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イケメン星人、イケメンデス登場1

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イケメン星人、イケメンデス登場1

 それはある日の夜遅くに発生した出来事だった。ひとりの女性がイソイソ夜道を歩いていたら、後ろからフッと声をかけられた。

「お姉さん」

 その声は若い男性、音色はやわらかく心地よい。もしかするとイケメンなのでは! と、少し期待した女性、なんですか? と振り返る。

「ぼくとデートしませんか?」

 身長175cmのくらい男はそう言った。だがそれは人の男ではなかったのだ。月夜に照らされたその顔は……カエルそのものだ!

「きゃー!!!!!」

 女性は大声を出して逃げようとする。

「おのれ、また逃げる、なぜどの女も逃げるのだ。なぜこのイケメンにホレてくれないのだ!」

 怒ったカエル人間の口から長い舌が勢いよく放たれる。そしてそれは、叫びながら逃げようとする女性の体をねっちゃり拘束。

「ほんぅな、ほえぇのひゃえひぃになぇぇ(女、おれの彼氏になれ!)

「いや、離して……きゃー!」

 女性に思いが通じなかったことでカエル人間の怒りは頂点に達した。すると何が起こったか? 地面に映る影絵が示す展開によれば、カエル人間が女性をそのまま飲み込んだ……だった。

「うぷ……まったく、また腹がこなれるまでストレッチなどせねばならない。なぜだ、我が故郷イケメン星ではそこそこイケメンと評価があったというのに、なぜ人間の女はこのイケメンになびかないのか」

 こんなつぶやきを残してカエル人間は夜のどこかへと消えていった。

 そして翌朝、学校へ行くため慌ただしく動いている由良の家にインターホンが鳴る。隣に住む幼なじみの男子こと悠人がボタンを押したのだ。

「おまたせ、ごめんね、待たせて」

 制服姿の巨乳女子こと由良が門の外に出る。中学の制服もおたがいばっちり板につき、2人の中学生イチャラブ感も慣れってオーラを纏ってきた。

「ずいぶん久しぶりだね、悠人がわたしを誘ってくれるなんて」

「え、そ、そうかな」

「まぁ、いいけどね、友達とか男同士の付き合いもあるだろうし、悠人はひとりで歩くのが好きって根暗でもあるし」

 由良がちょっとかわいく拗ねてみせた。すると悠人、赤くしつつも真剣って顔になり、心配だから由良に言いたいと口にする。

「え、なに?」

「いや、最近カエル人間の事件が多いじゃん」

「あぁ、あれってほんとうなのかなぁ」

「でも、若い女性ばっかり狙われているっていうのは本当らしいよ。だからさ……正直由良はだいじょうぶかなって心配なんだよ」

「心配してくれるの?」

「あ、あたりまえだろう。だからさ、夜になったら何があっても出歩くなって言いたかった」

「悠人……」

 由良、うれしくなって顔をほんのり赤くする。そしてスクールバッグを左肩にかけると右腕を動かして促す。

「な、なに?」

「鈍い! 腕組みを誘っているんだよ」

「う、腕組み……」

「イヤなの?」

「そんなわけない、ものすごくして欲しいけれど、朝の登校時にやると目立つから由良だってイヤじゃないかなぁと思って」

「途中までだよ、〇〇コースから行って途中まで、それなら見られる可能性度合いは低い」

「いいの?」

「早くしないと気が変わるよ?」

 こうして2人は朝から順調にイチャラブモードを発動。カエル人間がどうなんて話はそっちのけで、愛しさにあふれた会話をしながら登校した。

―それから3時間後の繁華街―

「はぁ? 別れたい?」

 いま、繁華街にある喫茶店、「出会いは別れの始まり」の中で、ひとりの男が彼女から別れ話を持ち掛けられていた。

「なんで? なんで別れたいとか言い出すんだよ。おれの何がいけないんだよ」

「だってあなた自分勝手だし、性格悪いし、世界も狭いしワンパターン。いいところ何もない」

 女にフラれかけている男、それは西野大吾という23歳。名前とか年はどうでもよく、性格が大いに問題という男だった。

「おまえ、おれみたいなイケメンをフッてどうする気だよ、正気か?」

 大吾は自分をイケメンだと思っている。アイドルみたいにキャーキャー騒がれてもおかしくないとマジに思っていたりする。

「それなのよ」

「それ?」

「あなたほんとうに自分をイケメンだと思っているの?」

「え、おれがイケメンでなかったら、イケメンって言葉の存在意義がなくなるだろう」

「わたし、あなたのその特徴は冗談だと思ったの。てっきりお笑い芸人を目指す愉快な人かと期待したりもしたの」

「はぁ? そんな目で見ていたのかよ」

「ミラーに映る自分を見てみなさいよ!」

 怒った彼女、左隣にある店のガラスに顔を向け、そこに映る大吾の顔を指さす。

「あなたの顔のどこがイケメンなわけ? っていうか、その顔面をどう思えばイケメンって言葉にたどり着けるの?」

「え、どうって言われても……」

「自分がイケメンだとうぬぼれるだけなら可愛いのかのかもしれない。だけどそれで傲慢だからうざいんだわ」

「おれが傲慢、どこが!」

「なら言ってあげる。デートしてもいつも行く場所が同じ、歩くコースも同じ、会話もほとんど似たような事のくり返し。それでいて自分についてくるのが当たり前と思っている。こんなマンネリで退屈な男ってめったにいないわよ」

「ぅ……だ、だけど、性格はいいだろう」

「冗談やめてよ。自己評価が以上に高くて、自分の話ばかりして、人生悟っているような口調でありながらけっこう人の悪口は多い。それのどこが性格いいっていうわけ?」

「でもな、顔は一級品だろうが!」

「ふつうでしょう、ほんとうにふつう」

「でも強いて言えばイケメンになるはずだ」

「あなたがイケメンだったら、イケメンって言葉の価値が値崩れするわ」

「ふざけんなよおまえ」

 大吾は手にしたグラスの水を彼女にぶっかけた。それだけでは飽き足らず、身を乗り出し彼女の頬にビンタする。そして店内がびっくり仰天するような大声で叫び散らした。

「ふざけるな! そもそも女が男のルックスに注文ばかり出して、自分のことを棚に上げて好き放題抜かしてきたのが諸悪の根源だろうが!」

 大吾が乱れる。だから勢い余ってテーブルをひっくり返す。その上にあったグラスや皿などが床に転がり落ちて散乱。

「くっそぉ!」

 連携した店員と他の客に抑えられた大吾、散々に喚き散らした後、めでたく警察のご厄介になる。そして女が死ぬほど憎い! というつよいマイナス感情を抱くに至った。
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