息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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171・キャラクターの反乱バトル15

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171・キャラクターの反乱バトル15


 青白美人とでもいうべき月の光に照らされながら、かすみとアデリーヌが一線交える。ショーテルと薙刀がぶつかり合う。もっとも接近するほどショーテルの方が有利になるので、かすみがその距離を作らせないよう絶えず後ろに移動しながら戦う。

「く、ブス巨乳のくせに器用な」

 アデリーヌは相手の懐に飛び込みたいと思っている。それができたら、かすみの胴体を真っ二つにできるだろうか。

 しかし……かすみは先ほど放った紅孔雀こと赤い鳥をずっと飛ばし続けている。かすみに言わせれば「かすみ念力」というモノで、赤い鳥をずっと飛ばし続け脳でコントロール。だから幾度となく、戦っている最中のアデリーヌの後方とか上部に鳥を仕向けるってイヤらしい事をやる。よってアデリーヌはかすみだけに集中できない。

「あきらめたらどう? このビューティーかすみはやさしいから、相手を徹底的に傷つけたいとは思わない」

 言ったかすみが目をやると、纏っているモノがボロボロになっているアデリーヌがいる。鳥の直撃を食らってはいないが、何度も擦ることで破れ、ところどころは皮膚から血が出ている。

「ブス巨乳のおまえにわたしのキモチがわかるもんか」

「それはどんなキモチ?」

「作者からいいように扱われ、時に辱めを受け、それでも作品のために動き続けねばならないキャラクターの悲しさ、おまえなんかにわかるもんか!」

 アデリーヌの目から涙がこぼれている。とてもくやしい、とてもせつない、とてもかなしいって感情がその液体に凝縮されている。

「そう……だったら……」

 かすみはここでハッと大きく後ろに下がってたっぷり距離を取った。そうしてもうダッシュするという構えを取って相手に伝えた。

「アデリーヌ、あなたたちキャラは可哀想かもしれない。でも作者がいなければキャラは何もできない。だからアデリーヌ、わたしがこの必殺技で、この一振りであなたの悲しさを終わらせてあげる」

 かすみのつよい決意って表情を見ると、アデリーヌはショーテルを持って構える。後ろとか上から鳥が飛んでこないか注意はしつつ、かすみが薙刀でどんな攻撃をするのかと最大の警戒心を持つ。

「アデリーヌ、観念!」

 かすみが猛ダッシュ、そして薙刀を大きく水平に振ろうって動きを見せる。しかしそれを見てアデリーヌが何らかの反応をしようとするその前に、突如としてかすみの体が真横に飛ぶ。

「あ……」

 アデリーヌは見た、かすみが横に飛んだ瞬間、赤い鳥が小型となって大量に向かって来てくるサマを。

「こんなの避けられ……」

 避けられない……と言いたかったのか、言い切る前に大量の鳥がアデリーヌの全身を直撃。そしてそれらは貫通して夜空へと舞上がっていき、再び一体の鳥と化す。

「紅孔雀フロック!」

 かすみが叫ぶ。一方のアデリーヌ、ショックで震えながら……全身から大量の血を噴き上げながら飛ばされる。そう、それは攻撃を食らって地面に倒れるまでの極めて短い時間であったが、噴水のように吹き上がる出血を持ってアデリーヌは思ったのである。

(ま、負け……)

 負ける……それはたしかな事実と自然かつ素直に思った。そうしてドーン! って音を立て地面に落下すると、たっぷり血を流しながら可哀想な声を上げてゴロゴロ転がり回る。

 そして次の瞬間……ドキッとしたアデリーヌの体が突然何かに引っ張られ始めた。

「い、いやだ……せ、せっかく自意識を持ったのに……ただの平面キャラに戻るなんて……」

 血だらけのアデリーヌは抵抗しようとしたが、賢者の石板がそれを許してくれなかった。

「い、いやだ、ビアンカ……ブルーノ、カルロス、たすけて!」

 泣き叫ぶアデリーヌだったが、その姿はシューっと石板に吸い込まれてしまった。そうしてアデリーヌという名前が石板に刻まれる。

「アデリーヌ……」

 見ていて何もできなかったビアンカ、とてもさみしそうな目を浮かべキュッと唇を噛む。それから両目を閉じて小さく十字を切ると、今度はわたしの番だと前に出る。

 すると、交代しようと閻美がかすみの前に立つ。閻美曰く、ビアンカと自分が似ているみたいだとか先ほど言われたのが気に入らない。

「わたしの方があれよりいい女だという事を証明したい。だから子ども巨乳、おまえは休んでいればいい」

 閻美、言ってもう少し前に進んだ。そうしてクールっぽいフンイキが印象的な女に問うた。

「さっきのアデリーヌというのは、同じキャラ、つまりおまえたちの仲間だったわけだろう?」

「あぁ、そうだ」

「だったらどうだろうな、残りの者も潔く自ら石板に刻まれたらどうだろうかな? その方が運命共同体だとわたしは思う。自分たちだけ助かるというのは、アデリーヌに申し訳ないと思ったりはしないのかな?」

「言わんとする事はわかる。だがそれでも自意識を持った事は捨てられないのだ。常日頃作者の身勝手に従うしかできなかった我ら、それが自分の意思で動けるようになった。これはもう喜びを通り越して尊い。だからだ、アデリーヌがああなって気の毒だと思っても、わたしは自分を捨てたくない。それが罪だというなら永遠に背負うまで」

「そうか、では戦おうか」

「望むところ、おまえを石板に刻んでわたしは自由となる」

 ビアンカと閻美がけっこうな距離をもって向かい合う。そうしてまずはビアンカが太くたくましいに加え相当に長いロングソードを両手に握る。

「そう言えば名前を言ってなかったような気がする。わたしはビアンカ、そっちは?」

「わたしは閻美だ」

 言った閻美、ビアンカに負けじとすさまじくデカい刀を両手に握った。あまりの大きさに見ていたかすみが声をだす。

「え、なにあの異常に大きい刀……」

 すると息吹、あれは斬馬刀だと教えてやる。刀身が2mはあろうそれ、馬の胴体を真っ二つにする事が可能。

「閻美、おまえとはあまり戦いたくないという気もするが、わたしの自意識を守るためには仕方ない、行くぞ!」

「いいだろうビアンカ、その気の毒な意識を賢者の石板に刻んでやろう」

 ビアンカからピンク色のオーラが立つ。対する閻美からは青白でうつくしいオーラが立ち上がる。

 超ロングソードと斬馬刀、そんなモノを持った2人がにらみ合いながらジリジリっと足を動かす。

(あの斬馬刀……あんなのをまともに食らうとアウトだ。しかしあれ、こちらのロングソードよりさらに長い。こちらにとって必殺の間合いに飛び込めたら、向こうは防ぎようがあるまい。ロングソードの方が有利とみた)

 ビアンカ、閻美の懐に飛び込むタイミングを辛抱強く待つ。一瞬で決めるため、その一瞬のために息がつまりそうな長い時間を待つ。

 そしてあまりにも重苦しい数分間が流れた時、ついにビアンカが動いた、勝負に出た!
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