息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
182 / 223

182・ホレた女のために戦え7

しおりを挟む
182・ホレた女のために戦え7


 フフフっとゲス笑みを浮かべたエロ魔人、どこからともなく……今度は弓矢を取り出す。

「ま、心配するなグラディアートルよ。アタマを撃ち抜いてどうのってわけじゃない。一発刺さったらジ・エンドって殺傷力ってわけでもない。おまえが耐え忍んで立ち続けられるか、それを試す程度の痛みってことだ」

 言いながらエロ魔人は構える。そしてギリギリって攻撃間近という音を立たせる。

「ぅ……このグラディアートル、何をされようと絶対に倒れない」

 顔面から血を流すグラディアートル、今はまともな戦闘能力がない。だから持てる余力をすべてつぎ込み、おのれの言葉はウソではないという証明しようとする。

「では始めようか、グラディアートル」

 エロ魔人、言い終えるとすぐに光の矢を一本放つ。ヒュッと軽い音が生じたら、やんわり流れるようなスピードで危険物が飛んでいき、それはグラディアートルの胸板右側にブッ刺さる。

「く……ぅ、たかがこの程度」

 グラディアートルは顔に汗をかきながらも、大したダメージは受けていないと気合を入れる。するとどうだ、光の矢が体から押し出され地面にポトっと落下した。

「おぉ、ではガンガン行こう」

 エロ魔人、続けて新しい矢を放つ。しかしそれは飛ぶスピードが速いだけではなかった。グラディアートルが受けて立とうと気合を入れると、一本だったモノが突然に数本と増える。

(な……)

 ギョッとした次の瞬間、胴体のあちらこちらにブスブスっと光の矢達ちが突き刺さる。

「あう……ぅ……」

 全身に回るはげしい痛み。先の一本とちがい、耐え難い痛みが人の感覚すべてに襲い掛かる。

「く……」

 震えながら気合を入れたら、刺さっていた矢の数本が抜け落ちる。しかし軽い出血も生じ、グラディアートルの両目が回り足がガクっと落ちそうになってしまう。

「おっと、倒れるなよ。おまえは立ち続けるとか行ったんだからな。どんなに無様晒しても立ち続けなければいけない」

「ふん!」

 また放たれた矢、それが勢いよく飛び数本になってグラディアートルの体に情け容赦なく突き刺さる。

「あぅう……」

 今度は後ろに倒れそうになる。思わず両腕が動き、顔面は上を向き、両氏が立つ事を拒否しかける。しかし、ハァハァ息を切らしドロドロの汗を流しながらもグラディアートルは持ちこたえる。

「ったく、しぶとい……グラディアートルよぉ、おまえそこまでして閻美にホレてもらいたいか? おまえってつよい男なんだろう? それをこんな事に使っていいのかよ。女なんてたくさんいるじゃねぇか。まぁ、閻美みたいな美形にしてIカップの爆乳っていうのはレアだろうが、0ではないはず。探せばいい女で爆乳っていうのはいるはず。それを探せばいいだろう。閻美はこのおれに譲って、おまえは閻美には劣るけど仕方ない……というあきらめにふさわしい女とヤレばいいんだよ」

 言うエロ魔人、弓矢の遊びにも飽きてきたという顔になり、早く倒れろよと愛想が尽きたという感じを生々しく浮かべる。

「エロ魔人、貴様は真正のゲスだ……」

「なんだと」

「貴様からは……女性に真剣な想いを寄せたという経験がないように感じる。だからおまえに閻美殿という、誇りを持っている女性は似合わない。だからこのグラディアートル、何をされようと言われようと倒れたりはしない!」

「うぜぇ……」

 これだからバカの相手はイヤなんだよと言いたげな顔するエロ魔人、一本の矢をグラディアートルの右太ももに向かって放つ。それは猛烈なスピードで気前よくズブっと刺さり、尋常ではない痛みを男に与える。

「ぁ……くく……」

 ガクっとなるグラディアートル、倒れるモノかと踏ん張るがもはやまっすぐしっかり立つのは難しくなっていた。だから体がグラグラと揺れ、もの悲しい敗北はすぐそこにあるという空気にまかれている。

「女性に真剣な想いを寄せたことがないだって? あるつーんだよ、いつだって女と一発やりたいって、何より真剣に思っている、それが男ってもんだろう。それからするとグラディアートル、おまえはすこぶる情けない男だ。それがなぜか教えてやろう」

 震えるグラディアートルに接近し真正面に立つエロ魔人、倒れるモノかとがんばっている男を見ながらグッと右手をにぎると……それを思いっきり土手っ腹にぶち込んでやる。

 ズーン! それは実に重たくきびしい一撃だった。グラディアートルは表情を動かす事ができなくなり、苦しそうにピクピクって反応に陥る。だがそれでも倒れようとはしない。

「グラディアートルよぉ、おまえ筋肉ばかり鍛えて女と付き合うって積極性を磨かなかっただろう? だからおまえは、つよい男になっても中身が中学生みたいなレベルってことだ。で、おまえみたいなやつは自分のピュアを正義とする。男が本来持っている性欲をうす汚いと見る。でもよ、おまえも同じ男だろうが。閻美にホレて愛されたいと欲している時点で、おまえもおれとまったくの同類でゲスなんだよ、わかるか!」

 エロ魔人、怒りの一撃とも言うべき右ストレートを相手の顔面に火の玉みたいな勢いで撃ち込む。

「ぐ……ぅ……」

 ぐらーっと殴られた男の体がグラつく。しかし……まだ倒れない。それもう気力とかプライドという名前の化け物だ。だからエロ魔人はグラディアートルを散々に殴りながら言い続ける。

「グラディアートル! 閻美に好かれたいっていうのは、閻美みたいな爆乳とやりたいって事だろう、それはおれが抱く性欲と同じ低レベルって事だろう。自分だけいい格好してるんじゃねぇよ、筋肉ばっかり鍛えて女に疎いって自分を反省しろよ。そして早く倒れろってんだよ、この……クソ野郎が!」

 殴る、殴る、殴る、殴る、エロ魔人がグラディアートルを殴る。そして怒りの沸騰という一撃がボディーに放たれたとき、口から血を流すグラディアートルの表情が少し変化する。

「く……」

 それはとても腹立たしく……とてもくやしいと心で泣く事を受け入れてしまったという面。だからついに耐え切れずグワーっと後ろ向けに倒れていくとき、うっすらと流れ出る涙が風に乗ってしまう。

 ドーン! ついにグラディアートルが仰向けにぶっ倒れた。そして背中を地面に預けた瞬間、体力、気力ともに0となり、大げさに言えば指一本動かすのも大変な苦痛という状態になってしまう。

 やっと倒れやがったとため息を吐いたエロ魔人、立ち上がれない男に近づくと、その胸板をグッと踏みつけながら言い放つ。

「グラディアートル、くやしいか? 涙が止まらないか? 閻美にいい格好見せたかったのに残念だよなぁ。閻美にホレてもらうチャンスが消えたよなぁ。あ、もしかしてあれか? 気の毒って同情から恋愛に発展し、その流れによってあわよくばベッドで愛し合う関係になりたいとか密かに思うか? それでもいいけどよ、その前に閻美の爆乳はおれが食う。おまえは残り物にしゃぶりつくってオチなんだよ、わかったか!」

 勝ち誇るエロ魔人、悔し涙を浮かべながら動けない者の胸板をグリグリ踏み回しながら天に向かって言ってやる。

「勝者はすべてを得る。そして女は悪い男にホレる。そうだぞグラディアートル、女がやさしい男にホレるなんて夢を見たおまえがすべて悪い。それがこの醜態につながったんだ。いい勉強になっただろう? あーあははははは!」

 かくしてエロ魔人、これで心置きなくゆっくりと閻美の爆乳に甘え昇天する事ができるなぁとニヤニヤ。

 が、しかし! ここで突然にゆるい風が吹いたと同時に空気が揺れ、ふっと突然にひとりの見知らぬ男が出現した。まるで四次元から三次元に移動して姿を現わしたみたいな感じだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

前の野原でつぐみが鳴いた

小海音かなた
恋愛
鶫野鹿乃江は都内のアミューズメント施設で働く四十代の事務職女性。ある日職場の近くを歩いていたら、曲がり角から突然現れた男性とぶつかりそうになる。 その夜、突然鳴った着信音をたどったらバッグの中に自分のものではないスマートフォン入っていて――?! 『ほんの些細な偶然から始まるラブストーリー』。そんなありきたりなシチュエーションにもかかわらず、まったく異なる二人の立場のせいで波乱含みな恋愛模様をもたらしていく――。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良
恋愛
同じ中学校だった澄麗、英、碧、梨愛はあることがきっかけで再会し、定期的に集まって近況報告をしている。 集まるときには常にドリンクバーがある。飲み物とつまむ物さえあれば、私達は無限に語り合える。 器用に見えて器用じゃない、仕事や恋愛に人付き合いに苦労する私達。 転んでも擦りむいても前を向いて歩けるのは、この時間があるから。 〜main cast〜 ・如月 澄麗(Kisaragi Sumire) 表紙右から二番目 age.26 ・山吹 英(Yamabuki Hana) 表紙左から二番目 age.26 ・葉月 碧(Haduki Midori) 表紙一番右 age.26 ・早乙女 梨愛(Saotome Ria) 表紙一番左 age.26 ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載しています。

俺様御曹司に飼われました

馬村 はくあ
恋愛
新入社員の心海が、与えられた社宅に行くと先住民が!? 「俺に飼われてみる?」 自分の家だと言い張る先住民に出された条件は、カノジョになること。 しぶしぶ受け入れてみるけど、俺様だけど優しいそんな彼にいつしか惹かれていって……

【完結/番外追加】サリシャの光 〜憧れの先へ〜

ねるねわかば
恋愛
彼女は進む。過去に囚われた者たちを残して── 大商会の娘サーシャ。 子どもの頃から家業に関わる彼女は、従妹のメリンダと共に商会の看板娘として注目を集めていた。 華々しい活躍の裏で、着実に努力を重ねて夢へと向かうサーシャ。しかし時には心ないことを言う者もいた。 そんな彼女が初めて抱いた淡い恋。 けれどその想いは、メリンダの涙と少年の軽率な一言であっさり踏みにじられてしまう。 サーシャはメリンダたちとは距離をおき、商会の仕事からも離れる。 新たな場所で任される仕事、そして新たな出会い。どこにあっても、彼女が夢を諦めることはない。 一方、光に囚われた者たちは後悔と執着を募らせていき── 夢を諦めない少女が、もがきながら光を紡いでいく軌跡。 ※前作「ルースの祈り」と同じ世界観で登場人物も一部かぶりますが、単体でお読みいただけます。 ※作中の仕事や制作物、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

処理中です...