ガールズHマインド(女の子だってスケベ心いっぱい)

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怪獣が出た 3

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怪獣が出た 3

 同日夜……いや、もう日付は変わった夜中、雪は部屋の電気を消し、電気スタンドだけの小さい明かりを頼りに部屋の中央に立つ。

「ネコ、おまえに見届けて欲しい」

 ネコというのは雪の家で飼われている愛猫である。ひとりで旅立つのはさみしいっていうのもあったが、もうひとつ思う事があるゆえ、ネコを自部屋のベッドにのせていた。

「わたしの人生を狂わせたあのマンガも許せないけれど、わたしを捨てた直進も同じ。っていうかもう、男すべてが憎い。男なんて……」

 上半身を白いフルカップというブラ姿にした巨乳な女は、刃物を取ると怒りに満ちた顔でブルブル震えて語気を強める。

「あのマンガの作者も男、直進も男。男なんて……男なんてこの世から消し去ってやりたい!」

 言った雪、ズブっと腹に刃物を差し込む。もちろんそれは非常に痛くて怖い行為だ。

「ぅあぁぅぅぅ!!」

 ズブブと深く突き刺す、えぐるように力を込めて突き出す。

「ぐぅほ……ぅ……」

 腹が少し割れて血が出ると、同時に口からも赤い液体が流れ出る。

「ぜ、絶対に許さない。あのマンガの作者も直進も、男はすべて許さない」

 うぉ! っと両膝が床につく。そして雪は涙目をベッドに向け、心配そうに自分を見つめている愛猫のネコに言う。

「ね、ネコ……お、おまえも女だから……わたしのキモチ、わかってくれるはず……ネコ、わたしのこの怒り……受け継いで欲しい」

 いま、雪の周辺は大量の血にまみれている。そして汗に涙にとまみれる中、雪の眼前が別れの蜃気楼みたく揺らいでいく。

「ネコ……わたしのこの無念を晴らして欲しい、ネコ、どうか……」

 雪、ブルブル震えながらパッと両手を離した。そして勢いよく前に倒れ込む。ズブ! っと肉に深く突き刺さる音がした。そして2秒ほど苦しそうに雪が暴れて静かになっていく。

「ネコ……ね、ネ……」

 午前1時45分39秒、雪……死亡。23年間という短い人生に自ら終止符を打った。

「にゃーん」

 ネコがベッドから下りた。そしてピクリとも動かない雪を不安そうに見つめていたが、少ししてから床に広がっている赤い血を舐め始めた。

 ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ、ネコが血を雪の血を舐める。それは夜中の部屋で発生する小さな音と、動かない体、床に広がる血、それらが織りなす三重奏というモノだった。

「雪が死んだ!?」

 直進はびっくりした。元彼女にしてストーカー認定された女が死んだと突然耳にしたら、哀しさより先に安堵が胸に沸く。不安のない日常、安心して暮らせる平和、それが到来したと思えば直進の心はゆっくり穏やかになっていく。だがしばらくすると巷に変な噂が流れだす。それは着物を着て二本足で歩く猫が出現するとかいうモノだった。

「いやぁ、それにしても直進よぉ、おまえ、あたらしい彼女を作る予定はないのか?」

 今宵、直進はアルバイト先の先輩といっしょに飲んでいた。そこで先輩がほろ酔いモードにふさわしい質問を投げかける。

「もちろん欲しいですよ」

 鯛のあら炊きを突き、冷えた日本酒をクイっとやりながら直進は答える。

「だよな、男の人生に女がいないなんて耐えられないよな。で、どんな彼女が欲しいと?」

「ん……ふつうでいいっすよ、ふつうにかわいく、ふつうにやさしければ、とにかくわがままな女っていうのはもうイヤなんです」

「おぉ、苦労人ってオーラが浮かんでいる」

「すみません、あんまりその話はしたくないです」

「わかった、他の話をしよう」

 こんな風にして男2人のささやかな飲み会は楽しく進んで終わった。それは午後11時の事だ。

「おぅ、直進」

「なんですか?」

「最近は猫女が出るらしいぞ」

「あぁ、そうらしいですね。要するに猫又って事ですよね?」

「しかもその猫又はかなりの巨乳らしいぞ」

「猫女で巨乳とか言われても……」

「おれだったらホイホイされるけどな」

「おれはそんな悪趣味じゃありませんよ」

 2人はこんなやり取りをしてバイバイをして別々の道を歩き出す。

「猫又かぁ……しかも巨乳ってかぁ、そんなのがいたら会ってみたいかも。もしかわいくて性格が良いとかだったら彼女になって欲しいかも」

 ほろ酔いキブンで歩いていた直進、特に問題なく歩いていたが尿意に襲われてしまったゆえ、人目を避けたところに移動し、体内で生成されたホットな汚水を気持ちよく電柱にプレゼント。

「ぅ……」

 ブルッとやって先が濡れたモノをトランクスの中に収納、そして体の向きを変えたときだった。

「ん……」

 はるか前方にヌーっと出現したように見えたのである、まるで血の色みたいな着物を着ている者が。
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