息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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193・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)9

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193・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)9


「待て、このド腐れ爆乳!」

 怒りを抑えられない男が吠えた。

「うるさいなぁ、なに?」

 女、面倒くさいなぁと思う心を顔面にあふれさせながら男を見る。そして、おまえの名前は? などと聞かれたらサキュバスだと答える。

「サキュバス? ふざけた名前しやがって……まぁ、いい、名前なんかより体の方が重要だからな。サキュバス! おれとラブホに行ってセックスするか、それともおれにパイズリを施すか、2つにひとつ。どっちもイヤだというなら、おまえの乳はムリヤリ奪う!」

 男の目は本気だった。こうなったらもう成人指定されるような物語だって厭わないぜ! という心が見て取れる。

「ったく、面倒くさいなぁ」

 仕方ないとサキュバスが戦闘の構えを取る。

(え、あ、あれって……空手?)

 サキュバスを助けようと思っていた団子はおどろいた。性欲とか色気ばかりに能力を振っているとしか見えない女子が空手の構えなどをやると、一瞬は似合っていないと思った。しかし強いかもしれない……という奇妙さも感じられるから、ここはひとつだまって見てみようとなる。

「ケッ! おまえみたいな巨乳とか色気にしか能力がないような女、それが空手の構えをとっても怖くもなんともねーんだよ」

「いいからいいから、早くかかってきて。もうね、ほんとうに面倒くさいのは嫌いだから。早く終わらせよう」

「うおぉぉ!! 何がなんでも巨乳ゲット!」

 男はサキュバスに向かって突進を開始。もはや豊満な胸のふくらみ以外は何も見えず、ベッド上で甘い快感におぼれる如何わしいシアターしか脳内にはない。まさに性欲全快のもうダッシュ。

「ん!」

 シュっと音がした。ほんの一瞬サキュバスが後ろへ引いたように見えた次の瞬間、右足が男の首根っこ辺りにドストライク爆弾のように直撃。

「ぅあ……う……」

 男が両目を大きく開きショックと激痛で動けなくなる。

「はぁぁぁぁ!!!」

 クワーっと両腕を回してから脇を絞めたサキュバス、気合とともに右の一撃を男の胸板に向けて放った。

 ドーン! 落雷みたいな一発を食らった男、哀れな感じで固い地面に転がる。そして震えながらサキュバスを見て立ち上がろうとするが、その意識はもう途切れる寸前。だからとても悔しそうにぼやく。

「く、クソ……巨乳しか取り柄がないように見えて空手とか……」

 そこで男はガクっとなって意識を失う。その姿は色艶のよい夢に見捨てられた哀れな姿そのもの。

「わたしはサキュバスなんだけど……今日はなんとなくセックスに気が乗らないんだよ。ま、こういう事もあるって事で許して」

 倒れた男の頭を軽くグリグリっと踏みつける。それからこの場を立ち去ろうとするサキュバス。

「待って!」

 ここでずっと密かに見ていた団子が出る。てっきり巨乳と色気しか脳がないと思っていたサキュバスの空手に感動したと言って歩み寄る。

「巨乳と色気にしか取り柄がないってひどくない?」

「え、でも……そういう風にしか見えないよ」

「むぅ、あんたもすごい巨乳と見えるんだけど?」

「わたしは御手洗団子、柔道をやっている」

「で、その柔道をやっている巨乳が何の用?」

「えっと……実はその……」

「なに、まさか巨乳同士でレズりたいって申し出?」

「んなわけあるか、キモイ……そうじゃなくて、空手の技を少しでいいから教えてくれないかなと思った」

「はぁ? なに急に……」

「いや、実はその、近々格闘技大会を開く予定なんだけど、どうしてもそこで優勝したい。だから柔道プラス空手ならもっとつよくなれるかと思って」

「ほぉ、つよくなる事に一生懸命な女ってわけ?」

 サキュバス、真面目な顔の団子を見て意地悪したくなった。あんたブスだよねとか、あんたこそ巨乳しか取り柄がないんじゃないの? とか、相手が傷つくであろうと事を言おうと口を開きかける。するとサキュバスが言おうとした事を団子本人が先に言った。

「だってわたしブスだし……たとえ早くからおっぱいが大きい巨乳だったとしても顔がまずいと相手なんかできない」

「あら……あんたけっこう卑屈な巨乳なのね」

「でも、大会に優勝すれば……そうすればこのみじめな巨乳って人生に花を添えられる」

「花?」

「優勝するとイケメンと結婚する権利を得られる」

「なんとまぁ、いかにも盛った女って感じね」

「なんと言われようと、わたしは息吹と結婚したい」

「息吹!?」

 サキュバス、息吹という名前にあからさまな反応を示した。それは息吹を知っているとしか思えないモノだ。よって団子はポケットから試しづくりしたポスターのサンプル画像が載っている紙を取り出して渡す。

「こ、これは家満登息吹……」

「知ってるんだ? まさか……身内とか言わないよね」

「違うよわ、あんな奴とこのかわいいわたしが血縁なわけないでしょう」

 ここでサキュバス、団子にいい事を教えてやろうとニンマリ。息吹は一度死んで復活した男であるが、生前はすさまじい女ったらしであったと。

「わたしが知っている情報によると、あいつ生前は500人くらいの女とヤリまくったってさ。クズだよね、女の敵だよね、団子はそんな男に抱かれたいの? 止めときなって。団子はもっとマジメで面白みのない男の方がお似合い」

 ククっと微笑むたサキュバス、団子がどんな反応をするか楽しみだと薄ら笑いを浮かべる。

「それ生前の話でしょう? 今は違うんでしょう? というか、この間に会ったときの息吹は女ったらしとは思えなかった。だからいい、大事なのは過去ではなく現在であり未来だから」

 団子が教科書に載りそうな名言チック発言をする。そこには柔道女子らしいつよい意思というモノも感じられた。そうするとサキュバスは感心させられてしまう。

「ほぉ、いいねぇ、わたしって攻める女って好きなんだわ」

「だったら教えて、すぐに使える技の一つか二つでいいから」

「いいよ、あんたの熱意にカンパイ! としてあげる」

「やった!」

「ただし、条件があるよ。ごめんね、わたしってさぁ、いかんせんサキュバスなモノで見た目はよくても性格がちょっと悪いんだ」

「条件ってなに、お金なら持っているよ」

「わたしとセックスしよう、もちろん疑似でいいよ。疑似セックス」

「はぁ? 疑似セックス?」

「そう、団子が女として本気ならこのくらいはできるよね? 団子の本気を見せて欲しいんだわ」

「ちょ、ちょ、ちょっと待った、それ絶対におかしい!」

「おかしいって何が?」

「わたしだってちょっとくらいは知っているぞ。サキュバスっていうのは女の魔物で男の精気を吸い取るのだって。そのサキュバスがなんで女同士の疑似セックスなんか求めるわけ? ないない、それはない」

「いや、だって……」

「だってなに?」

「たとえサキュバスでもさぁ、たまにはちがうことをしてみたくなった。たまに女を食うような両方イケちゃうサキュバスがいてもいいと思った」

「えぇ……」

「それに団子、わたしもあんたもほぼ同レベルのすごい巨乳。いいじゃん、同類だからわかりやすいじゃん」

「む、ムリ、ムリだよ絶対に」

「どうして?」

「だ、だってわたしは……この団子は……しょ、処女だから……」

「最初はみんなそうだよ、それ決して恥ずかしい事じゃないよ。だからわたしが教えてあげる。疑似だけどさ、疑似とは思えないキモチ良さで何回でもイカせてあげる」

「で、でも……」

「あ、団子の本気ってしょせんはその程度なの? なんだかんだつよい女を気取っておきながら、中身はありきたりなダサい女って事なんだね」

「く……」

「あと10秒で返事するべし。わたしとラブホに行き巨乳同士の疑似セックスをするか、それともつまらないプライドのためにチャンスを捨てるか。さぁ、答えて、10、9、8、7、6、5、4、3、2……」

「わ、わかった、わかりました!」

「うん? わかったってどういうこと? ちゃんと言わないとわからない」

「ら、ら、ラブ、ラブホテルに行きます……」

「行ってどうするの?」

「さ、サキュバスと……疑似セックスします」

「女に二言無し、いいね?」

「もちろん、言った事は火傷したって守るよ。でもサキュバス、そっちもちゃんと約束は守ってよね」

「もちろん」

 サキュバス、言って右手を伸ばす。だから団子も……なんつー不本意と思いながら右手を伸ばす。そうしてサキュバスの手をにぎった団子は、同じ女同士の手をエロス交じりに感じて奇妙な鳥肌を立てる。しかしすべては大会で優勝するため、息吹と結ばれるためと割り切る。

「ちょっと高いけれどいいラブホを知ってるよ」

 言ったサキュバスが歩き出すと団子も歩き出す。手をつないでいる以上、2人はもう一蓮托生。そんな足取りでラブホテル「恋人たちの瞑想」を目指すのだった。
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