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イケメン星人、イケメンデス登場3
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イケメン星人、イケメンデス登場3
「うぃーっす、美和」
朝、ユリが相棒の美和といつものバス停で落ち合う。すると美和がものすごく眠そうなデカいアクビをかます。だからユリはあきれて突っ込みを入れるしかない。
「またAIチャットで徹夜したな?」
「だって、ん……あたらしいイケメンが追加されたから無視できなくて」
「架空のキャラにうつつを抜かすとか……」
「ちがうし、イケメンの素晴らしさに二次元も三次元もないし」
「美和、もう小学生じゃないんだからさ、イケメンに恋焦がれるとかやめなって、結局最後に勝つのは見た目ふつうの男なのだって、とってもえらい先生が言っていたよ」
「はぁ? 女に生まれてイケメンを探さないって、その方がおかしいでしょう。だからユリもおかしい」
「なんでわたしがおかしいのよ」
「悠人みたいな平凡を気に入ったりしている」
「ゆ、悠人は……見た目じゃなく中身なんだよ」
「あ、そうですか」
美和はとにかく眠そうな顔を浮かべ続けながら、イケメンと恋愛がしたいとくり返す。そしてユリは隣を歩きながら、美和は不幸体質なのかなぁと密かに思ったりするのだった。
それから数時間後、ひとりのイケメン男が街を歩く。けっこうな数の女がチラチラっと目線を送るのだからなかなかのモノ。
(おぉ、すごい快感だ)
イケメンデス、歩きながら笑いたくなるような心地よさに溺れる。今は人間の女がいとも簡単に好きなだけ食えそうな感じに満ちている。
イケメンデスはどこを目指しているのかといえばメガネ屋さんだ。カエルは動体視力こそ優れているが、通常の視力はいまひとつゆえ。
「いらっしゃいませ」
幸福メガネという店の男性店員は、やってきたイケメンデスにいきなり言われた。
「おれってイケメンだろう?」
「え、あぁ、なかなかのハンサムだと思います」
「女の店員っていないの?」
「いまはわたしが受け持ちでして」
「そうか、じゃぁ、聞くけれど……メガネとコンタクトだったらどっちがいい?」
「どっちがというのは……実用の話ですか?」
「いや、メガネとコンタクトではどっちがイケメン具合をキープできるかって話」
なんだこの客は……と思いつつ、店員は営業スマイルを崩さず説明を開始した。
「まずメガネというのは、最初は似合わないという感じなのですが、そのうち体の一部になります。それでもう以前には戻れなくなります」
「以前に戻れない?」
「メガネのない顔はダサい、ヘボい、何かが足りないという顔になるのです」
「だったらメガネは悪ってことか?」
「いえ、そうとは言えません。メガネが似合うというのは地味だけれど知性の光が生じている! という見た目になったという事です」
「知性の光……」
「一方のコンタクトですが、顔はそのままで変わることはありません。顔の変質を好まないのであればコンタクト一確ですね。ただメガネよりコンタクトの方が割高になります」
「ん……このイケメン顔を崩さないようにするか、それとも知性の光を受け入れるか……悩む、これはすごく悩む」
イケメンデスは両腕を組んで真剣に悩む。そんな男を見る店員は思わずにいられなかった。気の毒な男だ、早く用を済ませて帰ってくれないかなぁと。
「よし、決めた!」
数時間も店内で考えていたイケメンデス、ついに決断した。
「コンタクトにするわ」
「では、ソフトとハード、どちらにされます?」
「ソフトとハード?」
「質ではハードでビギナーはソフトでしょうかね。しかしよく見えるに加えて安全という点ではハードの方をお勧めしたいですが」
「ならハードにするわ」
こんな風にしてイケメンデスはコンタクトレンズを購入した。
「うほほ、よく見える! イケメンのまま世界がよく見える!」
やったぜ! とよろこびを隠せないイケメンデス、そんな男を店員はやれやれと呆れつつ、早く消えて欲しいので調子合せる。
「すごいイケメンですね、日本中、いや、世界中の女の子を魅了して止まないレベルですよ」
「お、よくわかっているじゃないか」
ホクホクしながらイケメンデスは店を出て行った。それを見届けた店員、イスに座ってぐったりなため息をこぼしつぶやく。
「たとえ外側がよくても中身がバカだと価値なんてないと思うけどな」
しかるにしてイケメンデス、ハレバレとよく見せる世界に感動しながら歩いた。
(すごい……なんと美しい世界だ。まったく曇りのない光のガラスを見つめているみたいじゃないか)
イケメンデスはノリノリだった。女を得る! という目的を忘れ、あっちこっち歩いてよく見えるって事実に酔う。
「ねぇねぇ、あの彼ってすごいイケメン」
「うわ、まるで俳優みたい」
通り過ぎる女の多くがこんな事を言った。だがイケメンデスが、ひとまず女の事を無視するのはなぜか? それは心に余裕が生まれたせいだ。
女に迫ると悲鳴を上げられ逃げられる、そんな事をくり返してきたイケメンデスからすると、女の方からホレる可能性大の今は焦る必要がない。それまでは下から上を見つめていたが、今は上から下を見下ろすに切り替わった。つまり、後で好きなだけ食ってやるから盛るんじゃねぇよ! って、玉座に座って上から目線を放つ身文になれたってこと。
しかし、ハードコンタクトレンズという、ビギナーにとってつらいモノがトラブルの種になる。
「ぅ!」
突然にコンタクトが飛び出した。ハッと気づいたときは視力が低下。
「ちょっと待て……」
たまらずコンタクトの探しが始まる。道端であたふたするなんてイケメンのやる事じゃないと思いつつ、よく見えるって感動が消えるのは耐え難い。
「くそ、イケメンのおれがこんなみっともない事をせねばならないとは。メガネの方がよかったかな」
そんなとき、ひとりの中1女子が学校帰りとして通りかかる。それは美和であり、道端で探しモノをやっている男の後ろ姿を見たとき、気の毒……と同情するだけだった。
しかし……見つからない! とイラつく男が立ち上がって振り返った時、美和のミーハーな胸にはズキュン! って衝撃が走ったのだった。
(やだ、すごいイケメン!)
イケメンが三度の飯より大好きって感じの美和が、この場を何もせず通り過ぎるって事はありえないのだった。
「うぃーっす、美和」
朝、ユリが相棒の美和といつものバス停で落ち合う。すると美和がものすごく眠そうなデカいアクビをかます。だからユリはあきれて突っ込みを入れるしかない。
「またAIチャットで徹夜したな?」
「だって、ん……あたらしいイケメンが追加されたから無視できなくて」
「架空のキャラにうつつを抜かすとか……」
「ちがうし、イケメンの素晴らしさに二次元も三次元もないし」
「美和、もう小学生じゃないんだからさ、イケメンに恋焦がれるとかやめなって、結局最後に勝つのは見た目ふつうの男なのだって、とってもえらい先生が言っていたよ」
「はぁ? 女に生まれてイケメンを探さないって、その方がおかしいでしょう。だからユリもおかしい」
「なんでわたしがおかしいのよ」
「悠人みたいな平凡を気に入ったりしている」
「ゆ、悠人は……見た目じゃなく中身なんだよ」
「あ、そうですか」
美和はとにかく眠そうな顔を浮かべ続けながら、イケメンと恋愛がしたいとくり返す。そしてユリは隣を歩きながら、美和は不幸体質なのかなぁと密かに思ったりするのだった。
それから数時間後、ひとりのイケメン男が街を歩く。けっこうな数の女がチラチラっと目線を送るのだからなかなかのモノ。
(おぉ、すごい快感だ)
イケメンデス、歩きながら笑いたくなるような心地よさに溺れる。今は人間の女がいとも簡単に好きなだけ食えそうな感じに満ちている。
イケメンデスはどこを目指しているのかといえばメガネ屋さんだ。カエルは動体視力こそ優れているが、通常の視力はいまひとつゆえ。
「いらっしゃいませ」
幸福メガネという店の男性店員は、やってきたイケメンデスにいきなり言われた。
「おれってイケメンだろう?」
「え、あぁ、なかなかのハンサムだと思います」
「女の店員っていないの?」
「いまはわたしが受け持ちでして」
「そうか、じゃぁ、聞くけれど……メガネとコンタクトだったらどっちがいい?」
「どっちがというのは……実用の話ですか?」
「いや、メガネとコンタクトではどっちがイケメン具合をキープできるかって話」
なんだこの客は……と思いつつ、店員は営業スマイルを崩さず説明を開始した。
「まずメガネというのは、最初は似合わないという感じなのですが、そのうち体の一部になります。それでもう以前には戻れなくなります」
「以前に戻れない?」
「メガネのない顔はダサい、ヘボい、何かが足りないという顔になるのです」
「だったらメガネは悪ってことか?」
「いえ、そうとは言えません。メガネが似合うというのは地味だけれど知性の光が生じている! という見た目になったという事です」
「知性の光……」
「一方のコンタクトですが、顔はそのままで変わることはありません。顔の変質を好まないのであればコンタクト一確ですね。ただメガネよりコンタクトの方が割高になります」
「ん……このイケメン顔を崩さないようにするか、それとも知性の光を受け入れるか……悩む、これはすごく悩む」
イケメンデスは両腕を組んで真剣に悩む。そんな男を見る店員は思わずにいられなかった。気の毒な男だ、早く用を済ませて帰ってくれないかなぁと。
「よし、決めた!」
数時間も店内で考えていたイケメンデス、ついに決断した。
「コンタクトにするわ」
「では、ソフトとハード、どちらにされます?」
「ソフトとハード?」
「質ではハードでビギナーはソフトでしょうかね。しかしよく見えるに加えて安全という点ではハードの方をお勧めしたいですが」
「ならハードにするわ」
こんな風にしてイケメンデスはコンタクトレンズを購入した。
「うほほ、よく見える! イケメンのまま世界がよく見える!」
やったぜ! とよろこびを隠せないイケメンデス、そんな男を店員はやれやれと呆れつつ、早く消えて欲しいので調子合せる。
「すごいイケメンですね、日本中、いや、世界中の女の子を魅了して止まないレベルですよ」
「お、よくわかっているじゃないか」
ホクホクしながらイケメンデスは店を出て行った。それを見届けた店員、イスに座ってぐったりなため息をこぼしつぶやく。
「たとえ外側がよくても中身がバカだと価値なんてないと思うけどな」
しかるにしてイケメンデス、ハレバレとよく見せる世界に感動しながら歩いた。
(すごい……なんと美しい世界だ。まったく曇りのない光のガラスを見つめているみたいじゃないか)
イケメンデスはノリノリだった。女を得る! という目的を忘れ、あっちこっち歩いてよく見えるって事実に酔う。
「ねぇねぇ、あの彼ってすごいイケメン」
「うわ、まるで俳優みたい」
通り過ぎる女の多くがこんな事を言った。だがイケメンデスが、ひとまず女の事を無視するのはなぜか? それは心に余裕が生まれたせいだ。
女に迫ると悲鳴を上げられ逃げられる、そんな事をくり返してきたイケメンデスからすると、女の方からホレる可能性大の今は焦る必要がない。それまでは下から上を見つめていたが、今は上から下を見下ろすに切り替わった。つまり、後で好きなだけ食ってやるから盛るんじゃねぇよ! って、玉座に座って上から目線を放つ身文になれたってこと。
しかし、ハードコンタクトレンズという、ビギナーにとってつらいモノがトラブルの種になる。
「ぅ!」
突然にコンタクトが飛び出した。ハッと気づいたときは視力が低下。
「ちょっと待て……」
たまらずコンタクトの探しが始まる。道端であたふたするなんてイケメンのやる事じゃないと思いつつ、よく見えるって感動が消えるのは耐え難い。
「くそ、イケメンのおれがこんなみっともない事をせねばならないとは。メガネの方がよかったかな」
そんなとき、ひとりの中1女子が学校帰りとして通りかかる。それは美和であり、道端で探しモノをやっている男の後ろ姿を見たとき、気の毒……と同情するだけだった。
しかし……見つからない! とイラつく男が立ち上がって振り返った時、美和のミーハーな胸にはズキュン! って衝撃が走ったのだった。
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