息吹、そのまま刀をにぎりトラが振り返るより先に首へと向かっていき振り下ろす。
「斬!」
刀が入ったと手応えあり……しかし首が太いというか固い。
「ヤバ……」
このまま斬り通さないと立場が逆転してしまう。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
息吹の体がボッと青白く燃える。そうして熱と力を込めてトラの首へ深く、深く、刀を斬りこませる。
「斬!」
パワー上げて叫んだところで……刀が振り切れた。ブッシューっと大量の血が噴水のごとく拭きまくり、ゴトン! と巨大な顔面が地面に転がり落ち、そしてズシーン! と胴体が横たわる。
―わぁぁぁぁぁー
観客から歓声が沸く。しかし彼らは先ほどグラディアートルがドハデにバーバリライオンを倒すって光景を見た。それとの比較があるため、観客の中からは息吹に対する罵声も飛ぶ。
―つまねんねぇぞ、もっとハデに殺せや、楽しませろやー
―必殺技とか出せ! それが無いならおまえがハデに食われてしまえー
そういう声を聞くと息吹は舌打ちを隠せない。観客ってやつは実に腹立たしいぜと怒りすら湧く。
「でもまぁ、こんな戦い方ではヤバいよな。戦闘ギアを一段上げないとやられちまう」
おのれに言い聞かせるように言い、今度は大量に出てくるんだよなと身構える。そうするとその通り! とばかり、うなり声の大音響にふさわしく、先のライオンと同じく20頭ほどのトラが湧き出る。
「ゆっくり戦ったら死んじまうってか」
息吹、実数よりはるかに多く見えるトラの大群が前方向からやってくるのを見ながら構えた。
―がぉぉぉー
大量のトラが一斉に走り出す。息吹という獲物に向かって突進していく。その光景はまさにこの世の終わり的に圧巻。
「トラの食物になるつもりはない!」
青白く光る息吹が空に舞い上がる。そうして高い空中から地上より自分を見上げているトラの大群を見ながら刀を振った。
「青竜!」
放たれるブルードラゴン、その巨大なモノは美しかった。バカみたいに騒いでいた数万の観客が突然ピタッと静まり見入ったほどに。
グワ―っと口を開けてトラの大群に向かっていくドラゴン。それが固まっていたトラの群に激突。ドーン! と爆弾でも落下したように轟音を立てる。すると大量の砂ぼこりと同時に、砕けたトラの体が舞い上がる。
「おぉ……すごい、なんてうつくしい技。そう思いません?」
檻の中で拍手をするブ太郎、横にいるグラディアートルを一瞥。
「うむ、たしかに」
グラディアートルは腕組みをして感心。しかし内心こうい風にも思った。後で一戦交えるというその前にいいモノこと手の内を見せてもらったのはラッキーだと。
「全部……じゃなかったか」
着地した息吹が目をやると一頭だけ仕留められなかったのがいる。そして特大の猛獣にふさわしく、息吹に恐れたりするわけではなく、向かってくる気マンマン。
「さて……どう倒すか……」
息吹、トラを見ながらゆっくり下がる。そして先ほどの首が固くて斬りづらかった事を思い出し、同じ事はやりづらいよなぁと内心つぶやく。
―がぉぉー
息吹に考える時間を与えまいとトラがダッシュ開始。
「できるか……」
トラに合わせ息吹もダッシュ。そうして巨大な猛獣が息吹に向かって飛ぶ。そおまま抱きつかれたら終わりである。
「チャンス!」
言った息吹、ズサーっとトラの下へと滑りこむ。そして刀を下から腹に差し込み、ズブズブと斬りながら滑り切った。
ドサ、ドサ、ドサ、トラの内物が地面に落下。そうしてトラはバッタリ横向けに倒れ起き上がらなくなる。
「ふぅ……」
立ち上がる息吹、どでかい緊張をくぐり抜けたので深い深呼吸。すると静かだったスタジアムが目を覚ましたかのように沸いた。巨大ハリケーンみたいな歓声と熱気が、人間の持つ異常性を芸術性とアピールしているかのよう。だから息吹、それに包まれると……観客をゲスだと思いながら……自分の中によろしくない興奮が生じるのも事実だと認める。
「……」
どうしよう……と一瞬思ったものの、この場の異常につられてしまう。息吹は両手を握って両腕を左右に広げたら、天空を見上げて叫んだ。内側に沸いた興奮を一気に吐き出すかの如く吠えた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、10人の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる