息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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221・自分VS自分10

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221・自分VS自分10

 
「し、しかしサキュバス......」

 立ち上がった閻美はひとつ気になるって事を口にした。それは4という数字である。

「わたしら4人の熱量を合わせてパワーアップはいいとしても......4という数字はよくないと思うわけで」

 それを聞いたサキュバス、4人全員が両手をつないで輪を作るのだと促しな
がら閻美に返す。

「やだ、閻美って大事なことを忘れてない? たとえばさ、音楽のバンドなんて4人が一番安定すると言われている。四大元素っていうのもあるし、四葉のクローバーっていうのもある。4は思いっきりシアワセな数字なんだよ」

 こうして4人がそれぞれ両手でしっかり握り合うと、ボワ! っと巨大なオーラが発生。しかもそれは一色ではない、ピンクと緑の2色だ。そして4人の女たちはそのままクルクルっと回転しながら雨降りの空へ舞上がっていく。

「乙女の四葉光線、名付けてフォーリーフ光線!」

 4人が声を合わせると、空中より氷に向かってまばゆく熱い光線が放たれた。それはグラデーションなうつくしさに満ち溢れており、無慈悲な氷が持つ冷たさをはるかにしのぐ温もりに満ちていた。

「おぉ......」

 ブラック息吹、氷がすごい速度で溶けていくことをヤバイと思うのに、フォーリーフ光線の美しさに見惚れてしまう。

 氷が溶けていく、閉じ込められていた息吹の体が少しずつ外に出てきた、4人の女が合わせる温もりは、分厚い氷だの雨降るつめたい空気だのをまったくモノともしなかったのだ。

「まだまだもっと乙女の熱をぶち込んで!」

 サキュバスの叫びによりさらにカラフルな色が輝きを増す。それはまさしく幸せのぬくもり光線。どんな冷たさもこれを抑え込むことはできない。だからどんどんと息吹の体が外に出てきて、ついにはドサっと雨でびしょ濡れの地面に倒れ込む。

「ぅ......」

 意識戻った息吹が震えだす。それを見て4人の女は屋上に着地。後は息吹に任せようとサキュバスが言えば、残りの3人はエネルギーの消費がすさまじかったらしく、汗いっぱいにゼーゼーやりながらうなづくだけ。特に閻美と団子の2人は消耗激しく、雨が降っていることを承知でその場に座り込んでしまう。

「ぅ......あぅ......」

 全身にビリビリっと来た。それまで氷漬けにされていた息吹の体は、そこから解放されたことで血管が目覚める。

「ハァハァ......」

 仰向けになり、どしゃ降りの雨がたまらないと顔を横にそむけるが、今は雨があたたかいシャワーみたいに感じられた。

「よぉ、息吹......お目覚めかよ」

 ブラック息吹に言われて息吹は体を起こす。

「よくも氷漬けにしてくれたな、このうらみはおまえを燃やすことで晴らさせてもらう」

 息吹、どこからともなく取り出した刀を持ってかまえると青いオーラを立ち
上がらせた。

「ケッ、なにがうらみを晴らすだ。息吹、おまえはなぁ、あそこにいる4人の女に手助けしてもらったんだぜ? 4人だぜ、4人! 男としてはみっともないを通り越してクズだよな?」

 ブラック息吹がそう言って声高に笑おうとすれば、先にかすみがびしょ濡れって中で横から口を挟んだ。

「女に味方されるのは愛されているから。ブラック息吹なんて女に愛されていないから一人で戦うしかないんだよ。そっちの方がよっぽどさみしいじゃん。もっと言えばさみしいを通り越してくっそ哀れじゃん」

 こういう罵倒はけっこう効くようで、ブラック息吹は怒りをにじませながらつぶやく。

「かすみ、おまえは後で生の中出し10連発をしてやるからな......絶対泣かせてやる、苦悩に満ちた妊娠をさせてやる」

 一方の息吹、自分を見守る4人の女に向かって言う。

「たすかった、心から感謝する。だから勝つ、誇り高きプライドは欲望に負けないという事実を証明してみせる」

 青いオーラの息吹と、黒いオーラのブラック息吹、双方刀を持って向き合う。ザーザーってやかましいはずの雨音も、集中している2人の耳には入らなくなっていく。

「ふん!」

 風のスピードで息吹が接近、青白く光る刀を振り下ろす。

「ケッ!」

 楽勝だぜ、余裕だぜ! という顔で攻撃を受け止めるブラック息吹、こちらの刀は黒いオーラをまとっている。

「そんなにあれかい、女の前でいい格好をしたいのかい。それだって言うなれば腹黒いんじゃねぇの? それのどこが崇高な意識だって言うんだ、あぁ?」

 ブラック息吹、上から押し込んでくる相手の刀を押し返そうとしながら言ってやる、おまえの方がおれよりゲスだろう。

「女の前でいい格好をしたいんじゃない......おれは、生前の自分および泣かせまくった女に申し訳ないと反省の念を忘れないようにしているんだ。崇高な意識っていうのは、おまえみたいな自分勝手に負けない、いや、負けるわけにはいかないんだよ」

 息吹の押し込みに力が入る。それはブラック息吹の顔を余裕から焦りに変えさせる。

「え、えらそうな事を言っても、おれとおまえは一緒だろう」

「そうだ、だからおれは勝たねばならない。いまのこのおれ、家満登息吹は崇高でなければならない。そのおれが主導権を取る以上、同じ自分であれゲスに負けるわけにはいかないんだよ!」

 青白く光る刀が黒いオーラ浮かべる刀をグイグイ押し込む。

(や、やば......)

 ブラック息吹、押し込まれすぎて身動きが取りづらくなった。このまま進んでいくと刃が折れるかもしれないって不安も大きくなった。

「くそったれ!」

 不本意! と顔をしかめながらも、ブラック息吹は相手の腹に蹴りを入れるしかなかった。それにより不愉快な状態が一度解除される。

「このおれブラック息吹も負けたくないぜ、崇高な意識とやらに抑え込まれるのはまっぴらごめん。だから息吹......もう一度おまえを氷漬けにしてやる。そして今度はその氷を粉々に砕いてやる。そうすればおまえ再生不可能だぜ、人類史上サイアクな死にざまってやつだぜ」

 ブラック息吹は本気だった。彼に言わせれば人間とは欲望あってこその生き物。それを立派な意識とやらでごまかすのはたましいを澱ませるだけ。そして澱ませたたましいで生き続けるというのは、命というモノに対する冒涜であるとする。

「おれは負けない。おまえがおれを氷漬けにして砕くとかいうのなら、おれは崇高という熱でおまえを消す」

 息吹、この勝負は絶対に負けられないと気合を入れ、そして内にただよう緊張をごくりと飲み込む。
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