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由良VSニセ由良10

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由良VSニセ由良10

「戻るもんか!」

 ニセ由良のつよい意思表示という表情が、夜中の時間を支配しかけている。

「悠人、ちょっとくらい勇気を出してよ!」

 ニセ由良はこの勢いを元にして、グッとTシャツをまくり上げた。ボワン! っと揺れ動いた白いフルカップというふくらみ、そして乙女心の代弁者となるプクッとやわらかそうな谷間。

「悠人……」

 ニセ由良が顔を赤くして今度はスカートを脱ぎ下ろす。すると色白むっちり巨乳女子の下着姿が、魅惑の前奏曲ってメロディーになる。

「だ、ダメなんだよ!」

 悠人は慌てて部屋から出た。そして一階へと急ぎながらも物音を立てないようなファインプレーで下りていく。

「逃がすもんか!」

 上からニセ由良の声が聞こえた。

「ぅぐ……」

 悠人、寝ている両親が起きたらまずい! という事もあり、反射的に玄関の靴を履いた。そして外に出ると逃げのランナーを演じるみたいにダッシュ開始。

「やりたいけれど……由良の巨乳に甘えたいけれど、由良の巨乳にパイズリとかして欲しいとか思うけれど、でも……中1でそういうのはダメなんだよ、やっぱりダメだと思っちゃうんだよ」

 夜の世界を爆走自転車より速く駆け抜ける悠人、いまはただ少しばかり一人になりたいとする。

「待て!」

 急に声が聞こえた、それはたしかに由良の声であり、ダッシュ中の悠人を驚かせるに値する。 え? と思った悠人、バッと立ち止まり振り返った。そして夜の暗い道に目をやる。

(いない?)

 闇の力が集約されているみたいな暗い道に由良の姿はない。

「悠人、もう絶対に逃がさないから!」

 再び声がした時、悠人の顔が的確な方向へ向かって動いた。

「ゆ、由良?」

 それはもう当たり前にびっくり仰天! なんと由良が月夜に浮かんでいるのだから。

「う、うわぁ!」 

 よくわからないけれど、これはえらいこっちゃ! というアニメみたいなノリになった悠人がまたダッシュを開始。もうけっこう息が切れているはずなのに、それでも予備のニトロエンジン爆発みたいにして猛ダッシュ。なぜ由良が空を飛べる……なぜそんな事ができる? もうわけがわからないよ! と思いながら息が切れ始めた。

「ハッ!」

 このとき夜の眠りにあった由良(本家)の両目がパッと開く。

「ん……」

 ガバっと体を起こすと、ほんの数秒ほど白っぽい頭の中を整理するように無言をやってから、勢いよく立ち上がって声を出す。

「悠人がピンチ!」

 いまの由良はなんと言ってもパイ・マイ・ミーって戦士なのだ。愛しい悠人に危機が迫っていると感じ取れるのは当然、なぜならそれは愛の力というモノ。

 そして本家由良が感じたとおり、いまの悠人はニセ由良に追い込まれていた。

「ハァハァ……ぅ……」

 夜の誰もいない公園の真ん中で、悠人がバッタリと倒れる。ニトロゲージを完全に使い果たした車が銭湯力を失い、打って変わってポンコツに成り下がったみたいに、悠人が仰向けになって息を切らす。

「悠人、手間をかけさせて!」

 空中静止の由良は、立ち上がれない悠人がスカートの内部を見ているとわかっていても、それを気にしないだけの怒りを持っていた。

「悠人! 女子に恥をかかせた! こうなったら、まずは罰を受けてもらうからね!」

「ば、罰?」

「カム着火インフェルノォォォオウ!!」

 なんじゃそれ? って事を口にした由良だったが、次の瞬間にすごい事が起こった。

(え?)

 仰向けの悠人が少し顔を動かして目にしたのは、公園の中に巨大な水車と深いプールが出現した。

(す、水車?)

 悠人の頭がハテナマークに埋め尽くされそうになった次の瞬間、さらにすごい事が発生。それは笑えるような笑えないようなダークファンタジー。

「え、えぇ!!!」

 おどろく悠人はいきなり全裸にされていた。しかもその状態で水車に張り付けられ動けない。

「女子に恥をかかせた報いを受けるべし!」

 由良が空中に静止し、悲惨な姿で回される悠人に向かって叫んだ。これはもう相当にご機嫌ナナメになっている証拠。

「うあぁぁぁ……」

 全裸で張り付けにされ、グワーっと水車が回っていくと得体の知れない恐怖にかられる。そして逆さまになるとき、悠人の顔面はプールの冷たい水にズバっと突っ込む形になるのだ。

「ぐほぉ……」

 水に顔面が沈む。その間は息ができない、しかも逆さまになっているあげくフルチンであるから、悠人の食らうダメージは見た目のギャグに反して非常に重たい。ゴホゴホとやる悠人の髪の毛が思いっきり濡れているが、一回で許してくれるニセ由良ではない。

「うぁぁぁぁ……」

 また回って顔面が真下になるとき、ズボッと冷たい水に沈められる。ゴホゴホっとむせ返るとき、フルチンという事実がひんやりして非常に屈辱的。

「由良ぁ、許してよぉ……」

 みじめな回転に縛られる悠人が泣きを入れる。

「ダメ! トータル100回だから!」

 ニセ由良はとってもきびしい表情、悠人なら何でも許してくれる女の子ではなく、悠人だからこそ誰よりきつく当たる鬼嫁と化している。

「む!?」

 ここでニセ由良の脳にピキーン! ってしびれが発生。

「誰か来る……っていうかこれは……由良、わたしが来る?」

 ニセ由良、自分こそが本物であるべきとつぶやき、夜空に静止したまま、こちらに向かってくるモノの到来を待つ。

「この辺り?」

 ギュィーン! っと空飛ぶ由良、悠人を感じられる方に進んでいたが……ここでおどろきながらブレーキをかけた。そして空中から思いもしない光景というのを目にした。

「え? 水車にプール? あんなのあったっけ? しかも何か悪趣味って気が……」

 由良、くぅっと目に力を入れる。そうすると気づいた、なんと悠人がフルチンで水車に張り付けされているのだと。

「えぇ、悠人!」

 顔を赤くした悠人、考えたこともない絵姿におどろきながらフルチンという事実から目が離せない。悠人の小さく愛すべきペニス、それは由良という女子の胸にはズキュンとぶち当たる弾丸。

「悠人!」

 ギュワーっと水車に近づこうとした時、そこで気づいたのである。

「だ、誰!?」

 おどろき再度ブレーキをかけた由良、空中に浮かんでいる者とご対面。

「え、え、えぇ? わ、わたし?」

 そう、それは本家由良とニセ由良が夜空の中で対面した瞬間だった。
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