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由良VSニセ由良12

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由良VSニセ由良12

 ギュィーン! っと空中で2つの渦が勢いよく相手に向かっていく。

「ゆ、由良……ぐほ、ごほごほ……」

 水責めから解除させてもらえない悠人、いったい何が起こるのかと心配になりながら、びしょ濡れの顔で夜空を見る。

「由良の風車ボディ!」

「由良の風車ボディ!」

 本物と偽物が同じ事を叫んだ。そしてミニ台風みたいな渦が勢いよく衝突。

―ドーン!―

 けっこう派手な音がした。すると渦の一つがクルクルっと回りながら夜の公園へと落ちていく。

(どっちだ、どっちが勝利したんだ)

 相も変わらずフルチンで回っている悠人、どっちが勝ったのかと不安な目を向ける。すると渦の勢いが弱まり、落下したのはニセ由良の方だと判明。

「な、なんで……わたしが負ける……」

 グランドに仰向けになり、痛みに襲われるニセ由良、その表情にはショックがにじみ出ている。

「理由は2つ!」

 着地した由良はゆっくりニセ由良に向かって歩きながら言う。

「ひとつ、ニセモノが栄えた試しはない! そしてもうひとつ、悠人は本物のわたしが好きだと言った。それは愛、愛こそは勝利のカギ!」

 由良、スーッと日本刀を取り出す。そして地面に転がっているニセ由良の顔を見ながら、グワーっと大きく刀身を振り下ろそうとする。

「待って、待って由良……」

「悠人?」

「なに、何する気なのさ」

「なにって……ニセモノの首を刎ねるつもり」

「ダメだよ、そんなおそろしいこと。そんなのやさしい由良がやる事じゃない」

 悠人は愛しの由良が残虐行為をやるってシーンを見たくなかった。そしてほんの少しはニセ由良が可哀想って気もしていた。

「ん……だけど……」

 由良は困ってしまう。こんな存在がいてうまくやっているわけがない。2人いっしょに並んだら世の中が大騒ぎになってしまうは確実。

 そしてもうひとつ、ニセ由良なんて存在を悠人がキープするのも大変おもしろくない! であり、そんなの乙女心が認められるわけなし! だった。

「やっぱり闇に葬るしかない!」

 再び日本刀を振り上げようとしたとき、今度は夜空がパーっと明るくなったではないか。

「え?」

 光が夜空から降りてきた。まるで意思を持つ尊い生命体みたいだったが、なぜか不思議と由良はそれが何かわかってしまった。

「め、女神さま……」

 そう、それはスケベの女神さま、またの名をHな女神エロメス!

「由良、ニセ由良を葬ったりしてはいけません。なぜかわかりますか?」

「え、な、なぜ……ですか?」

「女の子はやさしくなければいけません、常に相手を許せる大きな心を持っていなければならないのです。わかりますか?」

「だ、だけど……」

 納得できないって顔の由良に対し、エロメスは次のような提案をした。それはニセ由良ことカプセル女子を悠人ではなく由良が持つ事。そして由良が何か困ったり身代わりが必要となった時、そのときにニセ由良を使えばいいのだと。

「でも……」

「まだ何か不満でも?」

「ニセモノがわたしの言う事を聞いてくれなかったら、反逆したらどうすればいいですか?」

「その心配はいりません」

 エロメスは言う、ニセ由良の肩にある小さなイレズミ、そこに爆弾を埋め込むと。そして本家由良に背いたりしたらとき、ドッカーン! となるようにセットすると。

 それを聞いた由良は内心思わずにいられない。女の子はやさしくあれとか言う女神さまはすごい残酷じゃん! と。

「こ、これがカプセル……」

 悠人が持っていたはずのカプセルを手にした由良、地面に仰向けってニセモノを見て、腕をクッと伸ばしてから叫んだ。

「戻れ!」

 するとシュルシュルって音がして、ニセ由良がカプセルの中に戻ったのだった。とりあえずこれで無事に終了かな? と思った由良が礼を言おうとしたら、もうエロメスの光はそこになかった。

(ありがとう女神さま)

 胸の内で礼を言った由良、やっとこさ問題の水車に近寄って悠人とまったりご対面。

「由良……」

 悠人は真っ赤な顔でフルチンを隠そうとする。もう体もアレも冷え冷えになっている。

「悠人、手をどけて、おチンチン見せて」

「え、えぇ?」

「見せてくれないと助けない」

「ぅ……」

 悠人が致し方ないと両手を離すと、すっかりミニサイズなモノが水車の回転によってかわいく揺れ動いたりする。

「では!」

 悠人のモノを見てちょっと満足! って由良、両手をにぎってクロスさせる。そして「デュア!」 と叫んで両腕を横に振ると、プールと水車がパッと消えた。そして服を纏っている悠人が地面に転がる。

「ゆ、由良」

 悠人、立ち上がろうとして……由良を見上げながらちょっと動きが止まる。
 元々……たとえ悪気なんてなかったんだ! と言っても、事の発端は悠人にある。由良に申し訳ない事をしたって罪悪感が胸に疼くとき、悠人はこの場から逃げ出したくなる。
「ゆ、由良……」
 ゆっくり立ち上がった悠人、素直に頭を下げてごめんなさいと謝る。

「まったく……男の子っていうのはいつもロクでもない事ばかり考えるんだから」

 頭を下げている悠人、由良にそう言われては返す言葉もない。そして顔を上げると、由良すぐ眼前に立っていてドキッとする。

「でも……」

「でも?」

「悠人は言ってくれた……」

「な、なんて?」

「本物の由良が好きだって……そう言ってくれた、だから許してあげるよ」

「ゆ、由良……」

「さ、帰ろう」

 由良のやわらかくやさしい手が悠人の手をにぎる。そして2人は互いのハート温度を感じ合いながら、夜の道を家に向かって歩いていくのだった。
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